攻撃リアクションの駆け引きについて

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攻撃リアクションはFaBにおける重要な要素の一つで、いくつもの駆け引きを生む面白い要素です。現環境でも《ほんの切り傷》や《タランチュラの毒素》、実質リアクションとして使用されがちな《稲妻の圧壊》や《稲妻峡谷の導き》が多くの駆け引きを生んでいます。※5/7現在アウローラがLLに到達したので下二つは環境からは見なくなるかもしれません。

相手がどの攻撃リアクションを使用してくるのか読み切れずに、損する防御をして負けることはないでしょうか?そんな困っている方に「攻撃リアクションの読み方」について解説するのが今回の記事の目的です。とはいえ、ヒーローによって使用してくる攻撃リアクションは変わり、大きく前提や対策も変わってくるので、基礎的な考え方と、攻撃リアクションを主軸として戦う主要なヒーロー毎の考え方を分けて書きます。まずは基礎的な考え方から!

攻撃リアクションの読み方-基礎編-

①相手の残っている手札とリソースから考える
相手が攻撃してきた状態で、相手の残りの手札が1枚、浮きリソースがない状況なら、プレイされる可能性があるのは0コストの攻撃リアクション/インスタントだけになります。

例えば《ヌゥ》相手なら《擦れ音》《毒の噛みつき》などは想定しなくて大丈夫ですし、《ドリンシア》相手なら《Singing Steelblade》などはプレイされることがないわけです。

相手が一般的に採用している攻撃リアクションを把握しておく必要はありますが、リソースと手札から逆算することである程度「どういった攻撃リアクションがプレイされる可能性があるか」を想定することができ、それが最適な防御に繋がります。逆に、相手が過剰に手札やリソースが余っているような状況で攻撃してきた場合、複数枚の攻撃リアクションがあったり、《殴打》のようなコストが重い攻撃アクションがあることが想定されます。例えば、相手の手札が2枚余っている状況で《征服の命令》をプレイされた時等は、《殴打》があるんじゃないか、と予測することができます。

②相手がゲーム中に使用した枚数から考える
FaBにおいてカードの採用枚数は3枚が上限です。
シンプルな話、《ほんの切り傷》が3枚、既に相手の墓地にある状況ではプレイされません。それだけだと当たり前やんというだけの話ですが、これに加えて「相手のピッチしたカード」もデッキが2周目になるまではプレイされないというのも重要です。(※シャッフルやサーチが絡まない限りは)
例えば、《ほんの切り傷》が相手の墓地に2枚あり、かつ序盤にピッチしたのを見ている状況なら、2周目になるまではプレイされません。なので中盤の《惹きつける予後》などに《ほんの切り傷》がプレイされることは想定しなくてOKということになります。少し上級者向けのテクニックですが、攻撃リアクションが絡む相手との対戦は、「相手が何をピッチしたか」をできれば記憶していきたいですね。

➂相手の前のターンの防御から考える
分かりやすい例を出します。自分のターンに《啓示の一撃》7点で攻撃し、相手は防御せずに7点のダメージを受けました。

その後、相手のターンになり、相手は手札4枚から、青をピッチして《征服の命令》をプレイしてきたような状況、つまり手札が2枚余っています。…うーん、攻撃リアクション、特に《殴打》が匂いますね。


「使い切れない手札は防御に回した方が良いはずなのに、手札が余るような攻撃をしてきた」という考え方を持つと、前のターンの防御から相手が攻撃リアクションを絡めてきそうかどうか気づくことができます。この場合ですと、相手に《殴打》がなく、《征服の命令》で攻撃して終わり!というだけなら、格納庫にカードを置くことを考慮しても、1枚手札が余ります。つまり、相手はなにかインスタントや攻撃リアクションで手札を使うつもりなので、防御していないということですね。ただ、《殴打》を警戒して過剰に防御すると、《癒しの印》や《祝福への感謝》などのインスタントでスカされて損してしまう…というパターンもあり得るのでそこは注意しましょう。

ここまで分かりやすい例ではなくても、例えば《ヌゥ》が前のターン防御にカードをほぼ使わずに、《苦悶の束縛》を使用してきた場合、ほぼ必ず3回の攻撃リアクションのプレイ/起動をすることが可能ということでしょう。要は、相手がこちらの攻撃を防御せずにテイクしてきたら、攻撃リアクションなりインスタントなりで手札を使う算段があるだろう、ということです。

