目次
概要
このシリーズは大会で結果を出したリストを取り上げて、各カードの採用理由や、ヒーローの勝因を推理・考察するシリーズです!このシリーズを読んでいるだけで、「基礎的なカードの使い方」から「環境に合わせて採用すべきカード」や「ヒーローの選び方」が培われていくはず!という企画になります。
今回は「レイス英雄譚」シーズン 2026年2月-2026年5月のリストになります。
本文
GoAgainMedia攻略記事担当のdokuiroことTansei Hiroyukiです。
今回取り上げるデッキは2026年4月10日~11日にかけて開催された「プロツアー:横浜」のtop8デッキ!プロツアーは年2回、春と夏に開催されるイベントで、「世界選手権」と並ぶ競技最高峰のイベントです。今回のプロツアーはCCとSAGEのダブルフォーマットで行われ、CC9回戦、SAGE6回戦の14ラウンドを経てのSEという形式でしたので、デッキ分析も「CC編」と「SAGE編」の二回に分けて執筆します!
今回はCC編となります。
では、まず大会結果の振り返りから。
大会結果
参加したプレイヤーは531名。使用されたヒーローの分布は以下

最多使用ヒーローでも16%という、群雄割拠のメタが継続している状態です。《傀儡・アラクニ》と《オシリオ》はここ3か月ほど常に使用者が多い2ヒーローですが、《ヴィクター》は《ヴァーダンス》と《ケイヨ》のLL以降、メタ的に立ち位置が良くなっており、使用率2位まで上昇する結果となりました。雑多なメタではありますが、《傀儡・アラクニ》《ヴィクター》《オシリオ》の3ヒーローが環境の中心と言えるでしょう。
栄えあるtop8は以下!

使用率1位だった《傀儡・アラクニ》は2名入賞、使用率2位の《ヴィクター》が1名入賞、使用率3位だった《オシリオ》が3名も入賞となりました。マイナーヒーローでは使用者わずか5名の《ライナー》、使用者わずか4名の《Teklovossen》が予選を勝ち上がりtop8に入賞!
このメンバーで行われたSEは以下の結果に

《オシリオ》が両翼から駆け上がり、決勝戦は《オシリオ》ミラーに。優勝はCC《オシリオ》SAGE《ケイノ》を使用したEvan Hernoon選手!おめでとうございます!


では、top8のデッキリストを分析していきながら、調整の意図やカードの役割を紐解いて行きます。
※各デッキリンクのメイン、サイドボードは筆者の推測に基づいて分けています。
《星々の知性、オシリオ》1位Evan Herndon選手、2位Yuki Lee Bender選手、5位Michael Hamilton選手

1位 Evan Herndon選手リスト Fabraryリンク

2位 Yuki Lee Bender選手 Fabraryリンク

5位 Michael Hamilton選手 Fabraryリンク

3名のリストを比較したリンクはこちら
《オシリオ》の基本的な解説は以下の記事を参照。
3名入賞、1位2位フィニッシュと圧倒的な結果を残したのは《オシリオ》。ただし、5月28日に禁止改定が予告されており、武器《雷の導き、ヴォルザー》や《電磁回転》、《稲妻峡谷の導き》など《オシリオ》で使用される主要カードの禁止が予定されております。




特に武器《雷の導き、ヴォルザー》の禁止予告は致命的であり、現在のデッキタイプのまま戦うのは不可能になるでしょう。
つまり、《オシリオ》は有終の美を飾る形となりました。
今回入賞した3名のリストは全て、テンポプレイを重視した「テンポオシリオ」と呼ばれるリストです。
「テンポオシリオ」のリストの特徴としては
・《忘却への爆破》が5-6枚採用に抑えられている
・《稲妻纏い》などの0/4/2続行札が採用されていることがある
・《稲妻の圧壊》《雲の広がり》などプレイして表現価値が高い稲妻インスタントが多く採用される
といった点があります。



《忘却への爆破》を8-9枚採用したリストに比べて、《電流の結集》や《雲の広がり》を採用して防御力を高めており、コンボの速度や揃う確率は落ちているものの、逆にコンボに依存せずに「攻めの効率が悪い手札では防御をして、攻めの効率が良い時に一気に攻撃を受けて攻める」という表現価値による戦いをすることが可能。


