目次
概要
このシリーズは大会で結果を出したリストを取り上げて、各カードの採用理由や、ヒーローの勝因を推理・考察するシリーズです!このシリーズを読んでいるだけで、「基礎的なカードの使い方」から「環境に合わせて採用すべきカード」や「ヒーローの選び方」が培われていくはず!という企画になります。
今回は「第三紀の凶兆」シーズン 2026年6月-2026年8月のリストになります。
挨拶
GoAgainMedia攻略記事担当のdokuiroことTansei Hiroyukiです。
今回取り上げるデッキは2026年6月20日~21日にかけて開催された「日本選手権」(=Japan Nationals)のTop8デッキ!日本選手権は年に一度、日本一のプレイヤーを決定するイベントです。今回の日本選手権はCCと「第三紀の凶兆」ドラフトのダブルフォーマットで行われ、CC7戦、ドラフト3戦の10ラウンドを経てSEへ進出する形式で開催されました。デッキ分析はCCフォーマットのものとなります。
まずは、日本選手権開催までの環境の変化を追っていきます。
日本選手権までの環境変化の流れ
まず、今回の日本選手権は「第三紀の凶兆」発売開始(2026年5月29日)から僅か3週間後の大会となりました。また、「第三紀の凶兆」発売から開かれた競技イベントは6月13-14日に開催された「アメリカ選手権」のみ。参考となる情報も少なく、準備期間も短い「環境初期」の大会となりました。
「第三紀の凶兆」による影響は大きく以下。
・禁止改定により旧《オシリオ》が《雷の導き、ヴォルザー》《稲妻峡谷の導き》《電磁回転》を失い、既存の構築は不可能に
・拡張枠による《シンドラ》《ファング》《ベッツィー》《パフィン》《ライナー》等のヒーローの強化
・《万象結界のブーツ》及び《星界聖域》サイクルにより《短刀の妙技》対策が可能に
・新ヒーロー《ジギー》、新《オシリオ》、新《アウローラ》の登場と、「稲妻」新カードの登場

一つ前の環境、「レイス英雄譚」環境は《傀儡・アラクニ》《ヴィクター》《オシリオ》が3強とされていた環境でした。

《傀儡・アラクニ》と《ヴィクター》は環境の2トップで、既存の構築ができなくなった《オシリオ》はどうなるか、新ヒーローや拡張枠で強化されたヒーローがどれくらいか強化されるのか、といった点が注目されていました。そんな中、開催されたアメリカ選手権では新ヒーロー《ジギー》がTop8入賞、構築が変わった旧《オシリオ》がTop8に2名入賞と新環境を感じさせるものに。

特に旧《オシリオ》は物理型とアーケン型(=秘術ダメージ型)の2種が入賞し、「対面した《オシリオ》がどちらか分からない」という環境が始まりました。

参考 物理型リスト ”Majin Bae”選手 アメリカ選手権5位 Fabraryリンク
アーケン型リスト ”Aaron Grace”選手 アメリカ選手権5位 Fabraryリンク
日本選手権大会結果
118名のプレイヤーが参加し、ヒーローは以下の分布となりました。

使用最多は《ヴィクター》の18名、旧《オシリオ》の13名が続く形になりました。しかし、その2トップのヒーローを合わせても31名と30%未満。非常に雑多なメタとなりました。
CC7ラウンドとドラフト3ラウンドの予選10ラウンドを終えて、見事Top8に残ったヒーローは以下。

旧《オシリオ》2名、《カッサイ》2名、《アイラ》、《Prism》、《ドリンシア》、《Fai》と、使用者の少ないヒーローが多く勝ち上がっているのが印象的。使用者の多かった《ヴィクター》、《シンドラ》、《傀儡・アラクニ》といったヒーローは残念ながらTop8に残れませんでした。
そして、見事優勝を飾ったのはアーケン型の旧《オシリオ》を使用したTsunaki Sawai選手!優勝おめでとうございます!
以下、Top8のデッキリストを解説していきます。
※サイドボードは筆者の考えと推測に基づいて分けています
《オシリオ》 1位”Tsunaki Sawai”選手、5位”Yohei Ohki”選手

