目次
概要
このシリーズは大会で結果を出したリストを取り上げて、各カードの採用理由や、ヒーローの勝因を推理・考察するシリーズです!このシリーズを読んでいるだけで、「基礎的なカードの使い方」から「環境に合わせて採用すべきカード」や「ヒーローの選び方」が培われていくはず!という企画になります。
今回は「蒼海の秘宝」シーズン 2025年6月-9月のリストになります。
本文
GoAgainMedia攻略記事担当のdokuiroことTansei Hiroyukiです。
今回取り上げるデッキは2025年7月5日~6日にかけて開催された日本選手権でTop8に輝いたヒーローたち!
国別選手権は成績上位者に世界選手権の出場権利が与えられる、各国の代表を選抜する大会です。また、毎年国内で開催される招待制の競技イベントとしては最高峰の位置づけで、優勝者には日本一の栄誉が与えられる大会になります。
今年の参加者は117名となり、ヒーローの分布は以下のようになりました。

《シンドラ》《グレイビィ》の2ヒーローが中心となる環境と目されていましたが、その予想通りとなりました。しかし、非常に多くのヒーローに分散した多様性のある環境と言えます。
そして、12戦のCC構築戦を勝ち抜いたtop8は以下。

《ドリンシア》2名、《シンドラ》、《グレイビィ》、《オシリオ》《ダッシュ I/O》、《抜け落ちたアラクニ》、《フローリアン》とヒーローが分散したTop8で、多様性ある環境を象徴した結果となりました。
そして優勝したのは《抜け落ちたアラクニ》を使用したXavier Mclean選手!なんと去年の日本選手権も優勝した強豪であり、二連覇となりました。偉業。

今回は優勝した《抜け落ちたアラクニ》、他、《ダッシュ I/O》、《オシリオ》、《グレイビィ》などを取り扱いたいと思います。
優勝 《抜け落ちたアラクニ》McLean Xavier選手
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《抜け落ちたアラクニ》は各ターン最初の「隠密」の攻撃に無償で続行を付与できるヒーロー能力を持つ「暗殺者」ヒーローです。「隠密」攻撃アクションは攻撃値が3~1と低いですが、代わりにヒット時能力を持つものが多いです。《抜け落ちたアラクニ》はそういった「隠密」に続行を付ける効果により、相手に以下のような裏目を作ることができます
①最初のパワー3の「隠密」攻撃に丁度3点でブロックした結果、攻撃リアクションで通されてしまいヒット時能力を受ける
②最初のパワー3の「隠密」攻撃に6点でブロックした結果、攻撃リアクションを温存されて次の攻撃を被弾してしまう
③最初のパワー3の「隠密」攻撃をスルーして次の「隠密」を防ごうとした結果、最初の攻撃に攻撃リアクションを複数枚使われてエンドされ、防御に使いたいカードを使えずにターンが来てしまう
《傀儡・アラクニ》に比べると初撃に「隠密」を付与する効果から攻撃力が高く、手札を打点に変換するのが得意で、攻めっ気があります。その攻撃性能の高さから《グレイビィ》の「盟友」を処理しながら本体にプレッシャーをかけることができ、「暗殺者」の中では一番《グレイビィ》に優位が持てます。
まずは《抜け落ちたアラクニ》の主な攻撃の軸となる「隠密」アクションの採用から確認していきましょう。

《欲望の技:体》は《アウローラ》全盛期にも使用されていましたが、引き続き《シンドラ》や《ファング》、ミラーマッチのような赤いカードがデッキの大半を占める相手に強力な「隠密」です。《グレイビィ》相手には極端にヒット率が落ちるため、サイドアウトしそうですね。




《黒麗の標的》は相手ヒーローが標的されていると手札破壊できる「隠密」。腕装備《短刀の妙技》で武器《狩人のクレイヴ》を投げれば標的状態にできるため、条件の達成は容易です。ただし、相手が《嵐からの避難》などの軽減手段を持っていると《短刀の妙技》のダメージを軽減されて「標的」にできない点には留意しましょう。