大まかな攻撃リアクションに対する考え方は以上です。続いて、個別のヒーロー毎に見ていきましょう。

攻撃リアクションの読み方-個別ヒーロー編-

《ヌゥ》


《ヌゥ》は攻撃リアクションの種類の豊富さに加え、各種「超越」や《癒しの印》など、多くの裏目を提示してきます。具体的な例を見ながら、どのように防御すべきなのか考えていきましょう。

例題①:対戦相手の《ヌゥ》はこちらの攻撃に対して、手札を2枚防御に使用した後、《ヌゥ》のターンに《惹きつける予後》をプレイしてきました。相手の残りの手札は1枚で浮きリソースは0。こちらの手札は《群青へ沈む》、《稲妻纏い》、《稲妻の波動》、《稲妻の波動》のような状況。

考え方:相手の手札が1枚ということは、考えられるのは以下3つ。
A:《ほんの切り傷》
B:「超越」からの頭装備《繰り返す悪夢の仮面》起動
C:リアクションはなにもなく、格納庫にカードを置いてパスというブラフ

このような状況で裏目がないのは防御値2の《稲妻の波動》を防御に出す、という防御です。
相手がAのパターン、《ほんの切り傷》をプレイしてきた場合、防御リアクション《群青へ沈む》を使用して2+4=6点で防御できます。
Bのパターン「超越」からの《繰り返す悪夢の仮面》起動の場合、使用せずに済んだ《群青へ沈む》か、攻撃アクションを追放すればOKです。
Cのパターンなら次のターンに攻撃アクション2枚で攻撃し、残った《群青へ沈む》を格納庫に置いてエンドできます。所謂「全受け」ができる理想的な防御ですね。
今回は手札が1枚、かつ防御リアクションがあるので比較的簡単なシチュエーションでした。では次の例題を見てみましょう。

例題②:対戦相手の《ヌゥ》は前のターンこちらの攻撃を防御せずに受け、手札4枚の状況から《苦悶の束縛》をプレイしてきました。こちらの手札は《孤光の稲妻》、《稲妻纏い》、《快電の突撃》、《啓示の一撃》

考え方:防御リアクションもなく、防御値も低いカードが多いので、《苦悶の束縛》に攻撃リアクションが複数枚使用されると防ぎきるのは難しいでしょう。
《苦悶の束縛》はヒット時に相手の手札を1枚追放し、その同名カードを3枚デッキ・墓地から追放するという強力な効果を持っています。キーカードやデッキに2枚残っているカードを追放されてしまうと、一気に勝ち筋がなくなったり、ファティーグが近づいてしまうので避けたいところ。また、このような状況ですと、相手の手札が多いため、大きく以下のパターンがあります。
①《ほんの切り傷》により攻撃値が大きく伸びる可能性
②「超越」の可能性
③《誰もが通った道》や《擦れ音》・足装備《反抗の高踵》から出る《這いずり》により続行が付き、その後《虚弱症の魔本》などで追撃がある可能性

④ブラフであり《祝福への感謝》の可能性

上記①-③は複合するパターンもあります。このように《ヌゥ》側の手札が多い状況だと、かなりのパターンがあるので、例題①のように裏目のない防御をするのは非常に困難です。こういった際の考え方はいくつかあります。

・追放されたら嫌なカードだけ防御に出してしまう
この手札の例だと《孤光の稲妻》や《啓示の一撃》は強力なカードなのでぜひデッキに残しておきたいカードです。もしこれらのカードがデッキに残っているなら、防御に差し出してしまいましょう。

・手札を全て防御に出してしまう
手札が無ければ《苦悶の束縛》の効果でデッキからカードを追放されてしまうことはありません。全て出してしまうのも選択肢の一つです。ただ、③の続行が付いて追撃があるパターンや、④《祝福への感謝》は時に致命傷となってしまうので、相手がこれまで使用してきたカードも込みでリスクリターンを考慮する必要はあります。

・ノーブロック
どの手札を追放されても良い状況、キーカードがなかったり、既に1-2枚使用しているようなカードばかりの状況、そして1枚追放されてしまっても、残った手札で相手にプレッシャーをかけれる手札ならノーブロックというのも選択肢の一つです。ハンデスを恐れすぎてしまうのも時にはミスになります。特に、こちらが《ヌゥ》よりも大幅にライフで優位が付いている状況なら攻勢を維持するために有効な選択肢になります。