1位 Tsunaki Sawai選手 Fabraryリンク

5位 Yohei Ohki選手 Fabraryリンク

Top8に入賞した《オシリオ》は2名ともアーケン型でした。アーケン型のオシリオは20~30点近くのダメージを与えるコンボを複数種採用しているので、まずはコンボの紹介からします。
※以下、長くなるのでコンボは知ってるよ!という方は読み飛ばしてください!
【《エーテルの閃火》コンボについて】

このコンボのキーカードは《エーテルの閃火》。増幅などでダメージを増やした《エーテルの閃火》1枚目をプレイ→《エーテルの閃火》2枚目をプレイと行えば、最初に行った増幅を実質引き継いだまま巨大な秘術ダメージを飛ばし続けることが可能、というコンボです。以下、詳細な具体例を説明します。

①まず、《未来予知》+腕装備《第三紀のエーテルの結束》の組み合わせや、《Blessing of Aether》、《攪拌するエーテルウィンド》などで《エーテルの閃火》の与える秘術ダメージを増加させます。今回は《未来予知》と《光輝の印》をプレイしてターン終了し、自ターンが来た想定で行きます。




②自ターンのアクションフェイズ開始時に《宿命の印》トークン3枚と《光輝の印》の能力が誘発し、それにスタックして腕装備《第三紀のエーテルの結束》を起動。各「印」の効果で選択3と1ドローしつつ「印」が4つ場から離れた為、腕装備の効果で増幅1×4が発生します。《光輝の印》が墓地に落ちているため、《隕石の嵐、ヴォルザー》も起動し増幅1。青ピッチしながら《エーテルの閃火》1枚目をプレイし、秘術ダメージが3+増幅4+増幅1=8点。
③次に《嵐の闊歩者》を起動し、《エーテルの閃火》2枚目をインスタント扱いでプレイ。1枚目の《エーテルの閃火》が8点を与えているので、3+8=11点になります。
④最後に、手札から《ショック》をプレイ。これに2枚目の《エーテルの閃火》の効果が乗って1+11=12点の秘術ダメージになります。トータルで8+11+12=31点のコンボとなりました。
今回の例は軽減されない前提で記載しましたが、《エーテルの閃火》が秘術防壁や《オアシスでの休息》等で軽減されるとダメージがどんどん減っていきます。この例だと1枚目の《エーテルの閃火》が1点軽減されると、トータルで3点減ることになりますね。また、《嵐の闊歩者》以外にも《稲妻の脛当て》を起動してるターンに《宇宙の閃火》等のインスタントをプレイしてアクションポイントを増やすことでも《エーテルの閃火》を連打できます。



《エーテルの閃火》コンボのメリット
・《Blessing of Aether》や《未来予知》複数枚+腕装備《第三紀のエーテルの結束》などでダメージの上限が大きい
・《エーテルの閃火》2枚とインスタントでプレイ可能な秘術カードがあれば成立するので再現性が最も高い
・《エーテルの閃火》が複数枚あると増幅が連鎖していく
・秘術防壁が低い相手に非常に強い
・《稲妻の脛当て》でも可能
《エーテルの閃火》コンボのデメリット
・秘術防壁が多く青いデッキに通りが悪い
・基本的に自分のターンにしかけることになりやすく、相手は手札4枚でこちらのコンボを迎え撃てる=秘術防壁と青が相手には辛い展開が多め
・最初の《エーテルの閃火》のダメージが《オアシスでの休息》や《秘術協議会》で軽減されると悲しい