《感染》はヒットした場合、0コスト5点相当になる優秀な打点源です。

《Infiltrate》はヒットすると相手のデッキの一番上を追放し、そのカードを自分の次ターン終了時まで使用可能にする特殊な効果を持った「隠密」。《シンドラ》のような0コスト3点続行などシンプルなカードが多い相手には0コスト6-7点相当として活躍してくれます。反面、《アザレア》や《ダッシュI/O》のようなクラスやカードタイプを参照するようなカードが多い相手にはあまり役に立たないので、そういった相手にはサイドアウトするか、防御に回しそうですね。



《死の接吻》は効果はヒット時1点減少だけの控えめな効果ですが、「短剣」サブタイプを持つ唯一の攻撃アクションになっています。これにより、以下2つのコンボがあります。
①《タランチュラの毒素》と組み合わせ、相手の防御カードの防御値を3点下げつつ《死の接吻》の攻撃値を3点上げる使い方
②続行が付いた《死の接吻》の次の攻撃時に、リアクションステップで《短刀の妙技》を起動して《死の接吻》を投げて、1点ヒットとヒット時の能力を誘発させる
①のコンボのように、《タランチュラの毒素》があることから、《死の接吻》を防御すること自体に大きな裏目があり、防御しづらいというのが《死の接吻》の強力な点です。
②のコンボの際に、《死の接吻》に《腐血病の投与》などがプレイされており、《短刀の妙技》でダメージを与えた場合、《腐血病》トークンを与える効果も誘発します。これにより、以下例のようなプレイが可能です。
例:
①《死の接吻》で攻撃。《抜け落ちたアラクニ》の効果により続行がついている。相手は防御しないことを選択。
②リアクションで1コスト払い《腐血病の投与》をプレイ。

③ヒットし、6点ダメージ。《死の接吻》で1点ライフを失わせて更に《腐血病の投与》の効果で《腐血病》トークンを作成。
④次に《感染》で攻撃。相手は防御しないことを選択。

⑤リアクションで《短刀の妙技》を起動して《死の接吻》を選択。
⑥《短刀の妙技》で相手に1点のダメージ。《死の接吻》のヒット時能力も誘発し、1点ライフを失わせて更に《腐血病》トークンを作成。

⑦《感染》がヒットして3点ダメージと《腐血病》トークンを作成。
このようなターンの場合、単純なダメージが9点+《短刀の妙技》で1点+《死の接吻》のヒット時能力で2点+《腐血病》が3つですべてダメージを与えた場合6点=18点与えるターンとなります。《短刀の妙技》は攻撃中の短剣を対象に起動することはできないため、このコンボは《死の接吻》に続行がついている必要があります。各ターン最初の「隠密」に続行を付与できる《抜け落ちたアラクニ》はこのコンボがやりやすく、強みの一つです。


《惹きつける予後》や《苦悶の束縛》は「暗殺者」ならほぼ全員採用する強力な青い「隠密」ですね。



特にXavier選手のリストはアグロ相手には腕装備《短刀の妙技》、胴装備《Redback Shroud》、足装備《禁技の遮音靴》と装備することで装備のみでリアクション3回の起動が可能で、《苦悶の束縛》の条件を達成できるようにしておいます。《苦悶の束縛》をテンポよく、強力に運用するという意志を感じます。



《問題の拡大》はプチ《苦悶の束縛》のような性質ですが、手札破壊効果は持っていないため、妨害というよりはファティーグマッチやシンプルに打点の上昇を勝っての採用でしょう。青い「隠密」が3点になるなら悪くありません。《魅了の束縛》は墓地対策にもなり、回復効果や山札を削る効果が地味ながら嫌らしい「隠密」です。また、これらの青い「隠密」を採用していることで《征服の命令》がプレイしやすくなる、「短剣」の攻撃に必要な2リソースを担保できる、秘術防壁用のリソースを払える状況が増えるなどの利点もあります。
「隠密」自体はすべて0コストなので、《抜け落ちたアラクニ》自体はあまりリソースを必要としないヒーローですが、「魔術師」クラスに対抗できたり、ファティーグが絡むロングゲームで武器による打点をアテにできたり、青い「隠密」カードを一定数採用することでいわゆる「丸い」構築になっているということですね。
「隠密」以外の攻撃アクションでは、《背後からの痛撃》と《刃先の回収》の0/3/2続行2種の採用が光ります。


