FaBのセットの歴史とデザインを振り返るin2025(後半)

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挨拶

こんにちは、dokuiroことTansei Hiroyukiです。

前回の記事では”Dusk till Dawn”~”マスタリーパック:守護者”までの各セットのリミテッドやカードデザイン等…個人的に思う各セットの良かったところ悪かったところを書きました。

今回は後半ということで”ロゼッタ”~”マスタリーパック:守護者”を扱います。

主な観点は以下の3点です。

  • セット全体、メカニズムのデザイン
  • 健全な環境への影響 (適度に影響があると〇、影響が大きすぎても悪い、影響がなさ過ぎても悪い)
  • リミテッドのゲームバランスとデザイン

※注意点※
この記事はセットデザインについて語るものなので、どのパックが良い、売れた、商業的に良いかを語るものではありません。
また、開発と無関係なオタクが好き勝手言っているだけなので、この記事を元に開発者やLSSを批判するのはやめて下さい。
更に、このデザインが良い、悪いといった観点は主観的な意見が大きく反映されています。

『ロゼッタ(Rosetta)』(2024年9月発売)

【デザイン:★★★☆☆】【健全な環境影響度:★★☆☆☆】【リミテッド:★★★★☆】
総合評価:★★★☆☆

基本コンセプト
「氷」、「稲妻」、「大地」の3つの属性が登場した『Tales of Aria』の続編。今回は「大地」と「稲妻」だけピックアップした形に。クラスは魔術師とルーン剣士。新ヒーローが両属性で1人ずつ登場した。

メカニズムとしては大地は「腐解」、稲妻は「インスタント」になっており、ワンアクションミッドレンジの大地 VS 連続攻撃アグロの稲妻 というわかりやすい対比構造になっている。

良かったところ

・【リミテッド】リミテッドは深みがあり、研究し甲斐があった
リミテ研究は段階を経てメタが変化して、
①《フローリアン》最強!《アウローラ》はあんまり良い所ないかも
②《フローリアン》相手に秘術ダメージで墓地を肥やさずに勝てる魔術師2種が強い!
③《アウローラ》が魔術師2種に強い!しかも良い感じに組めたら《フローリアン》にも勝てる!
と、どんどんヒーロー評価が変わりました。ただ、最終的には《オシリオ》は《アウローラ》にも魔術師対策をしている《フローリアン》にも負けて握り損のような状況になりやすかったので、バランスが良い環境とは言い難いのはネック。

・【リミテッド】リミテッド用マクロ《アリアの聖域》はプレイパターンの分岐があり楽しい要素だった

『ロゼッタ』のヒーローは全員秘術ダメージを与える手段を持っている。
更に、《虚空のルーンのフード》のような「秘術防壁」を持つ装備品はカードプールにない。
つまり、基本的に秘術ダメージは通り放題…なんだけれど、ゲーム開始時にお互いに配られる《アリアの聖域》により、1ターンに限り2リソースで秘術ダメージを含むダメージを、複数回軽減できる。
これにより、《アリアの聖域》をいつ起動するか、起動させるかといった駆け引きが生まれ、リミテッドの駆け引きを生んでいた。
「秘術防壁」装備がシールドプールになかったり、ドラフトでピックできなかった=敗北、のような良くない体験を防いでいるのもナイス。

・【環境影響度】4種のヒーローそれぞれキャラが立っており、トーナメントシーンで活躍した
アグロ・ミッドレンジの《アウローラ》、ミッドレンジの王《フローリアン》、コンボ・ミッドレンジの《ヴァーダンス》、アグロ・コンボの《オシリオ》とアーキタイプを隣接させつつズラして個性が出ており、綺麗なデザイン。
強さも申し分なく、《フローリアン》と《アウローラ》は『ロゼッタ』発売すぐに活躍したし、《ヴァーダンス》と《オシリオ》は拡張枠による強化や環境の変化で徐々にトーナメントシーンに頭角を表した。

・【環境影響度】新カードを多数実装しながら既存ヒーローの強化をしっかりした

《邪悪な詠唱》と《デッドウッドの哀歌》の2種の《ルーン陣》カードが加わったことで、古参ながらTier3ヒーローに定着していた《ヴィセライ》が大幅強化。辛い時代が長かった《Vynnset》もTier2くらいのラインまで上昇し、存在感を出すようになった。