上記を総合的に考慮しましょう。今回の手札の場合は「追放されたら嫌なカードだけ防御に出してしまう」か「手札を全て防御に出してしまう」が良さそうですね。ただ、《孤光の稲妻》や《啓示の一撃》の両方を使用しており、もう手札のものが最後の1枚になっているような状況なら「ノーブロック」もアリです。

《傀儡・アラクニ》及び《抜け落ちしアラクニ》

この2種のヒーローは能力こそ違いますが、リストに採用するカードは似通うことが多いので、共通の項目として扱います。無条件で「隠密」を強化する《刃閃の刃》、《成り済まし》や、カードの防御値を低下させる《引き裂き》や《タランチュラの毒素》などの攻撃リアクションを採用していることが多いです。

例題:《傀儡・アラクニ》が手札2枚の状況から《黒麗の標的》をプレイ。装備は腕装備《短刀の妙技》があり、《狩人のクレイヴ》が2本装備されている状況。自分の《シンドラ》は「標的」にはなっていません。あなたの手札は《嵐からの避難》、《炎斬》、《忠誠の誓い》、《迫りくる追跡》です。

考え方:このような状況では、防御をしない宣言をするのが正解です。防御宣言後、相手はおおむね腕装備《短刀の妙技》を起動してこちらを「標的」にすることを狙ってくるため、《短刀の妙技》の起動に対応し、《嵐からの避難》のインスタント能力を起動するのが理想です。結果、「標的」になることを防ぐことができ、《黒麗の標的》のヒット時効果も無力化できます。

《嵐からの避難》があれば、上記の通り話が早いのですが、ではこれが《群青へ沈む》だった場合はどう防御するのが正解でしょうか?

考え方としては以下の3つがあります。

①ライフと手札を守るために《迫りくる追跡》の防御値3点で防御。相手が《短刀の妙技》起動し、《黒麗の標的》が《傀儡・アラクニ》のヒーロー能力により+1点されて4点になってから、《群青へ沈む》をプレイ。相手が攻撃リアクションを持っていた場合でも+3点や-3点までが多いため、概ねライフと手札を守ることができる。

②ノーブロックし、《群青へ沈む》を追放する。残った3枚の攻撃アクションで攻勢に回る攻撃的なプラン。

③ノーブロックし、相手が《短刀の妙技》起動し、《傀儡・アラクニ》のヒーロー能力により+1点されて《黒麗の標的》が4点になってから、《群青へ沈む》をプレイ。相手に攻撃リアクションがあった場合は裏目となるが、攻撃リアクションがなかった場合最も効率の良い防御となる。

自分と相手のライフ状況に応じて上記の何れかを選択するのが理想的です。自分が押している場合は②、ライフが拮抗しており安定を取るなら①を選択する、自分の方が大きく押されてしまっている場合は③でリスクを取る、など状況に応じて防御を切り替えましょう。

《ドリンシア》

《ドリンシア》は戦士クラスらしく、装備する武器によりデッキタイプが大きく変わりますが、今回は《Dawnblade》を装備し、攻撃リアクションを多種採用するいわゆる「剣ドリンシア」と呼ばれるデッキについての話になります。《Ironsong Response》や《Singing Steelblade》など、「Reprise」という能力を持った攻撃リアクションが特色です。相手が手札からカードを防御に使用していると強化される、という特徴を持ちます。

「剣ドリンシア」は武器《Dawnblade》による攻撃を2回通して+カウンターを置いていくことで勝利を目指すデッキです。反面、一度も攻撃が通らなければ育てた《Dawnblade》が最初から再出発になってしまうので、対「剣ドリンシア」相手は如何にして一度育ってしまった《Dawnblade》の攻撃を防ぎきるかが焦点になることが多いです。

例題:+カウンターが2つ乗り、攻撃値が5になった《Dawnblade》で攻撃されています。相手は青ピッチして浮きリソースは2、手札は3枚残っています。こちらの装備品は使用しておらず、格納庫に《群青へ沈む》があり、手札は《挑発》、《忠誠の儀》、《忠誠の誓い》、《永年の忠誠》。

