こんにちは、dokuiroことTansei Hiroyukiです。
皆さん、感想戦、やっていますか?今回は感想戦…つまり対戦の振り返りについての記事です。
感想戦とは何か
感想戦とは対戦後、何故勝ったのか、何故負けたのかを対戦相手と振り返る会話です。囲碁や将棋の文化ですが、カードゲームでもしばしば行われており、FaBにおいては、対戦終了後にどこのプレイが良かったのか、どのプレイがミスだったかといった話をすること、ということを指します。
感想戦のメリット
振り返りをすることで、「このカードがあまり機能していなかった」「ここで防御しておくべきだった」「この装備品が弱かった」「相手のこのカードがキツい」「この攻撃リアクションを想定できていなかった」などの発見につながることができれば、学びに繋がっていきます。 もちろん、お互いの勝敗の分かれ目を探った結果、「運が悪かった」「運が良かった」になることもありますが、基本的には感想戦をすることでプレイもデッキリストも洗練されていきます。
感想戦は対戦相手と行うものであり、それが理想ですが、一人でやっても問題ありません。Talisharなどのツールで対戦する場合、対戦相手と感想戦を行うのはなかなか難しいでしょうし、一人で行えたほうが時間効率は良いです。ただ、一人で振り返りを行う場合、相手目線の視座が欠けることでバイアスがかかっていないか、という点に注意する必要があります。また、《Censor》のようなカードは、対戦後相手に確認しなければ効いていたかどうか分かりづらいですね。
自分が交流してきた強豪選手たちは皆、反省が上手です。敗因はどこにあったか、その敗因は何か別のカードを採用すれば改善できるか、プレイを変えたらどうなるか、運によるしょうがない負けだったのか。分析とシュミレートが的確で、毎試合必ずちゃんとやるので、すぐに勝率を上げていきます。逆に、振り返り、何故勝ったのか・負けたのかをちゃんと咀嚼せずに漫然と試合数をこなしていると、上達のペースは遅くなってしまいます。
具体的な感想戦のやり方と例
・敗因となったターンを考える
FaBの敗着になったターン、というのはライフが0になったターン…ではなく大体その数ターン前であることが多いので少し難しいポイントです。ここは表現価値の考えを持ち出すのが分かりやすいでしょう。表現価値的に大きく相手が得したターン、自分が損したターンがないか振り返ってみましょう。
具体的な例を出してみます。
例1 《フローリアン》vs《オシリオ》
《フローリアン》がターンを終了し、4枚引いた手札は赤《絡み根の外殻》2枚、《群青へ沈む》1枚、青1枚の手札に。
その手札に対して《オシリオ》は《彗星の嵐》を秘術ダメージ5点でプレイ。防御にプレイしたかった防御リアクションが腐ってしまい、2枚の赤い防御リアクションをピッチして秘術防壁に使用することになり、手札2枚で2点分のバリューとなってしまった。




問題点:大きな秘術ダメージを与えてくる「魔術師」クラス相手に赤い防御リアクションが弱いターンがあった
改善案:《オシリオ》等「魔術師」クラス相手には《群青へ沈む》などの防御リアクションの数を減らすことができるサイドインアウトを行う
例2 《ファング》vs《グレイビィ》
格納庫に攻撃リアクションを置いてターン終了した返し、相手の《グレイビィ》が《蒼海の大覇船》を青2枚ピッチでプレイ。8点続行に対して手札3枚で防御したところ、そのあと《征服の命令》をプレイされて、結局格納庫のカードを破壊されてしまった。



問題点:8点+6点+格納庫破壊の表現価値3点で17点相当の表現価値を稼がれてしまった
改善案1:格納庫には防御リアクションかインスタントしか置かないようにするようにして《蒼海の大覇船》をケアするようにする
改善案2:《蒼海の大覇船》や《征服の命令》に対して防御に使用できるように装備品を残すプレイをする
例3 《アイラ》vs《ケイヨ》
《アイラ》が前のターンに《調和の小太刀》1点→《調和の小太刀》2点→《警報音》5点と動きました。

《ケイヨ》側は全てノーブロックを宣言。返しのターンに格納庫から《Bloodrush Bellow》をプレイして手札からパワー6以上のカードを捨て札にし2ドロー→胴装備《野獣の蛮帯》起動→《荒ぶる騎乗》→《押し潰し》→《押し潰し》→《Swing Big》…でめちゃくちゃにされて負け。





問題点1:相手に何の妨害もできなかったため、手札と格納庫5枚でフルに動かれた。《警報音》ではなく、《征服の命令》や《最も脆いところ》や《Censor》などで攻撃できていれば相手は防御せざるを得なく、返しの攻撃力を下げることができていた