《ケイノ》も《関門の解放》や《秘奥の意思》を貰い強化。全体的に古いヒーローへの目くばせが多かった。

悪かったところ

・【環境影響度】『霧隠れの秘境』勢に隠れていたが《アウローラ》と《フローリアン》は強かった

『霧隠れの秘境』のヒーロー《ゼン》と《エニグマ》がリビングレジェンドになった後、プロクエスト:シンガポールの優勝数は《フローリアン》と《アウローラ》の2トップという形になり、「ルーン剣士」最強時代が訪れた。結果、《アウローラ》もシーズン途中でリビングレジェンドになり、登場から1年経たずに卒業となった。

《アウローラ》は4点攻撃アクション4連打=16点が可能な打点の高さに加えて、強力な装備品や防御リアクションによる防御性能で矛と盾を両立。更に《揺らめく燐火》+《稲妻の孤光》コンボによるOTK(ワンターンキル)プランも内包。

《フローリアン》は超耐久を実現する装備品と、《王位の切り倒し》等の一枚で戦況が変わるパワーカードを持ち、「大地」を8枚追放した後は青をピッチして《アークナイトの掌握》起動からの《命刈りの刃》を振っているだけで2点+3点=5点のダメージが出せる強みを活かしてそれぞれ環境を支配した。

・【デザイン】《アウローラ》と《フローリアン》がルーン剣士の良いとこどりをしてしまった

『ロゼッタ』以前のルーン剣士である《ヴィセライ》《ブライアー》といったヒーローは非攻撃アクションと攻撃アクションをデッキに半々で入れることを要求し、コンボ要素を含めることで、「爆発力がある代わりに非攻撃アクション4枚/攻撃アクション4枚だと弱いため、手札事故のリスクがある」というリスクとリターンのあるバランス調整をされていた。
防御リアクションも事故率の上昇につながる為採用しづらく、また、非攻撃アクションの殆どは防御値2なので、装備品が硬くても手札の防御値は低いことが多く、防御力はバランスの取れたものになっていた。

が、《アウローラ》と《フローリアン》にそういった構築上の制限はなかった。《アウローラ》は稲妻やインスタントを一定数、《フローリアン》は大地を一定数入れないと上手く機能しないという制約こそあるものの、既存の「ルーン剣士」達と比較すると軽い制約で、《アークナイトの掌握》《煉獄の相貌》《苦悩の印》といった強力なカードを多数利用できてしまった。

・【デザイン】《電磁回転》は《アウローラ》がヤバい

攻撃に使って4点、防御に使えば6点の超強力なインスタント。《アウローラ》全盛期、《征服の命令》が3点攻撃アクション2枚で防御、から《電磁回転》プレイで、カード消費1枚で無力化されているのはよく見た光景だった。
稲妻ヒーローは「攻撃性能は高いが、防御値2や防御値がないインスタントが複数入るため、防御性能が低い」というタレントとしてデザインされていたと思うが、《アウローラ》はルーン剣士の硬い装備品と《電磁回転》のパワーで攻防ともに隙のないヒーローになってしまった。

・【デザイン】《王位の切り倒し》がヤバい

カード2枚で表現価値11点はお手軽&強力すぎる。多くのミッドレンジ・アグロはこのカードを撃たれた瞬間、ライフレースや表現価値の戦いが逆転してしまう。明確な対策カードが存在しない点もネック。

・【デザイン】タレントを持ち、カードプールが広くなるタレントヒーローのライフを40にすると強くなりがち

やっぱタレント持ちヒーローはライフ36ベースとかで作りませんか?《オシリオ》もそう言ってます。

『混転の餌食(The Hanted)』(2025年1月発売)

【デザイン:★★★☆☆】【環境影響度:★★★★☆】【リミテッド:★★☆☆☆】
総合評価:★★★☆☆

基本コンセプト
アラクニvs竜系軍団。皇帝を暗殺した暗殺者である《アラクニ》を、皇帝に忠誠を誓っていた部下である《シンドラ》と《ファング》が追跡する…というセット。《アラクニ》2種と《シンドラ》《ファング》が登場。