元々《抜け落ちたアラクニ》と相性が良い攻撃アクション2種ですが、続行を持つ攻撃アクションを増やして攻撃的になる必要があるマッチアップ、つまり《グレイビィ》相手に大いに役に立つカードでしょう。これらで《グレイビィ》の「盟友」をスムーズに倒しながら、温存できた「隠密」でヒーローを狙うことが可能になります。防御値は2という欠点はあるので、《シンドラ》などの攻撃的なヒーロー相手には防御リアクションと入れ替えて対戦していそうですね。
準優勝 《ダッシュ I/O》YAMADA RYO選手
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YAMADA RYO選手の《ダッシュ I/O》は、青が10枚と非常に絞られた独創的なリストです。
同シーズン、他国の国別選手権で優勝した《ダッシュ I/O》のリストは、どちらも青が20枚以上採用されています。
Ian Zhang’s Netherlands National Championship 2025 1st Fabraryリンクはこちら
창건 곽’s South Korea National Championship 2025 1st Fabraryリンクはこちら
青を多く採用することには長所と短所があります。




長所①《Twin Drive》《最高速度》などの2コストの攻撃アクションがプレイしやすい
長所②最低限1リソース必要な《ダッシュ I/O》の能力を使用しやすい
長所③《バックアップ手順:RED》の能力を使用しやすい
短所①青いカードが固まる終盤戦の出力が下がり、ファティーグ耐性が下がる
短所②青いカードを複数枚引いた時、逆に赤いカードばかりで手札に2コストの攻撃アクションがあるなどのリソース事故が起きやすい
短所③《Teklo Core》を置いているターンに青いカードを複数枚引くとリソース過多になりやすい
YAMADA RYO選手のリストは青を減らして赤いカードを増やすことで、上記の短所①、②、③を解消しています。特に短所②が改善している点は大きく、ライフレース中に手札事故が起きると敗着になり得る《シンドラ》相手や、青いアイテムや攻撃値の低い攻撃アクションを固め引いたターンに「盟友」が展開されると敗着になり得る《グレイビィ》相手に安定感が増しているのではないでしょうか。


反面、代償として《Twin Drive》が採用できていない点がありますが、こちらは0-1コストの攻撃アクションを多数採用することで、ブースト数を稼ぎやすくしており、《ダッシュ I/O》の必殺技とも言える《最高速度》を運用可能にしています。とはいえ、青が多いリストよりは《最高速度》の2コストがプレイしづらいということもあるのか、2枚に絞られている点に調整を感じます。



このような構成ですと、手札が赤4枚ということも多々ありますが、0コストのブーストをプレイ→赤ピッチをして胴装備《Teklo Foundry Heart》を起動と動くことで2リソースまでは出すことができ、その後1コストの攻撃アクションをプレイしたり、《ダッシュ I/O》の能力を使用していくことは可能となっています。
また、面白い点としては《Penetration Script》の3枚採用が挙げられるでしょう。このアイテムがある間、機械技師の攻撃アクションを攻撃値+1しつづける、攻撃的なアイテムです。




《Penetration Script》も青いカードを20枚以上採用している《ダッシュ I/O》には採用されていませんが、0-1コストの攻撃アクションを多数採用しているこのリストですと、攻撃アクションを3-4枚使用できるターンが多いので、強化効果を活用しやすいです。0コスト3点が4点になり、ヒットしやすくなる=ヒット時能力や《高性能手榴弾》の誘発が狙いやすい、といったメリットもあります。特に、《Bios Update》や《MetEx》のヒット時能力から《Penetration Script》を展開する動きや、《ワイルドなスピード》をブーストにより追放して《Penetration Script》の上に蒸気カウンターを乗せて維持する動きは勝利に直結するインパクトを持ちます。《シンドラ》は防御が苦手なヒーローなので、《MetEx》などを防御せずにヒットさせてくれそうなのも環境的に合っているポイントですね。

《Plasma Mainline》もあまり採用されてこなかったカードですが、《Plasma Mainline》を設置してから《Penetration Script》や《Teklo Core》などのアイテムをプレイし、蒸気カウンターを移すことで、打点が出るターンを伸ばすことができます。「機械技師」にファティーグを狙ってくる「守護者」や「大地」のヒーロー達に有効なセットアップカードでしょう。
ベスト4 《星々の知性、オシリオ》Mizutani Yoshiki選手
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《オシリオ》はライフの低さ、妨害への弱さなどから、これまであまり競技シーンで活躍できていませんでしたが、「蒼海の秘宝」により《コスモスとの交信/ショック》が登場し、念願の0コストの《ショック》を獲得したことで強化されました。