防御値がある程度上がっていたり、コンボに依存せずに打点を出すことが可能なので、《残響のアミュレット》や《顔面消去》《最も脆い所》のようなメタカードも、致命的になる局面もあるものの、ある程度回避可能となっています。



今回の3名のリストの共通点としてサイドカードに採用する秘術ダメージカードである《燃やし尽くし》《象形文字の強化呪文》を多く採用している点があります。


これらの巨大秘術ダメージカードは《ヴィクター》のブロックカードを腐らせながらダメージを通せる点や、《人狩りのアラクニ》《プレアデス》など《オシリオ》にファティーグを狙う相手に対してダメージを通すためのツールとして役立ちます。



これにより母数の多い《ヴィクター》及びこれまで不利のついていた《人狩りのアラクニ》やファティーグデッキへの耐性を上げているのは勝因の一つでしょう。アグロデッキとはライフレース、ファティーグデッキにはダメージソースを増やす、コンボ要素による上振れもある《オシリオ》は今大会において、《残響のアミュレット》や《顔面消去》《最も脆い所》、多数の「秘術防壁」などで対策されてなお優勝という最上の結果を残すポテンシャルを示しました。
優勝者のリストとそれ以外のリストでの差異がいくつかあるため、細かく分析していきます。
①《フィエンダルの春のチュニック》及び《虚空/ショック》3枚の採用


優勝者Evan Herndon選手のみがこれらを採用しています。《虚空/ショック》は《ショック》のみでプレイする場合も1コストかかってしまうため、《フィエンダルの春のチュニック》と相性が良いです。《虚空/ショック》はミラーマッチで《虚空》が強く、また《ショック》の増量としても運用できます。《ショック》が多いと、ファティーグを狙ってくる相手に強力なターンを作りやすくなります。また、《ショック》が増量されていると《グレイビィ》の「盟友」の攻撃中に「盟友」を処理するプレイがしやすくなる点もメリットです。



②《エーテルの糸紡ぎ》と《光速思考のターバン》の採用


優勝者Evan Herndon選手は《光速思考のターバン》、他2名は《エーテルの糸紡ぎ》を採用しています。これらのカードの役割は共通しており「アグロデッキ相手の、急いで《光速移動》や《光輝の印》といったコンボパーツを探しにいきたい対面でデッキを掘るカード」です。ただ、長所と短所は異なります。
《光速思考のターバン》
長所
・装備品なので確実に使用できる
・《短刀の妙技》に強いため、《傀儡・アラクニ》と《シンドラ》に強い
・連続攻撃系ヒーローにも強いため《ファイ》等にも強い
短所
・デッキ内のインスタントの枚数を要求する
・インスタントが手札に3枚以上ないと起動しづらい
・他の頭装備を装備できない
《エーテルの糸紡ぎ》
長所
・ダメージを出しながらデッキを掘れる
・秘術防壁を取りづらいデッキ相手に強力
・先手1ターン目アクションとして強い
・《稲妻峡谷の導き》の維持に貢献する
・頭装備《卓越の閃光》や《公正の守護》を装備できる
短所
・装備品の《光速思考のターバン》と違い引かなければ意味がない
・秘術防壁を多くとっている相手には弱い
・コンボターンやコンボ後はあまり強くない
・リソースを要求するため、色事故のリスクがある



デッキのインスタントやリソースの比率や、どのマッチアップを見るかでそれぞれ評価が変わる、といった感じですね。
③《稲妻纏い》の採用数

1位Evan Herndon選手は0枚、2位Yuki Lee Bender選手は2枚、5位Michael Hamilton選手は3枚と三者三様の採用枚数。《稲妻纏い》の強みは0コス4点続行という表現価値の高さですが、弱点は「稲妻」を持たないため武器《ヴォルザー》の増幅数に貢献しない点やコンボターンに弱い点。
役割としては
・《残響のアミュレット》を設置されているゲームや《最も脆い所》のような妨害オンヒットが多い相手へのテンポカード
・《オシリオ》側が攻め続ける展開になるファティーグを狙われるマッチで打点として役立つ
・《グレイビィ》の盟友処理に貢献する
といった性質を持っています。