【《エーテルの猛火》コンボについて】

かつて《ケイノ》のキーカードとして猛威を振るったカードです。こちらは《エーテルの閃火》と異なり、「相手ターン中」かつ、「非攻撃アクション」の与える秘術ダメージしか増加させないので、《ショック》や《閃響》等は増加しない点に注意。ヒーロー能力を使えばインスタントタイミングで秘術ダメージを与えられる《ケイノ》ほど相性は良くありませんが、《オシリオ》でも強い使い方は可能です。
①《嵐の闊歩者》を起動して《攪拌するエーテルウィンド》をプレイ。
②《攪拌するエーテルウィンド》の効果で《エーテルの猛火》をインスタント化してプレイ。7点秘術ダメージ。
③《急反射》をプレイ。《エーテルの猛火》の効果で7点増えて10点秘術ダメージ。
④《双雷》をプレイ。《エーテルの猛火》の効果で7点増えて10点秘術ダメージ。
といったように動けます。《エーテルの猛火》の効果が乗るカードは《急反射》《双雷》など限られている点は注意。また、《星雲の双対》の起動型能力にも乗ります!(能力はインスタントですが、カードタイプはアクションカードが発生源なので、《エーテルの猛火》の効果は適応されます)



《エーテルの猛火》コンボのメリット
・相手ターンに動けるコンボなので、相手の手札がない時にダメージを狙える。つまり、秘術防壁や軽減カードをプレイされないタイミングでコンボが可能
《エーテルの猛火》コンボのデメリット
・《嵐の闊歩者》が無いと成立しない
・かかるリソースが多い
・《エーテルの猛火》が軽減されると弱い
・《双雷》や《急反射》等のアクションカードとしかコンボが成立しないため要求値が高い
【《象形文字の重なり》コンボについて】

《未来予知》などの「印」を展開するカードと腕装備《第三紀のエーテルの結束》+《エーテルの印》や《急反射》《ショック》などのインスタント秘術ダメージカードで成立するコンボです。

①自ターンに《未来予知》2枚プレイ
②《エーテルの印》をプレイ
③《象形文字の重なり》をプレイし、スタックで腕装備《第三紀のエーテルの結束》を起動
④《象形文字の重なり》が秘術ダメージ3点+7点=10点
⑤《象形文字の重なり》の逆巻効果で「印」が全てデッキの底に送られ、《第三紀のエーテルの結束》が誘発
⑥増幅を全て解決した後《エーテルの印》の離れた時の誘発を処理して8点秘術
《象形文字の重なり》コンボのメリット
・腕装備《第三紀のエーテルの結束》さえあれば可能なため、《嵐の闊歩者》に依存せずにコンボが可能
・《象形文字の重なり》以外はインスタントなので《嵐の闊歩者》を使い相手ターンに狙うこともできる
《象形文字の重なり》コンボのデメリット
・枚数要求が多いため、スタッキングしたり、手札にパーツを抱える必要がある
・《象形文字の重なり》の逆巻が達成できないと失敗する
・高くても20点近くのダメージしか出ないので、最大火力は低め
上記が現時点でアーケン型《オシリオ》に含まれているコンボです。コンボの説明終わり!
それぞれリストを比較すると、優勝したTsunaki選手は《エーテルの閃火》を9枚採用しており、《エーテルの閃火》コンボに寄せたリストということが伝わってきます。Ohki選手は《エーテルの猛火》も採用しており、相手ターンでのコンボも可能にしています。また、両者とも《象形文字の重なり》は採用していますね。《象形文字の重なり》は秘術防壁の多い相手やファティーグが見込まれる相手へのサイドカードとして機能すると思います。
サイドカードであろうカードと役割は以下。
《稲妻の脛当て》:自ターンに起動し、インスタントをプレイしてアクションポイントを増やし、秘術アクションカードを連打するパターンのコンボが可能。要求値は上がるが、コンボ最大値を伸ばす上振れ装備として採用。また、高速アグロ・オンヒットアグロ相手に1点の防御値がある。
《象形文字の重なり》:腕装備のみで可能な追加のコンボカード。
《Blessing of Aether》:秘術防壁が多い相手への追加の増幅札。
《燃やし尽くし》:《Prism》相手のポッパーと、秘術防壁が多い相手にダメージを通すための巨大秘術ダメージカード
《追憶》:ファティーグを狙ってくる防御的な相手に《燃やし尽くし》や《攪拌するエーテルウィンド》を回収してダメージの貫通を狙う。
《閃雷》:ファティーグを狙ってくる防御的な相手に自ターンの秘術ダメージ→相手ターンに《閃雷》でダメージの貫通を狙う




