【FaBデッキリスト分析録】#18 コーリング:アトランタTop8

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概要

このシリーズでは、大会で結果を残したリストを取り上げ、各カードの採用理由や、ヒーローの勝因を推理・考察していきます!このシリーズを読んでいるだけで、「基礎的なカードの使い方」から「環境に合わせて採用すべきカード」や「ヒーローの選び方」が学べる記事を目指しています。
今回は「侵奪されし影冠」シーズン (2026年10月-2027年1月)のリストになります。

挨拶

GoAgainMedia攻略記事担当のdokuiroことTansei Hiroyukiです。
今回取り上げるデッキは2026年10月3日~4日にかけて開催された「コーリング:アトランタ」のTop8デッキ!新セット「侵奪されし影冠」環境初のCCコーリング大会ということで、全世界から注目が集まる大会となりました。10月10日から開幕する「プロクエスト:ロンドン」のCCフォーマット大会にも大きな参考となる大会です。

また、「コーリング:アトランタ」は100回目の開催となる記念的なコーリングでもありました。LLイベントの開催、限定版《群青へ沈む》の配布や記念パネルなどいつもよりお祭り感が強かった模様!150回や200回記念が日本で開催されてほしいところですね。

「コーリング:アトランタ」メタ分析

まずはヒーローの分布はこちら。

環境激変。

これまでオシリオや傀儡・アラクニを中心に回っていた環境が「侵奪されし影冠」の影響で大きく変わりました。
参考:下の画像は「プロツアー:ラスベガス」のヒーロー分布

いくつかピックアップして、メタが変わった!と感じられる点を記載しています。

①ヤールの大躍進

これまで物理型オシリオや傀儡・アラクニには強いという所謂「Tier1に対するカウンターヒーロー」としてポジションを持っていました。が、新たに《古き大地の巨樹》と《氷封の巨樹》の2枚のカードを獲得し、デッキパワーが向上。特に「ファティーグ型」のみではなくミッドレンジ型や攻撃的なタイプのヤールがしっかりと成立し、存在感を示すようになりました。

②レヴィアの大増加

「侵奪されし影冠」ヒーローではレヴィアが最大手となり、二番手の50名とアグロヒーロー最大数となりました。しかし、結果を見るとday2への進出率は13%と低め、Top8にも残れずと今回は結果を残せませんでした。まだ構築が定まっていない点や苦手とするヒーローが存在している点が影響していそう。

③シンドラの増加

これはシンプルに《焦爪の焼印》の解禁による影響でしょう。アグロとしての安定感や爆発力が一段階強化されています。何気に《竜火》と《焦爪の焼印》の両方が採用できるのは初めての環境となります。

④傀儡・アラクニの減少

Tier1ヒーローだった傀儡・アラクニはグッと数を減らしました。減少の理由の推測は難しいですが、アーケン型オシリオに有利がつかない点が理由でしょうか。

改定、新カードなど様々な影響で大きくメタが変わったことが伝わってくるヒーロー分布となりました。

「コーリング:アトランタ」大会結果分析

day1の8回戦終了後、6-2以上で勝ち上がったday2進出ヒーローの割合はこちら

最大勝率はファイ。ファティーグやカッサイに強いアグロであり、青が一定数あるため、ヤールにもある程度は抗えるアグロという点が生きています。
次いでカッサイが高い勝率を出しています。苦手なオシリオが少し数を減らし、ヤールやアグロには有利な地上戦を仕掛けられるのが強みです。
最大母数だったヤールも15名進出と、最多勢力を維持。

レヴィア、ヴィセライ、マリスといった「侵奪されし影冠」組は苦戦する形に。

まだまだポテンシャルはある&今後のヒーローのLLが発生するので結論を出すには早いですが、今回の大会では大活躍とはなりませんでした。また、グレイビィがday2進出率が0という点も特筆すべき点でしょう。シンドラの台頭はグレイビィにとってネガティブな影響でしたが、ヤールにも早期に《海淵のコンパス》を破壊されてしまうと負けうるなど、この環境では向かい風が多かったようです。