要は「コンボを阻害されている時」や「コンボに依存せずに出力を上げる」カードです。Evan Herndon選手の構築では《虚空/ショック》を3枚採用しており、コンボターン以外もなるべく「稲妻」カードを使用したいなどの都合により《稲妻纏い》を採用せず、《電壊》を1枚採用していますね。
《傀儡・アラクニ》3位 Bartosz Dobrowolski選手、5位 Tommaso Viscido選手

3位 Bartosz Dobrowolski選手 Fabraryリンク

5位 Tommaso Viscido選手 Fabraryリンク

2名のリストを比較したリンクはこちら
今大会使用最多となった暗殺者《傀儡・アラクニ》は環境でも屈指の完成度を誇るアグロ/妨害デッキです。
「レイス英雄譚」環境前である1月に開催された「コーリング秋葉原」でも頭角を現しており、その際に《傀儡・アラクニ》の強みなどは解説しています。当時のリストと「プロツアー:横浜」のリストを比較するのも面白いですね!
現環境の《傀儡・アラクニ》は《オシリオ》を始めとした多くのデッキに五分以上が取れますが、いくつか厳しいマッチアップも現れていた…という状況でした。《人狩りのアラクニ》には「契約」を達成されやすく、「銀貨」を稼ぎながらファティーグされやすい…。《ヴィクター》にはブロックでライフを守られながら強力な「粉砕」を防がざるを得なくジリ貧になりがち…。と、この両名には不利がついています。



他《Prism》や《ダッシュ I/O》相手にもライフレースで負ける展開があり、見なければいけない対面は多い状況でした。

今回入賞した2名のリストで特徴的な点に触れていきます。
①《Codex of Inartia》2枚の採用



《Codex of Inartia》の役割は大きく3つあります。
1.格納庫が空いている相手に対して使用し、「青いカード」や「ブロック」「ジェム」など弱いカードを格納庫に置かせながら手札を1枚捨てさせる。
2.《無力症》(=Inartia)トークンにより、次のターンの相手に格納庫を置かせない。これにより《オシリオ》のコンボの準備を邪魔したり、ファティーグデッキの格納庫の防御リアクションを封じることが可能。相手の防御札は4枚だが、こちらの攻め札は5枚という状況を作れる。
3.《熟慮》(=Ponder)トークンによる表現価値が高いカードとしての運用。
1.と2.の役割が特に大きく、《ヴィクター》のような青いカードや「ブロック」が入っているヒーロー相手が格納庫を開けていれば大きなチャンスになります。
②《成りすまし》2枚の採用



《成りすまし》は「隠密」を強化するカードなので、「短剣」を強化するカードと引いたり、「隠密」が引けていないと使いづらい点や、「次のターン隠密が引けずに《Codex~》を引くと事故になる」といったリスクから格納庫に置きづらいというネックがある攻撃リアクションですが、《死の接吻》を増量できる点はファティーグデッキや《ヴィクター》相手に大きな意味を持ちます。なにかしらの「隠密」攻撃アクションを《死の接吻》にしながら、《傀儡・アラクニ》の効果によるオンヒット続行を与えつつ、次の攻撃中に《短刀の妙技》で《死の接吻》を投げれば多量のダメージが狙えます。
③青《骨研ぎ》の採用



青いカードで《グラフェンの鋏角》を装備可能なカードです。「標的」をしている状態でプレイする必要があるので、《骨研ぎ》の攻撃がヒットしてしまい、「標的」を解除されてしまう点がネックなカードなのですが、青枠かつファティーグデッキの残り数点を《短刀の妙技》で刈り取る際に貢献してくれます。



《傀儡・アラクニ》は《グラフェンの鋏角》を装備できるターンが早いほど強力なターンが作りやすい関係から、1ターン目に「標的」にしてパス→返しの相手の攻撃に対して頭装備《欺瞞の仮面》で防御して「3番」になるという動きをよくしますが、《骨研ぎ》を1,2ターン目にプレイできて《グラフェンの鋏角》が装備できた場合、頭装備《欺瞞の仮面》を温存して、ここぞという局面で1番や6番になることができます。また、攻撃時効果を持つ「隠密」ということで先ほど紹介した《成りすまし》とも好相性ですね。
全体的に不利とされている《ヴィクター》及びファティーグデッキへ有効かつ、他対面でも腐らないカードを採用している構築のように思います。《傀儡・アラクニ》を狙っているデッキに対するカウンターがしっかり用意された納得のリストです。
《無謀な暴力、ライナー》 3位 Eugene C選手