今回の勝因は「《ヴィクター》《カッサイ》《アイラ》など秘術防壁に弱いヒーローが多かった」「秘術防壁が少ない環境だった」「オシリオとマッチした際、アグロ型なのかアーケン型なのか分からない為、適切なサイドインアウトがしづらい」「アーケン型オシリオの脅威が認識されていなかった」等多数あると思います。今後、対策カードが増えていったり、アーケン型オシリオに有利が付くヒーローが増えていったり、《ヴィクター》がLLしたりした後にどのような立ち位置になっていくか注目です。アーケン型オシリオは《ダッシュ I/O》《カツ》《Fai》のような高速アグロや《Prism》のような軽減手段が豊富なデッキに弱いです。
アーケン型オシリオは「日本選手権」のラウンド8と決勝戦で対戦の様子が映っているので、動きが気になる方はそちらもチェック!

《アイラ》 2位 “Takahito Natsume”選手

2位 Takahito Natsume選手 Fabraryリンク

ミッドレンジタイプの忍者、《アイラ》が2位入賞。世界的には使用率が低いマイナー寄りのヒーローですが、国内では愛好者が多く、日本選手権でも7名と使用率6番手。
最近は「第三紀の凶兆」で登場した新カード《刃輪》等と腕装備《風切り》の「手裏剣」パッケージを採用した《アイラ》が流行していましたが、このリストは不採用。《争い探し》と青にパワー1の攻撃アクションを多く採用したオーソドックスなタイプです。



特徴的な点は、腕装備が《星界聖域のグローブ》か《虚空のルーンのグローブ》の2種のみである点。



一般的にこれまで《アイラ》は能力がほぼ誘発しないバニラの防御値2の装備として《虎模様の手甲》を装備していましたが、このリストは不採用。《星界聖域のグローブ》は「第三紀の凶兆」で登場し、《傀儡・アラクニ》や《シンドラ》対策のサイドカードになると注目されていましたが、このリストではほとんどの対面に《星界聖域のグローブ》を装備する想定です。防御値を1上げるために1枚枠を割くのは弱い!という判断を感じます。
他、《墓守り》が3枚採用されているのは面白い点。

1コスト5点なので、《アイラ》では青ピッチしながら《調和の小太刀》→《調和の小太刀》→《墓守り》で《機運の仮面》を狙いながら墓地追放ができるため相性〇。環境的にも《シンドラ》《人狩りのアラクニ》《グレイビィ》《Fai》《ヴィクター》など墓地を活用するヒーローは多く、有用なサイドカードです。特にロングゲームをしかけて《追憶》で《ゴールドメインの地所の訪問》を使い回すことを狙っている《ヴィクター》相手に《ゴールドメインの地所の訪問》を追放できれば、ゲームプランを破壊するサイドカードとして機能します。



《Prism,Awakener of Sol》 3位 “Kazuki Itabashi”選手

4位 ”Kazuki Itabashi”選手 Fabraryリンク

光・幻術師の《Prism》が3位に入賞。
《Prism》は各種「ヘラルド」や「Figment」、インスタントオーラである《Arc Light Sentinel》《Genesis》などが基本的に固定枠として採用されるため、デッキのフリースロットが狭いデッキです。が、環境に合わせて数枚のカード選定が行われます。今回、特徴的なカードは頭装備《Halo of Lumina Light》と《セケムのヘラルド》、そして《短刀の妙技》対策になる腕装備《星界聖域のグローブ》でしょう。



