今回はFaBのカードタイプの一つ、「盟友(英名:Ally)」関連のルールとテクニックについて解説する記事です。
「盟友」はカードが持つサブタイプの一つであり、ヒーローが呼び出す仲間のようなイメージです。基本的にコストを払えば攻撃をしてくれて、攻撃後も闘技場に残る「追加の武器」のような特性を持ちます。

FaBはヒーロー同士の1vs1のゲームですが、「盟友」が闘技場に出ていると話は変わり、2vs1や3vs1のゲームになります。《Dromai,Ash Artist》や《Prism,Awakener of Sol》といった「幻術士」クラスや《金の砂のカッサイ》がこれまで「盟友」を出すことを得意としてきました。






5月30日発売予定の「蒼海の秘宝/High Seas」にて新登場するクラス「死霊術師」である《グレイビィ・ボーンズ》も「盟友」を用いた戦術を得意としているようです。



今後「盟友」を使用するヒーローと対戦する機会も増えそうなので、その前に「盟友」関連の挙動を再確認しておこう!という記事です。
「盟友/Ally」の基本ルールについて
(※2025年5月現在のルールに基づいて記載しています)
「盟友」への攻撃について
①攻撃の開始時に「ヒーロー」か「盟友」を攻撃対象に選択することができる
闘技場に相手の「盟友」がいる場合、自分が武器で攻撃したり、攻撃アクションで攻撃する際に「ヒーロー」を攻撃するか、「盟友」を攻撃するか選択します。対戦相手の「盟友」がいる時は、必ず対象を指定して攻撃を宣言するようにしましょう。選択のタイミングは「レイヤーステップ」、つまり攻撃の宣言時です。普段は「《傷には傷を》をプレイして攻撃」と宣言するところを「《傷には傷を》をプレイして、《シンタリの傭兵》に攻撃」に変えるイメージです。

②「盟友」に対しての攻撃は防御できない

公式サイトのComprehensive Rulesより引用
「盟友」に対して行われた攻撃に対して、防御にカードを使用したり、防御リアクションを使用することはできません。

③「盟友」への攻撃がヒットした場合、ヒット時能力は誘発する
《スナッチ》のようなヒット時能力を持つ攻撃アクションで「盟友」に攻撃し、ヒットした場合、効果は正常に誘発し、ドローすることができます。

注意点として、《征服の命令》や《目撃者の抹殺》のような「ヒーローにヒットしたとき」(英語はWhen this hits a Hero)というテキストの場合、「盟友」にヒットしても効果は誘発しません。「盟友」はヒーローではありませんからね。



④秘術ダメージなどのダメージを与えるカードは「任意の対象」(Any Target)という記載があればプレイ時に「盟友」を対象に取り、それにダメージを与えることができる


《秘術の交錯》は「任意の対象」と書いてあるので、プレイ時に「盟友」を選択し、秘術ダメージを与えることが可能です。ただし、《Zap》はTarget hero(対象のヒーロー)なので、「盟友」を選択できません。また、「盟友」に秘術ダメージを与える際、「盟友」をコントロールするヒーローが「秘術防壁」などの軽減手段を持っていたとしても、「盟友」への秘術ダメージを軽減することはできません。
「盟友」の体力や管理について
⑤「盟友」の体力が0になると墓地に送られる
①や④の手段で「盟友」にダメージが入り、その「盟友」の体力以上のダメージが入った場合、「盟友」は墓地に送られます。

⑥「盟友」の体力はターン終了時に最大値まで回復する

公式サイトのComprehensive Rulesより引用
例として体力4の「盟友」に2点のダメージが与えられた状態で、ターンが終了すると、その体力は4に戻ります。この回復は終了フェイズの処理として、お互いのターン終了時に行われます。
⑦「盟友」の数に上限はない
「盟友」は何体でも場に出すことができます。
「盟友」の攻撃について
⑧自分の「盟友」が攻撃している際に攻撃リアクションはプレイできない

公式サイトのComprehensive Rulesより引用
ただし、インスタントの使用は可能なので、攻撃値を強化するインスタントでかつ適正な対象の場合は強化されることもあります。例えば、《灸を据える》は「竜系」の攻撃を強化するインスタントですが、《Dromai》が使用する「竜系」の「盟友」による攻撃中のリアクションステップに《灸を据える》をプレイすることで強化できます。


⑨「盟友」による攻撃も戦闘チェインは形成する
「盟友」の攻撃も、通常の攻撃のようにチェインリンク及び戦闘チェインを作成します。ヒーローの攻撃→「盟友」の攻撃→ヒーローの攻撃というような状態になっても、戦闘チェインを継続することができます。
細かいルーリングについて
・攻撃対象として選択した「盟友」がなんらかの効果により、レイヤーステップ中に闘技場から離れた場合