Eugene C選手 Fabraryリンク

《ライナー》は《ケイヨ》のLLにより《下顎の鉤爪》が使用できなくなっており、今環境で大幅な弱体化を受けたヒーローでした。

守備的なデッキには強いが《傀儡・アラクニ》や《シンドラ》といった最新アグロデッキの出力には追い付けず苦しい…という立ち位置でしたがまさかのtop8入賞。まさかのダークホースの入賞、そして長年様々な競技大会で《ライナー》を使用し続けてきたEugene C選手の活躍ということもあり、大きく盛り上がるニュースとなりました。
直近で活躍していた《ライナー》の構築としては黄色い攻撃値6のカードを多く採用した《Ravenous Meataxe》型の構築(参考リスト こちらは「コーリング:横浜」準優勝リスト)もありましたが、Eugene C選手のリストは《下顎の鉤爪》があったころの青多めのスタイル。

《Meataxe》型は安定感は増していますが、黄色ピッチの多さから《Bloodrush Bellow》のターンに打点が伸びづらい、防御にカードを複数枚使用する防御的な戦闘スタイルになっており「防御的な相手に強い」という《ライナー》の長所が薄れているといった点があります。《ライナー》らしい長所を出すために、《下顎の鉤爪》の代わりに《破砕球》と《荒涼の鉤爪》を装備するスタイルになったのでしょう。



本人によるデッキ解説動画もアップされているので、ぜひそちらもご覧ください!
以下、本人の動画で解説されたデッキテクの中で重要なものを記載します。
まずは装備品についてから。頭装備を4種も採用しているのはこのリストの特徴的なところです。




《Scowling Flesh Bag》は最も汎用的な装備として使用するようです。リアクションやビッグターンに強いため、非常に優秀な装備であり、多くの野人ヒーローはこの頭装備のみのリストであることも多いですね。
《公正の守護》は2枚以上のドローを行うヒーロー、《ダッシュ I/O》や《マーリン》、《グレイビィ》、自分が先手番の時の《オシリオ》相手に装備するようです。
《怪物のベール》は手札を捨てることができるため、積極的に「威嚇」を行いたいマッチ、ファティーグデッキ相手や、先手を取ってダメージを通したい際に装備するようです。《天命の王冠》は格納庫を狙う暗殺者相手の対策装備でしょう。
胴装備と足装備は1種類のみ。《野獣の蛮帯》と《Scabskin Leathers》です。胴装備《野獣の蛮帯》は《Broodrush Bellow》と好相性。《Scabskin Leathers》は2点の戦傷と高い防御性能に加え、一定確率でアクションポイントを増やす効果まで持っています。


腕装備は2種類採用。《恐王の篭手》と《Skull Crushers》。


基本的に多くの対面では《恐王の篭手》を使用するらしく、《Skull Crushers》は《オシリオ》相手など、ゲームを早急に終わらせたいマッチアップで装備するそうです。ダイスを振るカードは足装備《Scabskin Leathers》のみですが、その効果で5-6が出せていた場合、アクションポイントが増加しており、複数回の攻撃が可能なので、2-3点の強化が見込めます。
次に、デッキ構成についての解説です。多くの続行カードを採用しているアグレッシブなリストです。




これらの続行が付くカードが14枚採用。さらに《素早い振りかぶり》と《船酔い知らず》の2種のカードから作成されるトークンで続行付与が可能なので、連続攻撃をサポートします。




また、「野人」クラスにしては珍しくジェムカードの2種《オフィディアの瞳》と《トロパル=ダニの財宝》が採用されています。



《Broodrush Bellow》や《荒ぶる騎乗》、《Tear Limb from Limb》などのドローが絡むアクションカードをプレイするのに《オフィディアの瞳》をピッチした場合、ドロー効果の前に「選択2」が誘発するので、引きたいカードをデッキトップに残せます。