問題点2:防御リアクションを格納庫に置けていれば、《押し潰し》の続行を消すことができた



改善案1:《警報音》などの妨害性能の低いカードをサイドアウトして《最も脆いところ》など妨害になるカードに入れ替えれるようにリストを調整する
改善案2:防御リアクションを格納庫において《押し潰し》を対策するプレイをする
上記の例は、「運が悪かった」で片づけることも可能ですが、サイドインアウトやプレイを変えていれば、そのような試合展開になっていなかった可能性もあります。あのターンのせいで負けた→運が悪かったんだ、で終わらずに、「どうやっていればそのようなターンにならなかったか」という対抗策を考えるのが重要です。逆に、強いターンを作ることができて勝利した試合があれば、記憶しておいて、再現できるプレイを心がけましょう。
もっとわかりやすく、手札を使いきれないようなターンや、表現価値が低いターンがあればそこが課題です。手札事故で負けた際も、事故ったなりに最良のプレイはなかったか、前のターンにプレイを変えていたり、装備品を温存していればマシな動きができなかったか、といった仮定を考えてみましょう!
・敗着になったプランを考える
さっきの項目よりちょっとレベルの高い話になります。ゲームプランって何?という方はこちらの記事をどうぞ。
特にこのターンのせいで負けたな~といったターンがない試合、自分が想定しているゲームプランが成功しなかった試合などは、ゲームプランが良くない可能性があります。簡単な例としてはファティーグを狙ったが相手の攻撃を受けきれずに負けてしまう時、ミッドレンジデッキでアグロデッキ相手にライフレースをするが負けることの方が多い時…なんかはゲームプランが上手く行っていない例です。
例
これまであなたは《傀儡・アラクニ》を使用して《グレイビィ・ボーンズ》相手にファティーグを狙い成功していました。が、《グレイビィ》のサイドカードやプレイによりファティーグが対策されて負ける展開が増えてきました。
こうなった場合、ゲームプランを見直す必要があります。
①ファティーグによる勝利を基本的に狙わないリストとプレイにする
②特定のカードがピッチや防御に見えた場合にファティーグを狙わないプレイに切り替える
③相手のファティーグ対策用カードの更なる回答となるカードを用意する
④使用するヒーローを変更する
などの対応を考え直す必要があります。ゲームプランを修正する場合、考えうる様々なプランを試す必要がある為、試行回数は多く必要なのがネック。対戦相手から「どういった負け方をすることがあるか」「どういったカードをプレイされると辛いか」をヒアリングしながらプランを練り直せると正解に辿り着きやすくなります。
感想戦の注意点
・試行回数に注意!
1-2回の試合を元に「このマッチアップは不利」「このマッチでこのカードは弱い」といった判断を下すのはリスクがあります。「このカードは特定の状況なので偶然強かった/弱かっただけではないか?」「相手の幸運/自分の不運で負けているのではないか?」「自分のミスプレイで負けているのではないか?」といった観点を持ちながら、4-5回はその対面の対戦をして結論を出したいところですね。
・バイアスに注意!
特定のデッキリスト・プレイヤーとばかり試合をして感想戦をしていると、考えが偏る(=バイアスがかかってしまう)可能性があります。FaBはプレイの幅が広いカードゲーム故に、同じ80枚を使ってもゲームの展開はプレイヤーによって変わっていきます。《グレイビィ》を使ってもプレイヤーによって防御的だったり攻撃的だったりします。「こういう試合もあったけど、あくまで入手したデータサンプルの一つ」というスタンスでいるのが理想的です。
・リストに注意!
参考にしたリストが「そのマッチアップのガードを大きく下げているリスト」だったり、「特定のメタゲームを想定したもの」である可能性はあります。参考にしたリストだと《Prism》対策のカードが入っていなかったから不利だと思っていたけど、対策カードを採用したらちゃんと勝てるようになった…ということはあります。
感想戦に慣れて「闘魂激突/Super Slam」に備えよう!
このように感想戦をして、敗因/勝因を分析することは、正しい相性を見極めたり、不利マッチを改善するのに大いに役立ちます。更に、新ヒーローを試す際にも役立ちます!
例えば新ヒーローのリストを仮組して対戦してみて、本来有利だと考えていた相手に負けたらなぜ負けたのか、思ったよりも強くて今のTier上位デッキに勝てたらなぜ勝てたのか、分析していきましょう。このターンがあったから勝てた、この動きが強い、ということが分かれば、そのターンの再現性を上げる構築にしてみるのも良いですし、敗因や弱点が分かればそれを補うカード為に必要なカードを探してリストを改善してみましょう。
例えば自分の周囲のテストプレイでは、《エニグマ》黎明期は何もわからず、青いカードとオーラ、攻撃アクションを入れて、防御リアクションを入れていない構築からスタートしましたが、「結界」オーラが定着してターンが帰ってくるとバリューが非常に高い、ということが分かってくると、その再現性を高めるために防御リアクションを多数採用し始めました。
9月19日発売予定の「闘魂激突/Super Slam」で登場する新ヒーローや、強化される色んなヒーローで遊ぶ際にはぜひ感想戦をやっていきましょう!
以上です。お読み頂きありがとうございました。
Hiroyuki Tansei/どくいろ @fab_dokuiro
お気に入りヒーロー:《Lexi》,《Fai》,《Kayo》
お気に入りカード:《Art of War》
ホームショップ:TableGameCafe’Shuffle、TCG Shop Go Again
史上初の日本選手権で優勝。CallingTokyoTop8。CallingKobeTop4。日本屈指の強豪プレイヤー。手数、打点を読む洞察力が強み。アグロデッキが得意。

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