公式サイトのComprehensive Rulesより引用
レイヤーステップに攻撃対象として「盟友」を宣言し、その選んだ「盟友」がレイヤーステップ中に何らかの効果でいなくなってしまった場合、アタックステップの開始時に、クローズステップに移行してしまいます。つまり、リソリューションステップでの「続行」によるアクションポイント獲得も発生しなくなってしまいます。

実際の対戦でしばしば起こるプレイを説明します。




①《Prism》が闘技場に出している「盟友」である《Suraya,Archangel of Erudition》を、続行をもつ4点の攻撃で攻撃対象に選択。
②《Prism》がレイヤーステップに頭装備《Halo of Illumination》を起動。
③②の効果で「Herald」の名を持つカードをソウルに入れたため、《Prism》の効果が誘発。
④「Figment」カードをデッキからサーチして闘技場に出す効果により《Figment of Ravages》を闘技場に出す。
⑤《Figment of Ravages》の効果で《Prism》自身を対象にして1点の秘術ダメージを与える。
⑥⑤の効果で受ける1点の秘術ダメージが《Suraya,Archangel of Erudition》の結界4の効果で軽減。結界により《Suraya,Archangel of Erudition》が墓地に置かれる。
⑦お互い優先権をパスし、レイヤーステップが終了。アタックステップへ移行。
⑧アタックステップ開始時に攻撃対象が適正かチェック。⑥により、攻撃対象にしていた《Suraya,Archangel of Erudition》がいなくなってしまったので、攻撃不成立となり、クローズステップへ移行。「続行」によるアクションポイントの獲得や、攻撃時効果の処理は行われない。
要は、続行を持った攻撃で「盟友」を攻撃対象とする場合は、何らかの可能性でその「盟友」が急に消えることはないか、リスクを考えたうえで対象に取りましょう、という話ですね。最悪の場合、その後使う予定だった3-4枚の手札が使えずに終わってしまいます。起こることとしては「光彩」(=Spectra)を持つオーラを攻撃対象に選択した時と大体同じです。


とはいえ、上記のようなプレイが可能なのは「結界」を持った「盟友」を使う《Prism》くらいですので、基本的にはレアパターンです。ただ、知っておくと役に立つことがあるかもしれません。
・「盟友」を攻撃対象として選択した時の注意点
「盟友」を攻撃するか、ヒーローを攻撃するかの選択は「レイヤーステップ」=攻撃の成立前に行われます。つまり、攻撃アクションや武器の「攻撃時」の効果が誘発する前に行われます。

《飽くなき無秩序》の効果で攻撃の値が確定する前に、攻撃先を指定する必要があるのは気を付けましょう。「赤」を公開して4点になると思って体力4点の「盟友」を攻撃指定した後、「青」が公開されてしまい、「盟友」の体力が残ってしまうことがあります。
「盟友」の強み
「盟友」の強みは闘技場に残る打点であることです。例えば攻撃値3点の「盟友」がいる場合、出たターンに攻撃して4点、次のターンも「盟友」がいればさらに3点…とターンがかさむほどにその「盟友」が出す表現価値は増えていきます。「盟友」が複数体並ぶと加速度的にターンごとのバリューは増加していきます。
「盟友」はその性質上、「続行」による攻撃が苦手な、1ターンに1回の攻撃になりやすい「守護者」クラスや「暗殺者」クラスに強いギミックです。ヒーロー単位で言うと、《フローリアン》や《アザレア》にも強いです。



1回の攻撃しかできないヒーローが「盟友」を出されてしまうと、「盟友」を攻撃すると、ヒーローにプレッシャーを与えることができずにヒーローに自由に動かれてしまいますし、逆にヒーローを攻撃すると残った「盟友」が攻撃してくる、というジレンマに陥ってしまいます。同時に複数体の「盟友」を出された時は複数ターンをかけて「盟友」を処理する必要があり、不利な展開になりやすいです。これが「盟友」の強みです。
また、「盟友」は疑似的なライフゲインとしても機能するのも長所です。例えば《シンタリの傭兵》で3点の攻撃をして、返しのターンで4点で《シンタリの傭兵》に攻撃されて墓地へ行った場合、合計7点の表現価値になっていることになります。
また、疑似的なライフゲインであることから、ファティーグに繋がることもあります。《Dromai》は試合中に合計10数体以上の「盟友」を出すこともよくあったので、「盟友」を全部倒していくだけでも累計2-30点の打点が必要になることがありました。そうなると《Dromai》のライフが削り切れず、ファティーグしてしまう…ということもありました。
「盟友」の弱点
「盟友」の弱点は「相手が好きにヒット条件を満たせるマトになってしまうこと」でしょう。ルール②と③で触れたように、「盟友」に対する攻撃は防御できず、かつヒット時の能力は誘発します。つまり「盟友」を出していると、相手の《スナッチ》は殆どの場合、確定1ドローとして機能します。「盟友」が多い環境ではあなたのヒーローが使える「ヒット時効果持ち」の攻撃アクションを探すと良い対策カードが見つかるかも。


