【FaBデッキリスト分析録】#15 プロツアー:横浜 トップ8デッキ SAGE編

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概要

このシリーズは大会で結果を出したリストを取り上げて、各カードの採用理由や、ヒーローの勝因を推理・考察するシリーズです!このシリーズを読んでいるだけで、「基礎的なカードの使い方」から「環境に合わせて採用すべきカード」や「ヒーローの選び方」が培われていくはず!という企画になります。
今回は「レイス英雄譚」シーズン 2026年2月-2026年5月のリストになります。

本文

GoAgainMedia攻略記事担当のdokuiroことTansei Hiroyukiです。
今回取り上げるデッキは2026年4月10日~11日にかけて開催された「プロツアー:横浜」のtop8デッキ!プロツアーは年2回、春と夏に開催されるイベントで、「世界選手権」と並ぶ競技最高峰のイベントです。今回のプロツアーはCCとSAGEのダブルフォーマットで行われ、CC9回戦、SAGE6回戦の14ラウンドを経てのSEという形式でしたので、デッキ分析も「CC編」と「SAGE編」の二回に分けて執筆します!
今回はSAGE編となります。

では、まず大会結果の振り返りから。

大会結果

SAGEラウンドまで参加したプレイヤーは468名。使用されたヒーローの分布は以下

最多ヒーロー《アイラ》は131名使用、28%という圧倒的シェア。2位の《ケイヨ》66名と2倍以上の差をつけています。

《アイラ》については、1週前の「コーリング:上海」でYoshiaki Okamoto選手とYuDi Chen選手がtop8入賞、shoma yamamura選手が「ショーダウン:上海」優勝などの結果を残し、洗練された構築が公開されたことも大きかったでしょう。明確な不利対面が《リップタイド》くらいしかおらず、《ケイノ》《ケイヨ》《ヴァルダ》《フローリアン》など多くのヒーローに五分前後の相性なので、所謂「無理マッチ」がなく非常に”丸い”ヒーローです。
3月の禁止改定発表から1-2週は《ケイヨ》の一強とされていましたが、他ヒーローの研究が進んだり、《ケイヨ》に有利な《ヴァルダ》の活躍などによってメタゲームが変化していき,、最も不利対面が少ない《アイラ》の人気が際立った形ですね。
《アイラ》に続いて《ケイヨ》、《ヴァルダ》、《オールディム》がそれぞれ使用者50名越え。《ケイノ》、《ブライアー》、《フローリアン》といった秘術ダメージ系ヒーローが続きます。

栄えあるtop8は以下!

SAGEに関してはSEラウンドでは使用されないので、道中の6ラウンドで使用されたデッキ、という形です。top8に残ったプレイヤーが選んだヒーローは《フローリアン》2名、《オールディム》、《ダッシュ》、《ブライアー》、《アイラ》、《アイスランダー》、《ケイノ》と非常に散った形になりました。《アイラ》1強の分布でしたが、top8を見ると実際には多くのヒーローにチャンスがあることが分かりますね。

では、top8のデッキリストを分析していきながら、調整の意図やカードの役割を紐解いて行きます。

※各デッキリンクのメイン、サイドボードは筆者の推測に基づいて分けています。

《アイラ》Bartosz Dobrowolski選手

Fabraryリンク

まずは最多使用ヒーローとなった《アイラ》から。
《アイラ》については当メディアで既にshoma yamamaura選手が詳しい解説記事を書いているのでそちらのリンクも置いておきます。

Bartosz選手のリストの特徴的な点は以下。

1.頭装備《Mask of Many Faces》と《Life of the Party》のパッケージの採用

頭装備《Mask of Many Faces》を起動して《Crazy Brew》を宣言→何かしら続行を持つ攻撃アクションをプレイ(この攻撃アクションの名前のみ《Crazy Brew》になる)→《Life of the Party》をプレイする際、前の攻撃アクションが《Crazy Brew》になっているので、それを破壊してリソースを支払わずにプレイ可能かつ全モード選択可能、という動きができます。
これにより、《Life of the Party》は実質1コストの6点続行、ヒット時2点回復のカードになります。《アイラ》の能力を乗せると7点オンヒットにできるため、防御値2が多いような《アイラ》ミラーや《ファイ》、防御値なしある《ケイヨ》などの対面で、手札の防御値が低い際にプレイできる噛み合いが発生すると高いバリューを発揮します。
また、いつでもリソースを使用できるので、《アイラ》対策に守護者が装備する胴《Civic Duty》による《活力》(=《Vigor》)トークンを押し付けて《調和の小太刀》続行を付けない戦法に耐性が上がります。

