目次
概要
このシリーズは「このヒーローを始めてみたい!」という時に抑えておきたい知識、カード、購入の優先順位、サンプルリストを案内する記事です。既にFaBを始めているが、このヒーローのことは良く知らないという方や、初めてフレッシュ&ブラッドやクラシック構築を始める方に向けた記事になります。
ヒーロー紹介
今回のヒーローは《薔薇の棘、ヴァーダンス》!
2024年9月にリリースされた「ロゼッタ」で登場したエレメンタル・魔術師クラスのヒーローで、ミッドレンジ戦略を得意としています。

リリース時はなかなか勝てないヒーローでしたが、拡張新規カードによる強化を受けて、「闘魂激突」リリース後は環境屈指のミッドレンジデッキになりました。「闘魂激突」で主要な大地カードが再録されてお手頃になった点も初心者にオススメしやすいポイント。
こんな人におすすめ
・7-8ターン以上かけてジリジリと戦うミッドレンジが好き
・相手の攻撃をしっかり止める防御力があった方が良い
・相手に窮屈なプレイを押し付けるのが好き
・逆転勝利が好き
・攻撃と秘術を切り替える多彩な攻め方ができるヒーローが好き
魔術師クラスについて
魔術師クラスは「秘術ダメージ」(=Arcane damage)で相手にダメージを与えることを得意とするクラスです。



秘術ダメージは通常の攻撃のように防御できず、「秘術防壁」や軽減効果を持つカードによってしか防がれないという特性を持ちます。防ぎづらい攻撃である分、通常の攻撃と比較すると基本的にダメージ効率で1点劣ります。その分、先手1ターン目や相手のライフが少ない時、相手の手札のリソースが少ない時に非常に強力という特性を持ちます。
また、相手は「秘術防壁」用に《虚空のルーンのフード》などを装備せざるを得なく、結果、本来の装備品よりも実質的にライフが減ったり、装備品の効果を使えなくなるのも強みの一つです。
《ヴァーダンス》の基本的な戦い方について



ヴァーダンスの能力は8枚以上の大地が追放されていると、自分アクションフェイズ中に1点以上回復した時、1点の秘術ダメージを任意の対象に与えるという能力。同じ「ロゼッタ」の大地ヒーローである《フローリアン》と同じ条件で強くなるヒーローで、つまり条件達成後=ゲーム序盤より中盤以降のほうが強いという特性を持ちます。
この能力を有効にするためにはまず墓地に大地2枚以上とアクションカードを1枚以上用意してから、「腐解」能力を使用していく必要があります。そのため《秋の知らせ》《森の果実》のような大地カードや、《王位の切り倒し》《絡み根の外殻》といった「腐解」カードが基本的に採用されます。



ただ、「大地8枚追放後の回復」はあくまでサブプランや長期戦のマッチアップで使用されることが多く、《ヴァーダンス》の本質は、《王位の切り倒し》《すき込み》といった強力な大地攻撃アクションと、《燃やし尽くし》《灯し葉》という高打点の秘術ダメージのハイブリッドにあります。



ヒーロー能力は達成できるに越したことはありませんが、達成できないと厳しい!負け!という訳ではありません。

《キャンドルホールドの鼓動》は、《ヴァーダンス》の能力達成前は1コスト3点回復続行と普通のカードですが、《ヴァーダンス》の能力達成後は1コスト3点回復、3点秘術ダメージ続行=1コスト6点の脅威のバリューとなります。達成後にプレイしていくのを意識していきたいですね。
主要カード解説
《王位の切り倒し》&《すきこみ》


「大地」タレントといえばこの2枚。アグロ相手に防戦一方になっていても、これらをプレイできれば一気に逆転できるキーカード。特に《王位の切り倒し》は打点も高く、相手の格納庫が空でも強力なので、どんな状況でも頼りになります。
理想は《絡み根の外殻》や《死骸の耕作》を1度使用して、2枚以上大地カードを追放してからこの2種のカードをプレイしていくこと。そうすれば攻撃値が上昇した状態でプレイできます。



《王位の切り倒し》は追放されている大地カードが0枚の状態でも「腐解」さえできれば4点+1枚のハンデス=7点分のバリューがあるため、最初にプレイする「腐解」カードでも悪くないですが、《すきこみ》は2点+格納庫への妨害で5点相当なので少し弱めです。
《燃やし尽くし》&《灯し葉》


どちらも3コスト6点秘術ダメージ。役割としては相手をリーサル圏内まで落とすためにライフを削る&《嵐の闊歩者》により相手ターンに大きな秘術ダメージを与えてリーサルをする、というカードになります。先手1ターン目ももちろん強力ですね。
《灯し葉》は相手が先手1ターン目にアクションポイントを使い切ってパスしてきた場合、相手ヒーローを発生源として選択することで、捨て札にして「大地」カードを2枚墓地に落とせるテクニックがあります。
《嵐の闊歩者》