《機運の仮面》も「盟友」が場にいると、3連続ヒットが狙える状況がかなり増えます。《機運の仮面》の「3回以上連続でヒット」の効果を全て「盟友」に対する攻撃で達成し、ドローすることも可能です。一体の「盟友」に3回攻撃し、ヒットさせても良いですし、盟友Aに攻撃→盟友Bに攻撃→盟友Cに攻撃といった形や、途中でヒーローに攻撃してヒットすることで「3回以上の連続でヒット」を達成してもドロー可能です。《機運の仮面》は「盟友」対策としてメジャーな装備で、《Dromai》が強い環境では《機運の仮面》を装備した《Fai》が対策となるヒーローになりました。
また、強みで述べた「1回の攻撃しかしないヒーローに強い」という長所とは逆に「連続攻撃が得意なヒーローには弱い」という面もあります。例えば体力1の《Aether Ashwing》トークンを2体出しても、「忍者」クラスのヒーローには《調和の小太刀》を2回振るうだけで2体とも倒されてしまいます。


勿論、倒された「盟友」たちも、攻撃を引き受けることでそのダメージ分の仕事は果たしてくれているのですが、大変な思いをして出した「盟友」がついでのアクションで倒されてしまうと不利になりやすいです。
また、数は少ないですが、《Cleave》《Singe》など、プレイヤーと「盟友」に同時にダメージを与えることが可能なカードもあります。これらの対策カードで効率良く「盟友」を倒されてしまう展開も弱点の一つです。


オマケ ヒーロー毎の「盟友」の出し方とフレーバー
「盟友」はヒーローの仲間ですが、ヒーローにより、その出し方とフレーバーが大きく異なっているのが特徴的です。これらを理解すると、各ヒーローの挙動や、「盟友」を出されないためにはどうすべきか、といったプレイの理解にもつながりので、ざっくりと解説していきます。
《Dromai》とドラゴンたち

《Dromai》は「Invoke」と名の付くアクションカードを使用し、《Ash》トークンをドラゴンに変身させます。《Dromai》は「盟友」を出すのに2つのステップを必要とします。
①赤いカードをピッチする度にヒーローの能力で《Ash》トークンを作成する。
②《Ash》トークンがある状況で、《Invoke Cromai》などの「Invoke」カードを使用することで、《Ash》1枚を「Invoke」カードで指定されている盟友に変身させる。(《Invoke Cromai》を使用すると《Cromai》が闘技場に出る)



《Ash》トークンから変身した「Dragon」たちは《Ash》の効果により「幻影/Phantasm」を持つので、ポッパー(=攻撃値6以上の攻撃アクション)にブロックされると破壊されてしまいます。《Dromai》の「盟友」のフレーバーは、「Ash Artist=灰の芸術家」の名の通り、「Ash=灰」を竜に変化させて戦う感じですね。
他、《Ash》トークンの裏面は《Aether Ashwing》という「盟友」であり、《Rake the Embers》や《Billowing Mirage》などの効果でも「盟友」を展開します。



《Prism,Awakener of Sol》と天使たち

《Prism,Awakener of Sol》は「Figment」という、裏面が「盟友」になっているカードを使用します。《Prism》も《Dromai》同様、「盟友」を出すのに2つのステップを必要とします。
①「Figment」カードを闘技場に出す。
②ヒーロー能力でソウルを追放し、「Figment」を裏返すことで「盟友」にする。


①は基本的に「Herald」カードがソウルに入った際に誘発する《Prism,Awakener of Sol》のヒーロー効果で達成します。



「Figment」は4コストもかかってしまう為、基本的には手札からプレイはしたくないカードですからね。更に、そのままソウルに入った「Herald」を追放することで「Figment」を裏返して「盟友」にすることができます。つまり「Herald」攻撃アクションがヒットする=「盟友」の元となる「Figment」が闘技場に出る+その気になれば「盟友」にできるということです。逆に言うと、「Herald」攻撃アクションがなかなかヒットしないと「盟友」は出てきません。
裏面の天使たちはそれぞれ以下の共通点を持ちます。