Top8はヤール3名、オシリオ2名、カッサイ、シンドラ、ベッツィーとなりました。

優勝したのはThomas Battaglia選手のオシリオ!おめでとうございます。これでオシリオのLLポイントは781→856ポイントに増加。(今期より1.5倍) 「プロクエスト:ロンドン」中でのLLが現実的になってきました。

オシリオ 1位 Thomas Battaglia選手、5位 Timothy Scroggs選手

1位 Thomas Battaglia選手 Fabaryリンク

5位 Timothy Scroggs選手 Fabraryリンク

入賞した2名はどちらもアーケン型のオシリオとなりました。物理型オシリオは改定により《稲妻纏い》を失っているのが痛手となります。

アーケン型のオシリオにもタイプがあり、優勝したリストは《スフィンクスの第三の眼》+《冥王星の星鎧》を固定装備とし、軽減インスタントを多く採用しているリスト。

5位のリストは防御リアクションを9枚採用して、効率よく物理攻撃を止めるタイプのリストになっています。

ちょうど、「プロツアー:ラスベガス」におけるAlexander Vore選手の構築が前者、Majin Bae選手の構築が後者ですね。

以降、優勝リストを「Alexander型」防御リアクションが多いほうを「Majin型」と呼び分けます。

「Alexander型」と「Majin型」の比較

端的に言うと、ミラーに強い「Alexander型」、アグロに耐性が上がる「Majin型」となります。

Alexander型の強みは軽減インスタントの多さ。

《装電幕》や《宇宙の縫合》などのカードにより、ミラーマッチ、傀儡・アラクニやシンドラといった《短刀の妙技》ヒーローへの耐性が上がっています。特にミラーマッチにおいては軽減インスタントを多く採用しているのは大きなアドバンテージになります。実際に今回のSEでもオシリオミラーを制してますね。

また、これらの軽減カードは相手ターンに秘術ダメージを与える手段でもあるので、相手ターンに秘術ダメージを通す、という動きが狙いやすいです。胴装備《冥王星の星鎧》が固定装備である点からも相手ターンに秘術ダメージを与える、という意識が伝わってきますね。

反面、防御リアクションと比較すると単純な防御の効率は落ちているので、ファイやレヴィア、ダッシュI/Oといったストレートなアグロへの耐性は落ちているでしょう。また、軽減不能カードは大きな天敵となります。単純な表現価値は落ちていることも多いので、相手ターンに意表をついてリーサルを狙ったり、頭装備《スフィンクスの第三の眼》を有効に使うなどのテクニカルなプレイが要求されます。

「Majin型」の強みは安定感と防御リアクションによる防御力の高さ。頭装備が《天命の王冠》である点から、《熟慮》で引いた弱いカードを入れ替えることができる点が利点です。防御で表現価値を出しつつ、自ターンに大きな秘術ダメージを飛ばしていき、最後は《嵐の闊歩者》でリーサル…というプレイパターンの再現性が高く、単純にターン毎の表現価値を見ると「Majin型」の方が高いことが多いです。

リストで特筆すべき点は、1位のリストは新カード《知の奔流》を3枚採用している点。

頭装備《スフィンクスの第三の眼》からも伝わってくる通り、《熟慮》トークンを出すカードを多く採用している「Alexander型」とは相性の良いカードです。防御値2がネックとなる状況も想像できますが、秘術オシリオから突然0コス4点+1ドローがプレイされると思うとなかなかの圧。また、増幅1を行うジェム《秘奥の意思》を不採用としている点も《熟慮》や自ターン中のドローのことを意識していることが伝わってきます。