「魔術師」クラス最強と言われてる脚装備品です。能力は1リソースの支払いで次の非攻撃アクションをインスタントのようにプレイするもの。これにより《ヴァーダンス》は相手に「ライフ9-10以下になった後、秘術防壁用のリソースがなくなってしまったら負けてしまう」というプレッシャーを与えながら戦うことが可能です。このプレッシャーが試合に与える影響は大きく、端的に言うと他のヒーローよりも「防御しなければならないライフ」になるのが非常に速いです。
《欠けゆく月》

主に装備する武器になります。役割としては「追加の秘術ダメージ源としての相手のライフ削り」と「《嵐の闊歩者》リーサルターンの3点範囲拡大」の2つを担っている装備です。
能力は非攻撃アクションカードを使用していると、2リソースで2点の秘術ダメージを与えることができる効果が基本。これが相手ターンだと3点になるので、《嵐の闊歩者》とシナジーします。基本は自ターンに《燃やし尽くし》等の非攻撃アクションをプレイ→《欠けゆく月》起動で2点という使い方になります。特に1コストの《エーテルの脈動》や《キャンドルホールドの鼓動》は青ピッチでプレイから《欠けゆく月》起動につながってコスト的に相性が良いですね。



インスタントなので、《千年樹の導き》がある状態などでは《燃やし尽くし》プレイ→スタックで《欠けた満月》起動とすることで2+3=5点解決後→《燃やし尽くし》6点にしたり、逆に《燃やし尽くし》を6+3=9点で解決して相手の秘術防壁の払い方を見てから《欠けゆく月》を起動するか否か選べたり、小テクがちょっとあります。
《薔薇の指輪》

秘術ダメージを与えると1点回復してくれるオーラ。概ねほとんどの秘術ダメージカードに+1点分の得を与えると書いているようなものであり、ゲーム早期に設置できると大きく有利になります。特に、《ヴァーダンス》の能力達成後は自アクションフェイズに秘術ダメージを与える→《薔薇の指輪》で1点回復→《ヴァーダンス》の能力で1点秘術ダメージが飛ぶ、とこれ1枚で2点稼ぐ計算になり、勝因になりうるパワーを持っています。これをプレイするとアクションポイントはなくなってしまいますが、《欠けゆく月》は起動可能です。
《ヴァーダンス》理想のゲーム展開
1.先手で《燃やし尽くし》などの秘術ダメージ+《欠けゆく月》でダメージを与え、格納庫に赤いカードを置く
2.相手の攻撃を防御しつつ、2枚の手札で《死骸の耕作》や《啓示の一撃》などで攻撃
3.墓地に大地が溜まったら「腐解」カードで大地カードを追放していく
4.大地8枚を追放した後は達成後は回復カードも絡めてバリューアップ!
5.相手のライフが少なくなれば《嵐の闊歩者》から《燃やし尽くし》や《灯し葉》+《欠けゆく月》でリーサル!
リスト紹介1.安価構築リスト

《嵐の闊歩者》などのLegendary装備は採用せず、純粋なミッドレンジデッキとして組んでみました。装備品などの出力で劣る分、早々に《ヴァーダンス》の能力を有効にすることを意識して「腐解」カードを多めに入れてます。Mレアは《王位の切り倒し》《薔薇の指輪》など替えが利かないカードは採用しています。
リスト紹介2.ちょっと強化リスト

装備品を整え、《すき込み》《啓示の一撃》《千年樹の導き》などを採用。



《啓示の一撃》や《千年樹の導き》を採用したことで、手札4枚を攻撃に使用しやすくなっており、相手が防御的なデッキでもしっかりとダメージを出せるようになっています。装備品が整ったことで《嵐の闊歩者》コンボも可能!
リスト紹介3.競技的なリスト

こちらは「バトルハーデン:ソノマ」でMajin Bae選手が使用して優勝したデッキ。テンポ・ミッドレンジの《ヴァーダンス》で、防御リアクションや《顔面消去》などサイドカードが充実しているのが特徴です。
《ヴァーダンス》の深堀り実践的テクニック
①《王位の切り倒し》&《すき込み》は防御時に攻撃値は上昇しないので、「幻影」(=Phantasm)対策にならない



②融合(=meld)は左右の右側から解決される
例えば《エーテルの脈動/生命》を融合でプレイした場合、先に《生命》から解決されます。この時、もし《ヴァーダンス》の能力が有効になっていた場合、《生命》で1点回復→《ヴァーダンス》の能力が誘発し1点秘術ダメージ→《エーテルの脈動》の4点秘術ダメージという順番になります。



