2025年7月17-20日、シンガポールで「Pro Tour」、「Calling」、「Battle Hardened」が開催されました。Pro TourはFaBの競技シーンの中でも「世界選手権」と並ぶ最も競技的なイベントです。
今回はそんなイベントで上位入賞した、個性的なヒーローや個性的なリストをピックアップ。主に「Pro Tour」と「Calling」のCCフォーマットのデッキを取り上げます。デッキ分析録シリーズほどどっしりとした分析・紹介ではなく、サクっとどの点がユニークなのかを解説していく記事になります。
この記事で取り上げているデッキリストは公式の「Pairings, Results, and Standings」ページより、Standing欄から確認可能です。リンクはこちら。
目次
Pro Tour14位 《アイラ》 Naib Mobassir選手
アーモリーデッキ「アイラ」で登場した武器《秋の刃》を軸にした新カード群と、《臥虎》とコンボする《尻尾追い》などの攻撃アクションを取り入れた斬新なリストがプロツアー14位に入賞!




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《アイラ》と言えば《調和の小太刀》と汎用の攻撃アクションを軸にした構築が主流だったので、これは非常に斬新です。Callingを優勝したShoma Yamamura選手の《アイラ》はちょうど《調和の小太刀》を使用した昔ながらの構築(リストはこちら)なので、比較すると面白いかもしれません。
このリストは安定感が減った代わりに、虎コンボによる爆発力と打点を得てそうですね。
Pro Tour28位 《カッサイ》 Matthew Dilks選手
国別選手権シーズンでは《抜剣》を多く採用した攻撃的な《カッサイ》が活躍していましたが、この《カッサイ》は《Blade Runner》を9枚採用したオーソドックスな形。ただ、「蒼海の秘宝」の新戦力《トロパル=ダニの秘宝》を獲得しており、《金貨》が作成しやすくなっています。




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決して使用者の多いヒーローではありませんでしたが、青いカードと《Blade Runner》の手札2枚から十分な反撃ができるので、防御が得意であり、暗殺者クラスに優位に立てます。《抜け落ちたアラクニ》が多い環境であることは追い風だったと思われます。
Pro Tour76位 《マーリン》 Clément LOUBIERE選手
《マーリン》がプロツアー76位の戦績でフィニッシュ。現状あまり活躍できていないヒーローですが、その分、今後の伸びしろがあるヒーローです。先行研究しておくと、強化されたり、環境の立ち位置が良くなった際にお得かも?
構築は《銛機砲、ハンマーヘッド》を軸に「銛」攻撃アクションを使用するリスト。



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《黄金の一杯》や《海生のうねり》など、《グレイビィ》でも多用されているエンジンカードが多数採用されています。これらで手札やリソースを増やしながら、《銛機砲、ハンマーヘッド》を起動するためのコストを捻出していくリストでしょう。
《黄金の一杯》や《波止場の交易所》は《マーリン》の能力で生成した《金鰭の銛》を捨てればお得に使えます。




Calling3位 《ヤール》 Josh Lind選手
氷・大地タレントの守護者《ヤール・ヴェトレディ》が久々に活躍!top8に食い込みました。
《ヤール》はカードプールの広さから氷軸、氷・大地軸、ファティーグ軸など多様な構築がありますが、今回は氷・大地をハイブリッドしたミッドレンジ~ファティーグデッキのようです。




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《王位の切り倒し》のような強力な攻撃アクションも採用しつつ、防御値2のタレントカードの枚数を絞って耐久力を担保。デッキ修復カードである《追憶》を2枚採用してファティーグも狙える構成にしています。また、新カード《常咲+生命》をプレイし、あらかじめ墓地に落ちている《常咲+生命》をデッキボトムに戻すことで、デッキを減らさずに1点回復し続けるループが可能です。



ユニークなカードとしては《傷には傷を》(=《Scar for a Scar》)の黄色が採用されています。これは《グレイビィ》の盟友に対処するためのサイドカードでしょう。
《グレイビィ》の盟友は《スワビィ》や《改造船医、ソーボーンズ》など体力3のものが多く、《傷には傷を》が赤い必要性は薄くなります。かつ、黄色であることから《征服の命令》や《すき込み》のプレイ用のピッチとしても使用可能です。他の守護者クラスのヒーローなどにも流用できるサイドカードかも?



Calling5位 《ファング》 Andrew Wilborn選手
最近は成績が振るっていなかった《ファング》もCallingのtop8入賞!



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《レイスの終わりなき狩り》は《アラクニ》相手に0コス4点続行かつ「標的」にするカード、《酷似した切味》も0コス4点で「暗殺者」と「戦士」相手に高確率で「標的」にするカードになるので、これら2種をしっかり採用して《抜け落ちたアラクニ》に優位を取っていそう。
これらのカードでスムーズに「標的」にできれば《忠義》トークンの作成に繋がるので、とても優秀です。環境に合わせたメタカードの採用を感じますね。



Calling9位 《カツ》 Khoi Dinh選手
アーモリーデッキ アイラの《秋の刃》関連カードを採用した《カツ》が惜しくもCalling9位に。




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コンボ自体は《疾風斬》→《重旋風》→《祖先との縁》を主軸にしており、サブで《復讐》関連のカードを入れている形。《屈辱》はヒーロー能力への依存度の高い《グレイビィ》や《シンドラ》などに強力なプレッシャーを持ちますね。




《カツ》は元々攻撃がヒットすればヒーロー能力でサーチができる点や、《重旋風の暴圧》などのヒット時効果を持つ攻撃アクションを使える点から、攻撃をヒットさせるバリューが高いヒーローなので、新腕装備《オカナの傷覆い》や新攻撃リアクション《イカルの遺志》と好相性。《歴史の遡り》の名前を《復讐を求めて》などの「復讐」カードにすることで《オカナの傷覆い》の効果を誘発させれる点も面白いです。



青いカードの採用を抑えて、黄色いコンボカードを多く採用している点もユニーク。黄色いカードならコンボの始動カードである《疾風斬》用の2リソースが捻出できるので充分、という考えでしょう。
また、《飽くなき無秩序》を採用している点も珍しいです。青を減らしているリストなので《飽くなき無秩序》は黄色を公開して3点続行でもOK。《カツ》の能力で捨てても良し、《先祖代々の調和》の前方確認として使っても良し、といったところでしょうか。



以上です!
今年の日本選手権も終わり、9月のCalling静岡まで大きなイベントもないシーズンですので、サブデッキを探したり、新しいヒーローを練習してみたい方も多いのではないでしょうか?そんな方のお役に立てれば幸いです。
お読みいただきありがとうございました。
Hiroyuki Tansei/どくいろ @fab_dokuiro
お気に入りヒーロー:《Lexi》,《Fai》,《Kayo》
お気に入りカード:《Art of War》
ホームショップ:TableGameCafe’Shuffle、TCG Shop Go Again
史上初の日本選手権で優勝。CallingTokyoTop8。CallingKobeTop4。日本屈指の強豪プレイヤー。手数、打点を読む洞察力が強み。アグロデッキが得意。

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