カッサイ 2位 Christopher Iaali選手

Fabraryリンク

「マスタリーパック:戦士」で《剣を掲げよ》や赤《切り駆け》を獲得して強化されていたカッサイが準優勝。

他、青枠として《突き飛ばし》《勝ち取れ》を採用しているのは特徴的です。前者はリーサル手段や《銅貨》や《金貨》の出る攻撃を通す手段、後者は《金貨》を破壊してバフするカードとしてはコスパが良好です。
リストから伝わってくるのはアーケン型オシリオへのしっかりとした対策。もともとかなり不利なマッチアップなので、オシリオを切る判断をしているリストも散見されますが、こちらのリストは秘術防壁2・《秘術の極性》3、《癒しの印》3としっかりとアーケン型オシリオ相手への回復手段を採用しています。

決勝戦でもこれら回復カードのおかげで、一方的なゲーム展開とはならず、最後まで拮抗した対戦となりました。

他、新L装備《永劫終焉のサークレット》も採用してヴィセライやVynnsetといったヒーローも対策しています。

ヤール 3位 Zayne Johnson選手、5位 Barrett Goss選手、5位 Randy Davis選手

3位 Zayne Johnson選手 Fabraryリンク

5位 Barrett Goss選手 Fabraryリンク

5位 Randy Davis選手 Fabraryリンク

最多ヒーローとなり、Top8への進出も最多となった今回の台風の目であるヤール。構築は大きく2種に分かれました。
《殴打》のような攻撃的なカードを入れている3位 Zayne選手と5位 Barrett選手のリストと、防御的でファティーグを主な勝ち筋としている5位 Randy選手のリストです。ミッドレンジヤールとファティーグヤールですね。

装備品も違い、頭装備が《コロネットピーク》だったり、盾が《羊頭の堅盾》だったりするとファティーグヤールである可能性が高いです。装備公開時に注目して、最適なサイドボードを行いましょう。

今回のヤールに起きた大きな変化はまず2種の攻撃アクション《古き大地の巨樹》と《氷封の巨樹》の追加。型の違いがあれど、全てのリストが3枚ずつ採用しているという大革命ともいえる強化が起きています。

《古き大地の巨樹》は2枚で8点の時点で高いコスパですが、さらに、
・オンヒット《凍傷》効果によりシンドラのような赤が多いアグロに大幅に強くなった
・長期戦のマッチにおいてもヒット時にデッキに戻る効果が厄介で、1枚で相手のカード3枚と交換するか、デッキに戻るループが発生するかの押し付けを生むことが可能
・氷タレントを持つ強力な赤いカードである
など複数の強みを持ちます。
《氷封の巨樹》も大地の右下3の青という時点で優秀ですが、相手の装備品が消耗した後半戦においては十分な妨害となります。

更に環境の変化で、Top8に進出した3名とも頭装備《氷識の王冠》を採用しています。これは《ボルティン》対策のためですね。ヒーローが凍結すると、ヒーロー能力が起動できなくなり、続行を付与することができなくなります。

ミッドレンジ型のヤールは《芽吹きの力》や《天衝樹の導き》、《殴打》を採用しており、それぞれ攻撃的な動きが可能になっています。

《堅固な老兵》のようなカードでハンデスし、テンポを取ることを得意としていましたが、そのテンポを取った後に続行カードのなさなどから4枚で十分なプレッシャーを出しづらかった点を改善しています。《芽吹きの力》はどんな攻撃にもバフが乗る点と、大地カードであり「腐解」の種になる点が優秀です。
ファティーグ型ヤールは《平和の聖域》をボルティン対策として脅威の3枚採用。他、防御リアクションや《船乗りの終楽地》を多数採用しており、防御力を極限まで高めています。

ヤールの勝率を見ると、シンドラ、ダッシュI/O、レヴィア、傀儡・アラクニ、ファイなどのアグロに幅広く有利を取っており、苦手とするヒーローはカッサイ、タフナット、マーリン、ファングなど。(データはFablazingより引用)