竜系は赤いことが特徴なので、セット全体で赤いカードが多く含まれている。メカニズムは竜系、《忠義》、「標的」、「隠密」、「短剣」シナジーなど。

良かったところ

・【環境影響度】新ヒーローがそれぞれ環境で活躍

『霧隠れの秘境』や『ロゼッタ』ほど環境を1色に染める…といったほどではなく、メタ外というわけでもない。強みはあるが弱点もしっかりある良い塩梅の調整。

・【デザイン】新ヒーローはそれぞれ長所と短所が明確

《シンドラ》は装備品の耐久やカードの防御値が低く、かつ手札が少ないと弱いので、妨害攻撃アクションに弱い。

《アラクニ》2種はヒット時効果が通らないと弱いため「大地」ヒーローなど防御リアクションが多いヒーローに弱い。

《ファング》は《忠義》が溜まるまで弱いため、アグロの短期決戦やオーラ破壊、秘術ダメージに弱い…とそれぞれ良い塩梅に長所と弱点が用意されていた。

弱点がかすむほどそのヒーローの戦略が強すぎた『霧隠れの秘境』や、弱点がほぼなくなってしまった《アウローラ》と異なり、弱点と長所がしっかりとあるヒーローに仕上がった。

・【デザイン】《傀儡・アラクニ》の変身はユニークなメカニズム

《傀儡・アラクニ》は相手を標的にしている状態でターン終了すると、別のヒーローにランダムに変身する非常にユニークで面白いデザイン。
ランダムである点もタレントである「混沌」を表している。
「ある条件で変身するヒーロー」というだけだと割といそうだが、変身先がランダムというのが斬新だと思う。
また、変身先が1種類で、強力すぎると「変身すると絶対強力なヒーローになるので変身されるか否かでゲームが決まる」になり、あまり強くないと「変身先が微妙だから個性である変身があまり活きない」ということになり得た。なので、ランダムにして「いつ変身しても強力な変身先もいるし、特定の相手や状況で強い変身先もいる」というデザインは絶妙だと思う。

悪かったところ

・【メカニズム】「竜系」はシンプルで分かりやすいが、反面、新鮮味に欠ける

「竜系」は《Uprising》で登場したタレントで、タレントの特徴は「0~1コストのカードが多く軽いこと」、「防御値が低いものが多いこと」「竜系チェインリンクに応じてボーナスがあること」、「デッキが赤いことを推奨すること」など。分かりやすく「手札全てを攻撃に回せればボーナスがあるよ」となっており、複雑度が低めのメカニズムと言える。

『混転の餌食』では《忠義》を使い「竜系」にすることで追加のボーナスを得ることができるカードなどが新規要素として追加された。

新規要素も増えたが、根幹である部分……上手く「竜系」チェインリンクを伸ばせると強いが、手札事故で連続攻撃できなかったり、妨害されると弱いところなどは変わらない。同じ竜系・忍者の先輩である《Fai》と《シンドラ》の違いは腕装備《短刀の妙技》と頭装備《機運の仮面》によるシナジーである部分がかなり大きく、「竜系」部分のプレイフィールや試用するカードには大きく差が無い点はちょっと新鮮味に欠けた。

・【リミテッド】リミテッドは運の影響が多きく、ピーキーなゲームになりやすかった

「竜系」の2ヒーローは赤が多めで防御値2が多め、「暗殺者」は攻撃力が低めだが妨害と防御値3が多めのバランスで成立している環境。ただ、竜系2ヒーローが赤単ハンドや青単ハンドの事故に弱かったり、《シンドラ》は後手の勝率は高いが先手は厳しいため、先手後手のダイスの比重が重かったり、と運要素が大きくなった。
デッキは強そうでも1-2したり、逆にデッキが弱めでもダイスに勝って3-4ターン強く動けたから3-0、みたいなことがしばしばあるリミテッドだった。
実力による勝利を望むリミテッド好きには評判が良くないセットとなった。

・【その他】《嵐からの避難》が登場

次回はレア収録で頼む!