頭装備《刃招きのヘルム》を非採用としている点で《アイラ》ミラーや《ドリンシア》などの武器をよく使用するヒーロー相手の安定感や《Life of the Party》を引けないゲームでの出力が落ちるのがネックにはなります。

2.《柔軟な爪》の採用

《柔軟な爪》は珍しめの採用。《野生のままに》《苦々しい棘》に加えての1コスト4点続行カードです。続行カードが増加しているので、こちらも《Civic Duty》で《活力》(=《Vigor》)を押し付ける対策への耐性が上がっています。

代わりに《警報音》が不採用となっていたり、《傷には傷を》の採用が1枚に抑えられています。

《警報音》も《傷には傷を》も強力なカードですが、《フローリアン》や《オールディム》のような《アイラ》側が攻めに回り続けるような対面では「続行のない攻撃アクションの重ね引き」や「基本的に《アイラ》側がライフが上回っているので《傷には傷を》に続行が付かない」等で、攻め手が弱まるというネックがあるため、そこを嫌ったように思えます。

《フローリアン》Nicolas Jamoulle選手、Michael Hamilton選手

Nicolas Jamoulle選手 Fabraryリンク

Michael Hamilton選手 Fabraryリンク

まずは2名SEに残った《フローリアン》から。SAGEにおける《フローリアン》のアーキタイプは2つあります。
1.ほとんど攻撃せずに「腐解」を進めて《ルーン陣》を大量に溜めて、一気に大ダメージを与える「亀フローリアン」(「亀」と呼ばれる由来は亀のように閉じこもって攻撃してこないから)
2.攻撃アクションや強化アクションが一定数入っており、ある程度攻撃しながら「腐解」を達成してバリュー勝負をする「ミッドレンジフローリアン」
今回のリストは二名とも「亀フローリアン」のタイプですね。立ち位置としては以下

・ワンショットキルが可能なので「ファティーグ」全般に強い
・《アイラ》や《ケイヨ》のようなアグロ相手には五分前後。相手が攻めに使い切れない手札が来たり、自分の「腐解」4枚達成が速ければ勝てる
・防御リアクションが機能しづらい「魔術師」全般には不利

以下のカードは両者共通して採用しています。

・「腐解」を進めるカード
《絡み根の外殻》、《朽ちた森のコーラス》
これらで「大地」カード4枚追放を達成してからが《フローリアン》の本領発揮です。

・「大地」カード
《秋の知らせ》、《色鮮やかなアリア》、《森の果実》など
《秋の知らせ》や《色鮮やかなアリア》は防御値3の大地という理由で採用されていますが、しばしば物理打点としてプレイするパターンもあります。

・《ルーン陣》作成カード
《秘術の種子+生命》、《ルーン陣への変換》など
《フローリアン》の能力がアクティブになってからプレイすると、《秘術の種子》は《ルーン陣》4個+1点回復で5点相当、《ルーン陣への変換》は4点防御+《ルーン陣》2個、《ルーンブラッドの詠唱》は《ルーン陣》6個で6点相当と強力な表現価値を出します。

上記3種のカード群は「亀フローリアン」の根底をなすカードなので、色の取捨選択が発生するくらいで、基本的には採用されるカードとなります。
続いて、個別のリスト分析をします。
Nicolas Jamoulle選手のリストで特徴的なカードは《最前線の稜堡》でしょう。

《アイラ》を仮想的とした際に有効なカードで、《調和の小太刀》の2点に出しておくことで、ちょうどブロックしながら1点軽減を誘発させれます。これにより次の4点続行を3点防御と合わせて防いだり、5点を4点防御リアクションと合わせて防ぎきることができ、ライフを守り切りやすくなります。《アイラ》の「《調和の小太刀》とブレイクポイントにより効率の良い防御をしづらい」という強みを減らすためのカードで、《アイラ》が多いであろう環境を想定してのカードです。読みはばっちり的中しましたね。

《慟哭する戦場》も特徴的なカードで、一見無条件で秘術ダメージを飛ばす《苦悩の印》の下位互換に見えますが、大地かつオーラである《収穫の季節》や《大地の印》等のカードを追放することで、4枚の大地追放に必要な「腐解」の回数を減らすことができます。

本来《フローリアン》は2回「腐解」をしなければ4枚の大地追放を満たせませんが、《慟哭する戦場》や《腐肉食虫の印》で「大地・オーラ」を追放、次に《絡み根の外殻》で「大地カード2枚と大地・アクションカードを選んで大地カードを3枚追放」とすることで、「腐解」カードが1枚しか引けていなくても大地が4枚追放できます。《フローリアン》をプレイする際は知ってると得する小テクです。