《トロパル=ダニの財宝》はピッチした際に《金貨》トークンが作成されますが、《金貨》トークンを割ることで《Broodrush Bellow》の後、リソース過多の青い手札になってしまった時に赤いカードを引き込みに行ったり、胴装備《野獣の蛮帯》で浮いたリソースをドローにできます。
《傲岸不遜、ヴィクター・ゴールドメイン》5位 Nicolas Jamoulle選手

Nicolas Jamoulle選手 Fabraryリンク

不利の付いていた《ケイヨ》《ヴァーダンス》のLLにより、明確に不利なマッチが《ヴァルダ》と《Teklovossen》と《グレイビィ》くらいになった《ヴィクター》はこの世の春を謳歌しています。



強力な「激突」ブロックカードの存在により、《ダッシュ I/O》や《シンドラ》など地上戦をしてくる多くのデッキに優位を取ることができ、《オシリオ》や《傀儡・アラクニ》にも五分の戦績を誇ります。使用者トップ3のヒーローの中では最も平均勝率が高いヒーローとなりました。

Fablazingの「プロツアー:横浜」戦績より引用
このリストはオーソドックスな《ヴィクター》のリストとなっており、戦略としてはシンプル。《強さの試練》《鉄拳の試練》等で一枚防御7点分の表現価値を出しつつ、「粉砕」持ち攻撃アクションや《征服の命令》などで相手を殴っていくミッドレンジです。



「激突」に序盤に負けてしまうとそのまま負け試合になる展開が多いヒーローなので、構築に制限があるのは《ヴィクター》のデメリット。《殴打》、《追憶》、《猛打》などの攻撃値を持たないカードはサイドカードとして、明確に強い対面でサイドインされる運用でしょう。



また、《ヴィクター》を象徴するカードとしては《ゴールドメインの地所の訪問》があります。3つ以上《金貨》があれば盾《金権の神盾》+頭装備《支配の王冠》を装備していれば最初から条件を達成できます。




《ゴールドメインの地所の訪問》は《金貨》3つ以上を満たす場合、1コスト1ドロー、次のターン+3点以上という破格のコストパフォーマンスのカードですが、《金貨》が増えていくとどんどんバリューが上がっていくという性質を持ちます。

長期戦を狙ってくるデッキやミラーマッチでは《追憶》をサイドインして《追憶》で《ゴールドメインの地所の訪問》を回収。《ゴールドメインの地所の訪問》を5-6回とプレイして《金貨》が8個ある状況でプレイしたり、1ターンに複数枚プレイすることで《剛力》トークンが20個や30個並んでリーサルになっている局面がしばしば見られます。
ここで、「プロツアー:横浜」で活躍したもう一つの《ヴィクター》のデッキタイプを紹介します。
こちらのタイプはプレイヤーの間では「ファティーグヴィクター」「亀ヴィクター」「実家ヴィクター」などの俗称で呼ばれており、《鉄拳の試練》などの「激突」カードを減らし、防御リアクションや回復カードを多数採用し延命に特化しています。勝ち方としては《ゴールドメインの地所の訪問》の使い回し、もしくはファティーグを勝ち筋としており、プロツアー14位(リストはこちら)、コーリング横浜5位の戦績を残しています。

今後は《ヴィクター》とマッチすると、従来のミッドレンジ型なのか、「実家」特化型なのか判別する必要が出てきそうですね。
《Teklovossen, Esteemed Magnate》5位 Chanon Puttaree選手

Chanon Puttaree選手 Fabraryリンク

使用者4名だった《Teklovossen》がtop8入賞!こちらも《ライナー》に次ぐダークホースです。
長らく使用率・勝率共に低いヒーローでしたが、「レイス英雄譚」で《ゴースト手順:ARCHITECT》《エヴォβ~》サイクルなどの強化カードを獲得。



3月に開催された「コーリング:メンフィス」でもtop8に2名が入賞を果たしており、「レイス英雄譚」で強化されたポテンシャルは示されていました。

《Teklovossen》の戦略は、「基本(=Base)」タイプを持つ装備に「変形(=Evo)」を持つカードをプレイして装備を重ねて強化していく、というものです。以下、この装備品を重ねていく行為を「Evoする」と記載します。