『蒼海の秘宝(High Seas)』(2025年6月発売)

【デザイン:★★★☆☆】【環境影響度:★★☆☆☆】【リミテッド:★★★★★】
総合評価:★★★☆☆
基本コンセプト:海賊のセット。新規3種のヒーローはすべて新クラス「海賊」を持っており、それぞれ《金貨》を使用して起動する能力を持っている。

《金貨》の他、富を象徴する黄色、海を象徴するを参照するカードもしばしばある。

また、タップアイコン・アンタップアイコンが新登場。「ターン1アクション」の多くは今後タップに切り替わっていく方針のようだ。

主なメカニズムは《金貨》、満潮、歯車、銛、墓地利用など。

良かったところ

・【デザイン】新クラス「死霊術師」という挑戦

なんといっても新クラス増加はやっぱり盛り上がる。新クラスはカードプールが汎用以外ない状況でのスタートとなるので、調整は困難であることが予想できるし、労力はかかるだろう。挑戦をし続ける姿勢は凄い!と褒め称えたい。

・【デザイン】《金貨》に紐づいて、固有のギミックを持ったヒーローデザイン

《マーリン》は「銛」、《パフィン》は「歯車」、《グレイビィ》は墓地から出す「盟友」とそれぞれ新しいギミックと紐づいている。《マーリン》はドローと相性の良い点、《パフィン》は「歯車」関連のカードだけではやや枚数が足りず、機械技師のカードを採用したくなる点から、既存のカードも採用しうるデザインとなっている。

・【デザイン】《ポリー・クランカ》はグッドデザイン

《ポリー・クランカ》は面白くて良いデザインをしている。ざっくり言うと、アクションでクランクすることで《パフィン》の「各ターン2回目のクランクしたら1ドロー」という効果を誘発させやすくしてくれる盟友だが、面白いのは一度能力を起動するまで攻撃されないという点。
これによりプレイヤーに「どのターンに《ポリー・クランカ》を起動するか」選択肢を増やしている。
「肩乗」という能力により「相棒のインコ」というフレーバーも伝わってきて良い。
更に、《ショック》などのインスタント秘術ダメージを使えるヒーローには先手や後手の1ターン目に《ポリー・クランカ》が焼かれてしまう点や、他の機械技師ヒーローよりもワンアクションヒーローにちょっと相性が良くなる点とか、他ヒーローやカードとの相互作用も面白い。

・【リミテッド】非常に深みのあるリミテッド

マクロ《宝島》の存在により、すべての攻撃にオンヒットがあるため、常にどう攻撃を防ぐか、このターンはあえて受ける、といった駆け引きが発生した。
また、《金貨》が複数枚あると、ヒーロー能力に使用するか、起動してドローするか…の選択肢があり、かつ起動も「満潮」のために起動するのか、ドローのために起動するのか等分岐が多数ある。総じて、ゲーム内で腕の出るシーンが非常に多い。

プレイしてきたリミテッド中で一番「ピック」よりも「プレイ」の比重が大きいドラフト環境だったと思う。
基本的にリミテッドはピック7:プレイ3くらいの肌感だけど、この環境はピック5:プレイ5くらいだったかも。
ヒーロー的には《パフィン》を完成させるハードルが少し高く、逆に青いカードや汎用カードを使いやすい《グレイビィ》と《マーリン》が組みやすい環境だった。

《スカーヴ》はプールに含まれていなければ使用できない特殊なヒーローで、1-1で引けたら全勝濃厚という強力なヒーローだが、低確率でしか起きないので大きなストレスではない。
普通は使用できない隠しヒーローという試みは面白い。

悪かったところ

・【環境影響度】【デザイン】《グレイビィ》は強く、そして複雑すぎる

「青いカードをプレイして強い」「1ターンに複数回のドロー」「リソースを増やせる」「墓地利用によって実質手札が増える」「盟友による実質的ライフゲインと相手の攻撃強要」とFaBにおける強い要素を多く持ち、実際強かった。《グレイビィ》は数々のBHやCalling優勝、PT優勝と間違いなくトップメタに躍り出た。

プロツアー:シンガポールのTop8の半分を占めた《グレイビィ》

どんな環境でも強いヒーローは存在するものなので、強いだけなら問題はないが、プレイ中の分岐が非常に多いヒーローなので複雑度・難易度が高く、練習時間を担保できないプレイヤーや、経験の浅いプレイヤーが《グレイビィ》を使用したくないという心理になりやすい点はネック。環境の1ヒーローとしてそういったヒーローがいるのは問題ないが、Tier1にいると少し息苦しいと感じるユーザーが増えてしまうように思う。