実際、フィンランドの国別選手権やノルウェーの国別選手権で優勝もしています。
Kalle Kivilahti’s Finland National Championship 2025 1st Fabraryリンクはこちら
Steffen Bergo Jenssen’s Norway National Championship 2025 1st Fabraryリンクはこちら
上記2種のリストと比較すると、Mizutani Yoshiki選手のリストも独自のポイントが多く、興味深いです。ただ、リストの話をする前に、まず《オシリオ》のコンボの説明からしておきましょう。



《オシリオ》の武器《雷の導き、ヴォルザー》は「稲妻」カードをターン中に使用しているほど、「増幅」する値が大きくなります。足装備《稲妻の脛当て》及び攻撃アクション《光速移動》を組み合わせて、1ターンに何度も「稲妻」カードを使用した後に、武器《雷の導き、ヴォルザー》で増幅した巨大な秘術ダメージを飛ばすのが《オシリオ》の基本的なコンボです。



ここに更に《光輝の印》と《忘却への爆破》が組み合わさるとターン中に複数回のドローが可能になり、コンボターンのダメージが伸びていきます。《稲妻の脛当て》を起動したターン中、《光輝の印》プレイ→《忘却への爆破》をプレイし、チェインリンク上でインスタントをプレイ→《光輝の印》を回収をすれば、《光輝の印》が手札に戻り、1ドローできます。

なので、コンボの核となる上記の装備品及び3種のカード(=《光速移動》、《忘却への爆破》、《光輝の印》)はほぼ全ての《オシリオ》が採用しているカードになるのですが、Mizutani Yoshiki選手のリストは従来採用されている《忘却への爆破》の赤、黄色3枚ずつに追加して、青まで3枚採用しています。これにより、コンボの再現性が向上し、更にコンボターンの爆発力も伸びています。




他の国別選手権優勝リストでは1枚も採用されていない《エーテルの印》が3枚採用されている点も特筆すべき点です。「印」なので武器《雷の導き、ヴォルザー》や腕装備《第三世紀のエーテルの結束》とのシナジーがあるのは勿論、《稲妻峡谷の導き》が闘技場にある状態で、頭装備《卓越の閃光》で防御し《エーテルの印》を手札に戻すことで、相手ターンに秘術ダメージを与えてドローするコンボが可能、というのが3枚採用に踏み切った理由だそうです。(本人談)
その強さから半年ほどでLLした《アウローラ》で猛威を振るった《稲妻峡谷の導き》+《苦悩の印》のコンボを彷彿とさせますね。






また、防御リアクションを不採用としている点もユニークな点です。「暗殺者」クラスのヒット時能力を防ぐのに便利な防御リアクションですが、コンボターンに防御リアクションを引いているとどうしても邪魔になってしまうというデメリットはあります。《引っ掛け》や《安らぎの風》ならインスタントなので、「暗殺者」相手の対策カードとして役立ちつつ、コンボターンには《オシリオ》の能力で捨ててコンボに役立つカードを引き込んだり、そのままプレイして《光速移動》や《忘却への爆破》の能力を誘発させるためにも使用できる点を評価しているのでしょう。
ベスト8 《難破船の略奪者、グレイビィ・ボーンズ》Sasaki Masaru選手
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「蒼海の秘宝」新ヒーローの《グレイビィ》は現在進行形でリストの研究と変化が最も進行しているヒーローであり、今回ベスト8に入賞したSasaki Masaru選手のリストも、先月トーナメントシーンで活躍していた《グレイビィ》のリストとは変化している点が多々あります。
丁度1か月ほど前、6月13日にBrodie Spurlock選手が、Battle Hardened: Las Vegasで優勝したリストと比較すると、この1か月でどのような変化が起きているのか確認することができるでしょう。
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《グレイビィ》のデッキエンジンである《黄金の一杯》がフル採用されている点や、装備品などの大枠は変わっていません。変更点として、まず目を引くのは昔は採用されていなかった《海生のうねり》が赤青3枚ずつ採用されている点。


ミラーマッチにおいて体力3や1の「盟友」を処理しながら、デッキトップが青ならリソースが増える点が優秀な攻撃アクションです。《シンドラ》等のアグロ相手にも、防御に手札を使いつつ、少ない手札からリソースを増やして《蒼海の大覇船》や《陽気な副船長、チャム》などのコストが大きい分インパクトの大きいカードのプレイに繋がります。