《セケムのヘラルド》は守護者や《カッサイ》のような「ヘラルド」の攻撃が通りづらい相手にソウルを確実に貯めさせてくれる役割のサイドカードでしょう。
《Halo of Lumina Light》は守護者対策として装備されるカードのようです。《Prism》は守護者に対して、「ヘラルド」による攻撃をしても、殆どパワー6以上の攻撃で防御されて破壊されてしまうため、攻撃は基本的に通りません。そのため、各種「光彩」(=Spectra)オーラを多数展開しつつ「Figment」を《天使の傍仕え》と《Prism》の能力で複数展開し、オーラと盟友による攻撃で守護者を追い詰める必要があります。
その際に役立つのが頭装備《Halo of Lumina Light》。《Merciful Retribution》の効果などで自分に秘術ダメージを与えて《Halo of Lumina Light》を破壊することで、追放しているインスタントオーラをコストを払わずに展開可能。《Arc Light Sentinel》を踏み倒すことで、守護者を盟友とオーラの牢獄で取り囲む戦略がとりやすくなります。


これにより本来不利対面である《ヴィクター》を打倒し、Top8まで進出したようです。
相性面で見ると、《Prism》は、《オシリオ》や《グレイビィ》、《傀儡・アラクニ》等に有利がついており、プレイ難易度こそあるものの立ち位置は非常に良いヒーローでした。
《カッサイ》 3位”Shoma Yamamura”選手、5位”Hiroki Saito”選手

3位”Shoma Yamamura”選手 Fabraryリンク

5位”Hiroki Saito”選手 Fabraryリンク

ミッドレンジタイプの戦士ヒーロー《カッサイ》が2名入賞。
「第三紀の凶兆」からは頭装備《星界聖域のヘルム》を両者とも採用。

こちらは《傀儡・アラクニ》ピンポイントでのメタカードとしての採用でしょう。防御的なヒーローなので《流血の陶酔》からの《短刀の妙技》によるドローを防いだり「標的」を防ぐことの意味が大きいです。「レイス英雄譚」からは《鈍刀》3枚と《錬金価》が1枚採用。



《鈍刀》は戦士や《アイラ》、《傀儡・アラクニ》といった続行持ちの武器をダメージ源にするヒーローに有効なサイドカードで、《錬金価》は《フィエンダルの春のチュニック》を装備している相手に使用することで《金貨》が1-2個作成できます。ドローしての《カッサイ》能力の有効化や《軍隊の招集》のXの値を大きくすることが狙える青の防御値3のメインカードです。



《フィエンダルの春のチュニック》にカウンターが3つ置かれていると、《錬金価》プレイのスタックで《フィエンダルの春のチュニック》起動で回避されてしまう点は注意。リストの差異に注目すると、Shoma Yamamura選手のリストは《抜剣》を赤2枚黄色1枚で3枚採用、《Gorganian Tome》の採用など、アグレッシブにドローして《カッサイ》のコスト軽減能力を誘発させる構成になっています。



《群青に沈む》と《予見された宿命》が2枚ずつの採用に抑えられ、防御リアクションが合計7枚になっており、少し防御力を落として攻撃的にしているリスト、と言えそうです。


Hiroki Saito選手のリストは《抜剣》は採用せず、防御リアクション9枚で防御的・安定重視のリストと言えそうです。また、カッサイはヒーロー能力の起動用に黄色いカードを一定数採用する必要がありますが、その枠に個性が出ています。Saito選手は黄色の《Slice and Dice》を採用せず、黄色《In the Swing》や黄色《Outland Skirmish》を採用しているのが特徴的。



黄色《Slice and Dice》は2回攻撃できるターンでは黄色でも0コス3点になる点が優秀ですが、逆に続行が付与できない手札では1点になってしまうリスクのあるカード。防御的な相手に追加の攻撃リアクションとなって《カッサイ》能力起動ターンや《Spoils the War》使用ターンのヒットを狙える黄色《In the Swing》やヒット圧を高めることができる黄色《Outland Skirmish》の採用に至ったのでしょう。
《ドリンシア》 5位”Okamoto Natsuki”選手

5位 “Okamoto Natsuki”選手《ドリンシア》Fabraryリンク

《黎明剣》を主軸にした剣《ドリンシア》が入賞。Okamoto選手は昨年も剣《ドリンシア》を使用して日本選手権top4に入賞しており、二年連続の入賞となります。快挙!
「アーモリーデッキオリジン:ハーラ」で新登場した《刃の煌めき》が採用され、《旋風》トークンのギミックが採用されているのが特徴的。