上記のテクニックを活かして、《蔓延/脈動》を複数枚同ターンにプレイする際は以下のようにプレイすると得します。
1:1枚目の《蔓延/生命》を融合でプレイ
2:右側の《生命》解決して1点回復
3:《蔓延》が解決される前に2枚目の《蔓延/生命》を融合でプレイ
4:右側の《生命》解決して1点回復
5:《蔓延》を解決、2点回復しているため2増幅
6:最初に使用した《蔓延》を解決、2点回復しているため2増幅
テクニックを使わずシンプルに使用すると1増幅、2増幅となるところが、2点増幅x2になって1点お得。
③ヴァーダンスの能力について深堀り

この能力は対象を選べるので、「盟友」を処理するのに使用することもできる。
また、「与えてよい」と書いてあるように、任意の能力なので、「秘術ダメージを与えないこと」を選択も可能。主に「増幅」をこの1点に乗せたくないときに選択することがあります。
具体例としては《千年樹の導き》があるときに《エーテルの脈動/生命》を融合でプレイ。その際、7点の秘術ダメージを相手に与えたいので、《生命》により1点回復したが、あえて1点秘術ダメージを与えないことを選択。4点を2回与えると、秘術防壁3を装備している相手には、秘術防壁x3を払われて2点しか与えられない可能性があるが、7点なら4点のダメージが見込めるため上記のようなプレイをした。
④《蔓延/生命》と《治癒のポーション》のコンボについて
《ヴァーダンス》について語る際に欠かせないもう一つのポイントは《蔓延/生命》と《治癒のポーション》を組み合わせたコンボです。《ボウナムのアミュレット》が採用されている場合、4枚目の《治癒のポーション》として採用されています。



これらのパッケージをサイドインする相手は「1ターンに爆発的なダメージを出さないとファティーグを狙われてしまう、防御力に秀でたヒーロー相手」、「攻撃力が低く、3枚防御して《回復のポーション》をプレイしてエンド、といった動きが可能な相手」になります。具体的には《フローリアン》「守護者」などですね。ミラーマッチでもこのコンボを狙うこともあるようです。
流れとしては
《治癒のポーション》が手札にある場合、相手の攻撃を防御して、アクションポイントを《治癒のポーション》プレイに使用してエンドしていく。《治癒のポーション》を複数枚設置し、《蔓延/生命》をピッチスタッキングしたり、格納庫に置いてエンドしたりして、2-3枚揃ったターンにコンボ開始。
具体的なコンボの例として、《治癒のポーション》3枚、《蔓延》3枚、「追放した大地8枚達成済み」、残りの手札が青と《燃やし尽くし》の例のターンを見てみましょう。

まずは《治癒のポーション》を3つ起動していきます。この時点で6点回復して、《ヴァーダンス》の能力で1点x3回の秘術ダメージ。
その後、《蔓延/生命》を3枚融合でプレイしていきます。この際、上記の《生命》と《ヴァーダンス》の能力解決後、《蔓延》解決前に2枚目の《蔓延/生命》をプレイするテクニックを使用していくことで、3点回復してから《蔓延》が解決されていきます。よって《生命》3枚で3点の秘術ダメージを与えながら、《蔓延》で増幅9が3回=増幅27。その後、《燃やし尽くし》をプレイすれば33点秘術ダメージとなります。合計、39点の秘術ダメージを与えるターンとなりました!

これだけ大きな「増幅」をする場合、メタカードである《秘術協議会》が怖いですが、《ヴァーダンス》の能力や武器《欠けゆく月》等に増幅を乗せれば《秘術協議会》を回避することも可能です。

武器《激流するエーテル波》を装備すると、増幅を実質2回乗せることが可能になるため、上記のコンボをする時に装備されます。《激流するエーテル波》を装備していた場合、上の例だと《蔓延/生命》が2枚でも、増幅18を乗せた《激流するエーテル波》の19点の後、次の秘術ダメージを与えるアクションにも+16-19点が狙えます。
おまけ-主観による高額カードの購入優先順位-

装備品は《嵐の闊歩者》が最優先となります。「魔術師」を使う理由ともされる強力な装備品、是非使ってインスタントタイミングでのリーサルを楽しみましょう。
デッキ内のカードは「大地」攻撃アクション2種が何よりも優先です。「闘魂激突」で再録された今が買い時!その後は汎用カードを揃えていきましょう。構築によっては《征服の命令》は入らないこともあります。
まとめ
・《ヴァーダンス》は防御力と秘術ダメージによるリーサルが強いミッドレンジヒーロー
・「大地」を墓地に貯めて「腐解」していこう!
・《フローリアン》よりは攻撃的に、相手のライフをどんどん減らしていくプレイを意識しよう。
以上です!お読み頂きありがとうございます。
Hiroyuki Tansei/どくいろ @fab_dokuiro
お気に入りヒーロー:《Lexi》,《Fai》,《Kayo》
お気に入りカード:《Art of War》
ホームショップ:TableGameCafe’Shuffle、TCG Shop Go Again
史上初の日本選手権で優勝。CallingTokyoTop8。CallingKobeTop4。日本屈指の強豪プレイヤー。手数、打点を読む洞察力が強み。アグロデッキが得意。

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