①結界4を持つ
②攻撃値4、体力4である
③攻撃には2リソースかかる
④攻撃時にソウルを1つ追放することで、表面の「Figment」を強化したような能力を発揮する
(表面は《熟考》トークンで裏面は2枚ドロー。表面は《霊気の盾》トークン1つ作成で裏面は《霊気の盾》トークン2つ作成、等々)
上記を踏まえて、「盟友」にするのにソウル1つ目、攻撃の際にソウル2つ目が必要、ということで「ソウルが2つ以上ある《Prism,Awakener of Sol》は強い」という認識でOKです。
《Prism》の「盟友」のフレーバーは「Figment」を「天使」に変身させるイメージですね。
《金の砂のカッサイ》と傭兵たち

《カッサイ》は「幻術士」に比べると特別「盟友」を用いた戦略が得意というヒーローではありません。ただ、《カッサイ》特化のカードである《軍隊の招集》のみが「盟友」を出す効果を持っており、1枚で《シンタリの傭兵》トークンを複数体出すことが可能です。



《軍隊の招集》の追加コストとなる《金貨》トークンは基本的に《カッサイ》のヒーロー能力で作成していきます。《カッサイ》の「盟友」のフレーバーは金で雇った傭兵たちです。《金貨》があるほど雇える傭兵が多いってことですね。
「影」タレントのヒーロー3種と悪魔たち



「影」タレントを持つヒーローはそれぞれ、特殊な条件を満たすことで1体だけ「盟友」を出すことができます。これらの「盟友」を出すためのカードは全て「伝説」かつ、プレイの為の厳しい条件が付いています。
《Chane》は「血の債務」(=blood dept)を持つカードをこのターン6枚以上プレイしてる場合にのみ、追放ゾーンからプレイ可能な《Eclipse》により《Ursur,the Soul Reaper》トークンを作成できます。


《Levia》は6枚以上の「血の債務」(=blood debt)を持つカードが追放されている際に使用できる《Doomsday》をプレイすることで《Blasmophet,the Soul Harvester》トークンを作成できます。


《Vynnset》は「ルーン陣」トークンがちょうど6つあればプレイできる《Oblivion》で《Narsreth,the Soul Harrower》トークンを作成できます。


影タレントの「盟友」のフレーバーは、手間のかかる儀式をして異世界から悪魔を呼び出すといった感じです。ひとたび出せれば、攻撃値6、体力6と非常に大きな戦力になってくれます。また、光タレントのヒーローの戦略「ソウル」を対策する効果を持っているのも特色であり、闇の眷属感がありますね。
《グレイビィ・ボーンズ》と幽霊船員たち

注目の新ヒーロー《グレイビィ》はこれまでのような何かアクションカードを経由して「盟友」を出すというヒーローとは異なり、直接「盟友」カードをデッキに入れて、そのままプレイすることで闘技場に出せるようです。


これらの「盟友」アクションカードは手札からもプレイ可能ですが、《グレイビィ》のヒーロー能力により墓地から「溺墓」を持つカードをプレイできるので、この能力で手札を消費せずに「溺墓」を持つ「盟友」を墓地から出す動きが強力そうですね。
注意点としては「盟友」カードは防御値を持っていないようですので、手札が「盟友」だらけになってしまうと、相手の攻撃が全て通ってしまうような状況になり得ることです。対戦相手が「盟友」を攻撃をしたくなるようなプレッシャーをかけて、防御値がないという欠点を補えると強く立ち回れそうですね。また、《陽気な副船長、チャム》の持つ、攻撃誘導能力や、《改造船医、ソーボーンズ》が持つ軽減能力も「盟友」は手札にて防御値を持たないという欠点を補ってくれそうです。
《グレイビィ》の「盟友」のフレーバーは、幽霊船の搭乗員たちであり、船長である《グレイビィ》の部下といった感じですね。
まとめ
・「盟友」は一度出ると倒されるまで闘技場に残り、攻撃が可能な仲間!
・「盟友」への攻撃に対して防御することはできなかったり、「盟友」の攻撃に攻撃リアクションを使用できないのは注意が必要。
・「盟友」は「守護者」などのワンアクションヒーローに強く、「忍者」などの続行が得意なヒーローに弱い傾向がある。
以上です。お読み頂きありがとうございます。
Hiroyuki Tansei/どくいろ @fab_dokuiro
お気に入りヒーロー:《Lexi》,《Fai》,《Kayo》
お気に入りカード:《Art of War》
ホームショップ:TableGameCafe’Shuffle、TCG Shop Go Again
史上初の日本選手権で優勝。CallingTokyoTop8。CallingKobeTop4。日本屈指の強豪プレイヤー。手数、打点を読む洞察力が強み。アグロデッキが得意。

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