《ドリンシア》は本来1回目の《黎明剣》の攻撃を通した上で、ヒーロー能力により2回目の《黎明剣》の攻撃が可能になる…つまり1回目の攻撃が止められると基本的に連続攻撃ができない弱点がありました。が、《旋風》トークンがあるターンは、続行さえあれば2回《黎明剣》での攻撃が保証され、1回目と2回目のどちらかがヒットすれば《ドリンシア》能力により3回目の攻撃が可能になります。配信卓でも《旋風》トークンのあるターンに胴装備《Courage of Bladehold》を起動して武器のコストを軽減し、3回攻撃のビッグターンを作る様子が映っていますので、気になる方はチェック!

《Fai》 5位”Ken Kuwahara”選手

5位 “Ken Kuwahara”選手《Fai》Fabraryリンク

アグロ・コンボデッキの竜系忍者である《Fai》がTop8入賞。
「レイス英雄譚」で《不死鳥の技:炎》と《血潮に燃ゆる》を獲得し、活躍が期待されていました。


が、当時の環境では《精神の歪曲》《黒麗の標的》《岩落とし》《鉄拳の試練》などの妨害を受けてコンボしきれない展開が多く、活躍しきれませんでした。




「第三紀の凶兆」環境になり「アメリカ選手権」Top8が2名、そして「日本選手権」でもTop8入賞と頭角を現し始めました。《オシリオ》から《精神の歪曲》が不採用になったことや「第三紀の凶兆」での新カード《万象結界のブーツ》により《傀儡・アラクニ》に対して「標的」を防いだり《黒麗の標的》のハンデスを防ぐことが狙えるようになったのが嬉しいところ。


Kuwahara選手の構築は《Fai》の中でもコンボに寄ったもので、《不死鳥の技:戦》や《Spreading Flames》を使用しており、強化が入るターンに頭装備《Mask of the Pouncing Lynx》も使い、デッキから《溶岩の爆発》や《傷口に塩》をサーチし、1ターンに30-40点近くの大ダメージを狙う構成です。




《Inflame》や《Phoenix Form》の採用が象徴的です。




《Inflame》は墓地に《不死鳥の炎》(=《Phoenix Flame》)が1枚しかない時は貧弱ですが、墓地に2枚以上《不死鳥の炎》があるコンボターンには非常に強力。特に《Spreading Flames》との相性はバッチリで、《Spreading Flames》→《Inflame》とプレイすることで竜系チェインリンクを2つも伸ばして《Spreading Flames》のバフが乗る範囲を広げながら、4点のダメージを出してくれます。《Inflame》は《Mask of the Pouncing Lynx》でサーチ可能なのも嬉しいところで、《Spreading flames》+《不死鳥の技:戦》のターンなどはサーチする候補になります。《Phoenix Form》は《不死鳥の炎》の数だけ強化される攻撃アクション。3枚の《不死鳥の炎》はなかなかハードルが高いですが、2枚までは《Inflame》や《炎呼びの覚醒》等と同時に引けばほぼ達成できるため、現実的に狙えます。0コス5点続行だけで充分破格のスペックなので採用ということですね。防御値が3あるのも嬉しいところ。
青いカードはピッチの役割が基本ですが、プレイした際にはセットアップに貢献するカードが多く採用されています。《敏捷の妙技》、《一時停戦》、《エネルギー・ポーション》はいずれもアクションポイントを消費して、次のターンの手札を増やす可能性があるカード。




妨害をしてくる相手や硬い相手、先手1ターン目などにこれらを使用して次のターンに格納庫+手札5枚でコンボをして大ダメージを出すのが理想的な展開です。《エネルギー・ポーション》と《ルビーのアミュレット》はほぼ同じ効果ですが、環境に《狩るか狩られるか?》による名称参照があるため散らして採用していますね。