・【環境影響度】「盟友」は過度な相性差を生みやすい
端的に言うと続行が苦手なヒーローは「盟友」を処理するのが苦手なので、その特徴を持つヒーローを環境から締め出しやすい。実際「守護者」や《フローリアン》は環境から大きく数を減らすこととなった。それらのヒーローやクラスのファンのプレイヤーにとっては苦しい環境となった。

・【環境影響度】《パフィン》と《マーリン》はカードが足りなかった
《パフィン》は「歯車」を供給するカードが、《マーリン》は「銛」が足りておらず、《グレイビィ》の完成度と活躍と比較すると見劣りするのが現状。今後に期待。

“マスタリーパック:守護者”(2025年8月発売)

【デザイン:★☆☆☆☆】【環境影響度:★☆☆☆☆】【リミテッド:なし】
総合評価:★☆☆☆☆

コンセプト

「守護者」クラスを強化するための、「守護者」と「汎用」カードのみで構成されたパック。《混転の餌食》や《蒼海の秘宝》のような拡張セットではなく小型エキスパンションといった形で、収録数も再録込みで129種。新ヒーローは無いが2か月前に登場した《激震のヴァルダ》を強化するカードが多く収録されている。

良かったところ

・【環境影響度】《ヴァルダ》が強化された

《ヴァルダ》用に《震激》関連のカードが多数追加されて強化された。《震激》の供給手段が増えたことで3つ以上の《震激》をコントロールして、「圧倒」で攻撃する昔ながらの「守護者」らしいファイトスタイルが可能に。

・【デザイン】《震激》関連のオーラは面白い効果のものが多い

格納庫のカードをどかすことで「圧倒」の弱点である「格納庫からの防御リアクションのプレイ」を防げる《テクトニックの不定変動》や、《震激》を出す数を増やす《有望な地帯》、一定期間《震激》を供給してくれる《地殻乱動の噴出》など、取れる戦略が増えた。

・【その他】アートが綺麗

悪かったところ

・【環境影響度】《守護者》は強くなったのか?

大きく活躍しているのは《ヴィクター》の《鉄拳の試練》と《脅威の胸筋》の2種。《ヴァルダ》は強化されたもののまだトーナメントシーンで活躍はできていない。「盟友」の対策となるカードが増えなかった点や、《脊椎の粉砕》のような強力な妨害効果を持った「粉砕」攻撃アクションが増えていない点が「守護者」の強化としてはマイルドな結果になってしまった。武器や頭・足装備が変わり映えしないのも悲しい。まだ発売して日が浅いので、安易な結論は出しづらいけれど……。

・【デザイン】初心者向けなのか、既存の守護者ファン向けなのか対象が曖昧なセット

初心者向けとしては、《古代霊の覚醒》、《羊頭の堅盾》、《Imposing Visage》のような守護者でよく使われるカードの再録が足りなかったように思うし、既存の守護者ファン向けとしては《ブラーボ》や《ヤール》を強化するカードが足りておらず、「《ヴァルダ》と《ヴィクター》を強化したセット」という印象に。

また、守護者同士で対策しあうようなカードの多さや、汎用の「圧倒」対策カードが増えていることも守護者ファンにとってはネガティブな印象となった。

・【環境影響度】最も強化されたのは《グレイビィ》かもしれない

《不敵な対立》は盟友への攻撃に対しても-1の修正を与えることができるため、《陽気な副船長、チャム》に《征服の命令》など6点の攻撃をされたときに《不敵な対立》を捨てれば《チャム》を生存させることが可能。青い防御値3という基本スペックを持つこともあり、《グレイビィ》の強力な動きが1つ増えた。

以上です!

今回はこれまでの攻略記事と異なり、勝利に役立つ、といった方向性ではありませんが、カードデザインを意識して新セットを見ると、新ヒーローのデッキを作る際や、相性の良い戦略を考える際に役立つこともあるので、どこかで役に立てば幸いです。また、単純に読みものとして楽しんで頂ければ嬉しいです。

お読み頂きありがとうございます。


Hiroyuki Tansei/どくいろ @fab_dokuiro
お気に入りヒーロー:《Lexi》,《Fai》,《Kayo》
お気に入りカード:《Art of War》
ホームショップ:TableGameCafe’Shuffle、TCG Shop Go Again
史上初の日本選手権で優勝。CallingTokyoTop8。CallingKobeTop4。日本屈指の強豪プレイヤー。手数、打点を読む洞察力が強み。アグロデッキが得意。

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