来週、カッサイがLLに到達すると不利対面が一つ減ることになり、今後ますますアグロキラーとして幅を利かせる可能性がありそうです。

ベッツィー 3位 Michael Metallo選手

3位 Michael Metallo選手 Fabraryリンク

防御リアクションやライフ回復手段を多数採用したガッツリと長期戦をする思考が伝わってきます。とはいえ、盾《羊盾の堅盾》+《フィエンダルの心臓》のループ回復手段は採用していないため、最終的には武器《パイルドライバー》で殴り勝つというコンセプトのリストですね。

「侵奪されし影冠」からは赤青の《戦支度》を採用しているのが面白いポイント。

0コストで3点強化ができ、武器《パイルドライバー》にも乗るのが大きなポイントとなっています。選択2により赤いカードを下に送りスタッキングしておいたり、確認したカードを《金貨》でドローをしたり、メタカードを探しに行ける点も地味ながら嬉しい点。
他、ファングやレヴィアといったオーラトークンを使うヒーローへのメタカードとなる《荒ぶる気勢》や、ボルティンの《スラヤの祝福》を破壊できる《渦巻く亀裂》の採用などは環境を見ての選択ですね。

シンドラ 5位 Collin Cromwell選手

5位 Collin Cromwell選手 Fabraryリンク

《焦爪の焼印》が解禁されて安定感が増したシンドラがTop8に入賞。スターターとなるカードが増えただけではなく、《忠義》に依存せずに《竜の技:炎》や《竜の技:血》とシナジーしたり、シンドラのヒーロー能力を起動できるパターンが増えるなどの恩恵があるパワーカードです。禁止カードは伊達じゃない。


《竜火》は2枚、《献身の証明》や《狩人狩り》は1枚、など細かい枚数の散らしがあり、調整を感じるリスト。

《背後からの痛撃》は海外のシンドラリストでは定番の3枚となっています。
青は《短剣投げ》と《戦争屋の外交術》の合計で3枚と絞り気味。

《フィエンダルの春のチュニック》はおそらくヤール対策でしょう。盾《アイゼンロフトの要塞、石筍》で《凍傷》トークンを出された際に青が無いと手札1枚がもぎとられてしまいますが、《フィエンダルの春のチュニック》が溜まっていれば対応して1リソースを出すことで《凍傷》と相殺できます。

総括と今後のCC環境予想・LL予想

現時点でのTierは以下のように考えています。
※左右順なし

また、LLについてですが以下のように考えています。
プロクエスト:ロンドン終了時点でLLするヒーローはカッサイ、ダッシュI/O、オシリオ、シンドラ、ファイ、傀儡・アラクニの6名。PQ1週目でカッサイとダッシュI/OがLL、2週目でオシリオと傀儡・アラクニ、3週目でシンドラとファイがLL、と予想しています!
各週ごとの結果やコーリングによるポイント加算などでブレはあるかと思いますので、あくまで個人的な予想です。ご参考程度に!

と、まぁ1か月後にはS-A級のヒーローから6名の卒業を予定しており、その後は苦手なシンドラやダッシュI/Oがいなくなった環境をグレイビィがのびのびと航海するのか、ボルティンやレヴィア、アウローラといった新興勢力が活躍するのか、次の環境はどうなっているのかなかなか読みづらいです。激動する環境の中で、11月に開催される最高峰の競技イベント「世界選手権:パリ」のメタゲームがどうなるのか今から楽しみにしています。

以上です!お読みいただきありがとうございました。

Hiroyuki Tansei/どくいろ @fab_dokuiro
お気に入りヒーロー:《Lexi》,《Fai》,《Kayo》
お気に入りカード:《Art of War》
ホームショップ:TableGameCafe’Shuffle、TCG Shop Go Again
史上初の日本選手権で優勝。CallingTokyoTop8。CallingKobeTop4。日本屈指の強豪プレイヤー。手数、打点を読む洞察力が強み。アグロデッキが得意。

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