Michael Hamilton選手のリストで特徴的なカードは《ルーンの一閃》。

「魔術師」クラスや、ある程度《フローリアン》側が攻めないと耐えきれないようなマッチアップで活躍する、追加の攻撃札ですね。《アークナイトの増大》の追加というような役割です。続行なのでこの後《ルーン占い》のプレイや《苦痛の王笏》を起動したりが可能なのも嬉しいところ。

武器《Annals of Sutcliffe》はミラーマッチや《オールディム》のようなファティーグ相手に活躍するカードです。

3リソースを払い、1ドロー。攻撃アクションと非攻撃アクションをこの能力の為にピッチしていた場合、《ルーン陣》を1つ作成できる…と、2枚の手札を消費して1ドローしつつ《ルーン陣》を1個作る、効率があまり良くない効果なのですが、《苦痛の王笏》のダメージがほぼ通らないミラーマッチと《オールディム》相手には便利です。3枚までピッチできるので、デッキを掘る速度が速く、「腐解」カードへのアクセスが早まるのも利点。

《ブライアー》 Yuki Lee Bender選手

Fabraryリンク

《ブライアー》が入賞。「レイス英雄譚」環境初期のTier1アグロデッキでしたが、3月の禁止改定により、《燃焼+ショック》、《稲妻の圧壊》といった主要カードを失い、攻撃力が低下しました。

それでも《苦悩の印》を強く使える点や、1枚4点続行の《稲妻纏い》や0コスト5点相当の《秘魔術の衝撃波》《静電撃》などの攻撃アクション、《稲妻の化身》《大地の化身》のトークンを作成するヒーロー能力の強さは変わらず健在。

《オールディム》のファティーグに弱い等の弱点はありますが、《アイラ》や《ケイヨ》とは出力勝負でき、《アイラ》を仮想敵にしている相手の対策を回避できるなどの強みがあります。

《燃焼+ショック》、《稲妻の圧壊》等が抜けた穴を補うために入った新勢力は《ボルタリスの印》と《稲妻の制御》。

《ボルタリスの印》はプレイした際のバリューは1点x2=2点と低いカードですが、インスタントタイミングで秘術ダメージを飛ばせるため、リーサルに役立ったり、《苦痛の印》の防御値を上げたりと便利なカード。また、腕装備《亡霊招き》で回収したり、頭装備《卓越の閃光》で手札に回収することが可能なため、シナジーが多いです。

対《オールディム》のようなダメージが通りづらいマッチでは《痛撃》が使いづらいですが、《ボルタリスの印》で自分を対象に秘術ダメージを与えることで《痛撃》を4点続行にするシークレットテクもあります。

《稲妻の制御》は条件を満たして3点秘術ダメージ、続行もなしとカードパワー自体は決して高くありませんが、「ルーン剣士」クラスにも関わらず3点と大きな秘術ダメージを飛ばせるのがウリ。ほとんどの場合「ルーン剣士」相手には秘術防壁1しか装備しないため、《ブライアー》が先手の際や、ファティーグデッキ相手に数々の防御を無視して2点のダメージが狙えます。実質「圧倒」(=dominate)のような役割ですね。

《ダッシュ》 Eugene C選手

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「機械技師」クラスのアグロデッキ筆頭である《ダッシュ》がtop8に入賞。
《ダッシュ》は「ブースト」ギミックを使用した直線的なアグロで、やることは《急加速》や《ジッパーの一撃》といったコスパのブースト攻撃アクションで連続攻撃して、武器《失われた王子、タリシャー》か《プラズマ・バレるショット》で最後に攻撃!という超シンプルな戦略。

「ブースト」能力の制約により、「機械技師」クラス以外のカードを採用できないデメリットや、非常にファティーグされやすいという難点を考慮すると、《アイラ》や《ケイヨ》で良くない?と思われがちですが、特筆すべき点がいくつかあります。

・頭装備《mBrio・ベースバイザー》と《ハイパードライバー》のリソース供給により「魔術師」に強い
《ケイノ》や《アイスランダー》といった魔術師クラスは相手のリソースが少ないほど「秘術ダメージ」によるダメージが狙えるので有利が付きやすいですが、《ダッシュ》は《ハイパードライバ》によるリソースの増加と、頭装備《mBrio・ベースバイザー》で更にリソースを消費せずに軽減することも可能なので魔術師クラスに優位が付きやすいです。

・ほぼすべてのカードに防御値が3あるため、防御の自由度が高く、効率の良い防御が可能

この長所は特にリソース事故が起きた際に有効です。《アイラ》や《ケイヨ》といった他のアグロデッキは赤いカードが防御値2から0のカードが多く、赤4枚の手札の際に「防御しても弱いし、殴り返すのも弱い」といった状況になりがちです。《ダッシュ》は攻撃アクションが全て防御値3をもつため、赤4枚や青4枚でも防御でバリューを出すことが担保されています。