おまけ 教材コーナー
今回は入賞した各プレイヤーや、元となったリストの作成者が動画や記事などを発信しているため、そちらも添付します。より詳しく知りたい方は是非以下をご覧ください!
旧《オシリオ》
日本選手権配信卓ラウンド8旧《オシリオ》VS《グレイビィ》
日本選手権配信卓SE3《アイラ》VS《オシリオ》
《Prism》
Kazuki Itabashi選手による《Halo of Lumina Light》の使い方解説動画
日本選手権配信卓ラウンド10《Prism》VS《カッサイ》
日本選手権配信卓SE2《アイラ》VS《Prism》
《ドリンシア》
日本選手権配信配信卓ラウンド1《傀儡・アラクニ》VS《ドリンシア》
日本選手権配信卓SE1《アイラ》VS《ドリンシア》
《アイラ》
山村翔馬のアイラ塾 アイラ解説動画
日本選手権配信卓SE1《アイラ》VS《ドリンシア》
日本選手権配信卓SE2《アイラ》VS《Prism》
日本選手権配信卓SE3《アイラ》VS《オシリオ》
《Fai》
USNatsTop8による《Fai》の解説動画(英語)
日本選手権配信卓ラウンド9《ヴィクター》VS《Fai》
《カッサイ》
Shoma Yamamura選手によるカッサイ解説記事
日本選手権配信卓ラウンド3《カッサイ》VS《Teklovossen》
日本選手権配信卓ラウンド10《Prism》VS《カッサイ》
総括と今後のCC環境予想
これまで日本選手権は、国別選手権の最終週に割り当てられてきたため、環境の結論がある程度出てから開催されてきました。しかし、今年の日本選手権は第一週目開催ということで、「第三紀の凶兆」新環境らしい大会となり、新環境の中でも立ち位置の良かったアーケン型《オシリオ》が活躍した結果となりました。また、活躍が見込まれていた《ヴィクター》はアーケン型《オシリオ》の台頭、《傀儡・アラクニ》は《万象結界のブーツ》や《星界聖域》シリーズによる対策が進み活躍できなかったように思います。優勝したアーケン型《オシリオ》は今後、軽減などの対策が増えたり、苦手な「自分よりも早いアグロデッキ」が増えると立ち位置が悪くなる懸念がありますが、この日本選手権においてはアーケン型《オシリオ》がベストデッキだったことが結果として証明されました。
【今後の環境予想】
各国の国別選手権の影響により、6月29日もしくは7月6日に《ヴィクター》がLLに到達する見込みがあります。さらに、来週6月29日(月)には禁止改定も発表予定。まだまだCC環境は変化していきそうですね。《ヴィクター》は地上戦をする多くのヒーローに有利で、「《ヴィクター》に不利がつくので大会に持ち込めない」というヒーローはとても多かったので、そのLLの影響は大きいです。
個人的な予想としては、これまでアグロデッキを制圧していた《ヴィクター》がLLしたら《ダッシュ I/O》、《Fai》、《カツ》といったコンボ・アグロデッキが暴れるようになるかも…?と予想しています。



そうなると、それらのコンボアグロに対抗するデッキとして《カッサイ》《ヤール》《アイラ》《人狩りのアラクニ》といった妨害系ミッドレンジ~ファティーグも活躍するかもしれません。




国内では再来週7月10日~11日には「コーリング:新宿」が開催予定、世界規模では7月16日~18日に「プロツアー:ラスベガス」が開催予定となっています。どのような環境になっていくのか、楽しみです!
以上です!お読み頂きありがとうございました。
Hiroyuki Tansei/どくいろ @fab_dokuiro
お気に入りヒーロー:《Lexi》,《Fai》,《Kayo》
お気に入りカード:《Art of War》
ホームショップ:TableGameCafe’Shuffle、TCG Shop Go Again
史上初の日本選手権で優勝。CallingTokyoTop8。CallingKobeTop4。日本屈指の強豪プレイヤー。手数、打点を読む洞察力が強み。アグロデッキが得意。

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