ヒーロー能力も「追放領域からEvoカードをプレイすることが可能」「3コストでEvoカードをインスタントとしてプレイ可能&プレイしたら1ドロー」と、「Evo」していくことを強く推奨している能力ですね。
「Evo」によるメリットは大きく3つ。
1.装備品の防御値の向上・リセットによる防御力上昇
2.「エヴォ強化」(=Evo Upgrade)や《Terminator Tank》や《Teklo Leveler》など「Evo」している部位の数だけ性能が上がるカードの強化






4部位とも「変形(=Evo)」している装備の場合、《Terminator Tank》と《War Machine》は3コスト9点凌駕にヒットで手札or格納庫破壊と、かの《王位の切り倒し》のようなスーパーバリューカードになります。武器《Teklo Leveler》も1コスト3点続行と破格のスペックに。
3.《Singularity》の強化


《Singularity》はややこしい能力ですが、武器と4つの「変形」装備を一つの束にして裏面の《Teklovossen,the Mechropotent》に変身するという能力。変身後は3コストと2枚のソウルを追放することで攻撃値6+手札破壊の攻撃が可能。ソウルはこれまで「Evo」により重ねてきた装備の数だけ増えるため、重ねた「Evo」の数がそのまま弾の数になるイメージですね。
また、《Singulararity》使用時に《Evo steel》シリーズを装備していた場合、それぞれの効果が誘発して何かしらの利益を与えてくれる点も大きいです。




攻撃せずに「変形」してセットアップを進めて、準備が整ってから強力な攻撃を仕掛けていくことが可能という点で《ヴィクター》に有利が付いているのがメタゲーム的に大きな利点。《傀儡・アラクニ》や《オシリオ》相手に優位はつかないので、その辺りをどう対策するかといった点が問われるヒーローです。

基礎的な解説をしたので、《Teklovossen》のアーキタイプの違いについて解説します。
3月に開催された「コーリング:メンフィス」でtop8に入賞した2名の《Teklovossen》のリストは防御リアクションを多く採用したディフェンシブな構築(リンク)で、今回入賞した《Teklovossen》は「ブースト」カードを多く採用したアグレッシブなリストです。

延命性能はディフェンシブな構築なので、「長期戦に持ち込んだら勝てる」という相手にはディフェンシブな構築の方が有効ですが、「ブースト型」はアグロのような立ち回りも可能な上、「ブースト」能力でEvoカードや《ゴースト手順:ARCHITECT》のようなカードが追放されると疑似的に手札が1枚増えるのはメリットです。要は短期決戦と上振れがある、ということですね。
このリストの面白い点は胴装備《Teklo Foundry Heart》を採用している点。


相手によって《Teklo Foundry Heart》と「基本」である《Cogwerx Base Chest》を付け替える運用でしょう。《Singularity》や「Evo」の数を参照して強化されるカードの条件を4つで満たすために、ほとんどの場合「基本」を持つ装備を4枠に装備して始めるのが一般的でしたが、アグロデッキ相手には《Singularity》をする余裕はなく、かつ「Evo」の数も条件3まで達成すれば十分強力、という判断でしょう。



《Teklo Foundry Heart》は2点「戦傷」と優秀かつ、能力を起動してデッキトップから2枚追放した際に「Evo」を持つカードが追放された場合、《Teklovossen》の能力で使用可能=疑似的な手札増加となり強力です。
以上です!
来週はPTtop8プレイヤーの使用したシルバーエイジのデッキについて分析予定ですので、お楽しみに!
お読みいただきありがとうございました。
Hiroyuki Tansei/どくいろ @fab_dokuiro
お気に入りヒーロー:《Lexi》,《Fai》,《Kayo》
お気に入りカード:《Art of War》
ホームショップ:TableGameCafe’Shuffle、TCG Shop Go Again
史上初の日本選手権で優勝。CallingTokyoTop8。CallingKobeTop4。日本屈指の強豪プレイヤー。手数、打点を読む洞察力が強み。アグロデッキが得意。

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