・先手で《プラズマ・バレルショット》にカウンターを置いて表現価値を保存できるため、アグロミラーの先手番でも最低限の動きが担保されている

アグロデッキ同士のマッチは基本的に後手が有利で、先手が不利です。先手番の攻撃はほぼすべて防御されてしまい、後手の4枚の攻撃を先手側が受けないといけないからですね。《ダッシュ》も例にもれず、基本的に後手のほうが強力です。
なので、《アイラ》の《氣の祝福》や《ブライアー》の《秘術の種子+生命》《邪悪な詠唱》など、「先手でプレイすると次のターン以降を強力にできるカード」は強力とされ、採用されています。

《ダッシュ》の武器《プラズマ・バレルショット》は2リソースを払って「蒸気カウンター」を補充。「蒸気カウンター」を取り除くことで、ブーストしてる数+1点の攻撃が可能。つまり、ダメージを保存して、先手2ターン目にブーストで3-4回攻撃→武器《プラズマ・バレルショット》で4-5点にダメージという動きがほぼ必ず可能です。先手番でいつでも《氣の祝福》が引ける《アイラ》のようなものと言え、先手で必ずセットアップができるのは《ダッシュ》の強みの一つです。さらに《高性能手榴弾》のようなアイテムをプレイできれば最高の先手の上振れとなります。

《オールディム》 Tommaso Viscido選手

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SAGE環境屈指のファティーグデッキ《オールディム》もtop8入賞。
《オールディム》は相手のデッキのカードを全て使用させて受けきる想定のデッキなので、「どのヒーローを意識しているか」で細かい構築の違いがでてきます。今回の構築は秘術防壁5と《秘術の極性》《Steadfast》《Brush Off》などのカードを多くを取っていることから「魔術師」クラスを対策していることがわかりますね。

《古きものの束縛》《Disable》などの赤い攻撃アクションを採用してセットアップしている《ヴァルダ》や《アイラ》に攻撃をしかけるリストもありますが、赤い攻撃アクションは《岩落とし》1枚のみ。

ほとんど武器《巨人の鉄槌》だけで勝つつもりのリストになっています。その辺りにガードを下げた代わりに「魔術師」対策を厚くしているリストですね。

《アイスランダー》 Chanon Puttaree選手

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《ケイノ》と双璧をなす魔術師クラス《アイスランダー》がtop8入賞。サブトーナメントの「ショーダウン:横浜」でも準優勝、スカーミッシュでも3番目の優勝数を誇ると、メキメキと頭角を現しています。

俗に「ブルランダー」と呼ばれる構築で、攻撃アクションを採用しており、ミッドレンジ・テンポデッキ的な要素を持つ構築です。

《フィエンダルの戦意》《Wounded Bull》などの物理攻撃アクションで自分ターンに攻撃した後、格納庫に《氷撃》《冬の凍牙》などの青い氷カードを埋め、相手ターンにプレイすることで《凍傷》(=Frostbite)トークンを作成して相手の妨害する動きが基本です。特にリソース用のカードが1枚しか引けていないような相手には《冬の凍牙》や《Arctic Incarceration》は非常にやっかいな妨害となります。

《思考の保管》でファティーグデッキも対策し、青《攪拌するエーテルウィンド》を格納庫からプレイ→赤《名誉教授の叱責》による相手ターンに8点の秘術ダメージを出すリーサルの要素もあり、様々な対面に対応してます。

《ケイノ》 Evan Herndon選手

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サイドイベントである「ショーダウン:横浜」も優勝した《ケイノ》がtop8入賞。
数々のショーダウンを優勝しており、秘術ダメージでダメージ積み重ねて、最後は《ケイノ》能力で相手ターンにリーサルをしかける強力さを発揮しています。

《アイラ》は秘術防壁3を装備しながら《多挟の仮面》による呪文虚壁も兼ね備えており、《秘術の極性》も殆ど2枚採用…と《ケイノ》に強い構成ですが、ショーダウン優勝や横浜のtop8と熟練の《ケイノ》使いは数多くの《アイラ》を撃破して勝ちあがっています。

珍しい採用カードは《苦痛の予感》。

ダメージを1点でも与えたら《宿命の印》が作成でき、次ターンの「選択1」が可能。《エーテル織込の攪拌杖》でダメージを増加させれば秘術防壁3の相手にもダメージを通して《宿命の印》が作成可能。《ケイノ》の能力を起動するか否かの判断材料に活かしたり、必要なカードを探しにいけます。

以上です!お読みいただきありがとうございました。


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