《海生のうねり》が手札に来た際は装備品《海淵のコンパス》でデッキトップを確認して、青いカードでなければ《海生のうねり》を防御に使用したりピッチに回すのも手です。デッキトップが分からない状態でも、デッキの半分以上は青いカードなのでまぁまぁの確率で当たります。



《裏通りの禁忌破り》は元々《墓への呼び声》でデッキから墓地に送ることでアクションポイントを増やせるカードとして、1枚採用が主流とされているカードでした。が、この構築では《海生のうねり》でデッキからピッチしてもアクションポイントが増やせるという点を加味しての3枚採用に。《蒼海の航海図》でピッチしてもアクションポイントが増えるので、結構ラッキーでアクションポイントが増えます。アクションポイントが増えると、「盟友」による連続攻撃が狙えますし、《海生のうねり》や《蒼海の航海図》のプレイでついでにアクションポイントが増える、というのは無からアクションポイントが増えているようなもので、不利マッチや押されている状況をひっくり返すバリューがあります。アクションポイントを増やすカードを《裏通りの禁忌破り》に任せた関係で《ダイヤモンドのアミュレット》が不採用になったり、《船酔い知らず》が2枚採用に抑えられたりもしています。


また、《ウェイラー・ハンパーディンク》と《容赦無用》が不採用になってます。


《ウェイラー・ハンパーディンク》が強力なのは「大地」や「守護者」やファティーグを狙ってくるヒーローであり、アグロ相手や、テンポが要求されるマッチではプレイして攻撃するのに12リソースを要求するこの巨大な「盟友」をプレイする余裕はなかなか生まれません。また、《ウェイラー・ハンパーディンク》が活躍するマッチは《グレイビィ》に不利が付きやすいため環境から数を減らしている点、元々有利マッチなので《ウェイラー・ハンパーディンク》がなくても十分な勝率が担保できる点が不採用に至った理由でしょう。そして、《容赦無用》が不採用になった理由にもつながっています。《ウェイラー・ハンパーディンク》が不採用となり、大型の「盟友」が減ったことで、3リソースの軽減が活きるのが《スワビィ》と《陽気な副船長、チャム》だけになった点、「盟友」を2体並べて終了するよりも「盟友」プレイ→「盟友」で攻撃するプレイが基本となったことで、2体軽減する効果が活きるシチュエーションが減った点などが《容赦無用》の不採用の理由として推測できます。《容赦無用》が複数枚手札に来たり、「盟友」が墓地にいない状態では事故要素になる点もネガティブな点ですね。

また、サイドカードで面白いのは《残響のアミュレット》でしょう。これは《オシリオ》へのピンポイントメタカードになります。上述の通り、《オシリオ》はコンボターンに《光速移動》や《光輝の印》を複数回プレイするコンボデッキなので、ほぼ確実に「同名カードの2回以上のプレイ」という条件を満たすので、《残響のアミュレット》の設置さえできていればコンボの妨害ができます。《オシリオ》に苦手意識がある方はサイドカードとして採用を検討しても良いかもしれません。ニッチなカードですが、今後も「同名カードをプレイするコンボデッキ」が現れた際には活躍する機会があり得るサイドカードです。覚えておくと得するかも。
今回のデッキ分析録は以上となります!
日本選手権にてベスト8に輝いた残り4名のデッキもフレッシュ&ブラッドのX公式アカウント(リンクはこちら)にてリストが掲載されていますので、興味がある方はぜひご覧ください!本当はベスト8の残り4名の分析もしたかったところですが、筆者がプロツアー前ということもあり多忙で、申し訳ありませんが4名分の分析という形にさせて頂きます。
以上です、お読みいただきありがとうございました。
Hiroyuki Tansei/どくいろ @fab_dokuiro
お気に入りヒーロー:《Lexi》,《Fai》,《Kayo》
お気に入りカード:《Art of War》
ホームショップ:TableGameCafe’Shuffle、TCG Shop Go Again
史上初の日本選手権で優勝。CallingTokyoTop8。CallingKobeTop4。日本屈指の強豪プレイヤー。手数、打点を読む洞察力が強み。アグロデッキが得意。

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