考え方:このような場合、装備品全てと格納庫からの《群青へ沈む》を使用して装備品全てを防御に出して7点+防御リアクションの4点=11点で防御するのが正解になりやすいです。考え方としては、「Reprise」のカード群をケアしながら最大の防御値で防ぐ、という考え方ですね。ただ、裏目としては大きく2つあります。それが以下です。

①《Puncture》や《旋風の刃》など「Reprise」の関係ない攻撃リアクションにより攻撃を通されてしまう

②続行付与手段+《Twinning Blade》により、ヒットしていなくても2回目の攻撃が可能になるパターン

①については「Reprise」が無関係に修正が入る攻撃リアクションが1枚で攻撃が通ってしまうことのないようケアするのが重要です。例の場合、5点に対して11点で防いでいるので、《Puncture》が2枚使用されない限りは大丈夫なので結構安全です。

②については、相手もこのためにカードを2枚以上とリソースを使用するので、《Twinign Blade》により発生する2回目の攻撃を防ぐ余力を残しておくのが大切です。例の場合、手札は4枚残っているので、2回目の攻撃を手札全てを差し出して防いでも良いでしょう。

また、《Dawnblade》の攻撃に対して、手札全てを出して全力で止めたら良いのでは?という風に見える状況もありますが、手札から防御を出して「Reprise」を達成してしまうと、《Singing Steelblade》から《Twinign Blade》をサーチされてしまうリスクがあります。

特に、予め《Dawnblade》に続行が付いている場合、リスクが高いので注意しましょう。《Singing Steelblade》や《Twinning Blade》がピッチされたり墓地に行っている場合、②のリスクが減るのでグッと防御が楽になります。

《ファング》

《ファング》は武器《黒曜の炎脈》を装備し、その短剣の攻撃中に「竜系」のカードをプレイすることで《黒曜の炎脈》を強化する戦術を得意としています。覚えておきたい点として「竜系」リアクションは一部の例外を除いて「0コストなら+2点」「1コストなら+3点」という査定になっています。

そのため、《ファング》の浮きリソースがない状況かつ、竜系リアクションがプレイされるであろう状況での《黒曜の炎脈》は「武器の素点1点+竜系リアクション2点+武器の効果で1点=4点続行」として考えてOKです。ただ、《狩りの終焉》で6点続行になるパターン、《忠義》トークン起動+《瘢痕》で5点続行になるパターン、《竜の牙》で2点続行になりつつ次の竜系攻撃を強化するパターンなどがあるので、注意しましょう。

《ファング》が2回以上攻撃してきそうな際は1回目の攻撃は《竜の牙》をケアして過剰な防御はせず、2回目の攻撃を防御するのがオススメです。

また、《ファング》は「忠義」トークンが3つ以上になることで強力になるヒーローです。その点を踏まえ、「終盤の攻撃を防ぐこと」よりも「序盤の標的を付与する攻撃や、標的状態での攻撃」を防ぐ方が価値があります。自分が「標的」状態で《ファング》が「忠義」トークンを2個コントロールしているような状況では、装備品を過剰に出してでも《ファング》の攻撃を防ぐ価値があります。

例題:あなたは前の《ファング》のターンに「標的」にされています。《ファング》のターン、赤いカードをピッチして《黒曜の炎脈》で攻撃してきました。《ファング》の残りの手札は2枚です。

考え方:このような場合、《ファング》は忠義を維持するため最低限1枚は「竜系」のカードをプレイする必要があります。よって、《ファング》のリアクションのパターンは以下4つのいずれかと分析できます。

①「手札の1コストの竜系リアクションをプレイする」
②「手札の0コストの竜系リアクションを2枚プレイする」
③「忠義を起動して非竜系リアクションをプレイする」
④「何も使用せず忠義トークンは破壊される」
④になればどちらにせよ勝利できそうなので、いったん考慮からはずし、この場合濃厚なのは①と②でしょう。一番大きな攻撃値になるのは②のパターンで、その場合の《黒曜の炎脈》の攻撃力は6点になる可能性が高いです。

よって、このターンは6点で防御するのがオススメです。所謂オーバーブロックであり、こちらの防御を見てから《ファング》側のプレイヤーは攻撃リアクションを無駄使いせずに格納庫に残せるため、一見カードを無駄に防御に使用してしまっているように見えますが、相手は忠義を維持するために最低限カード1枚は使わざるを得ず、かつ「忠義」トークンが2個のままで終わるという点が大きいです。「忠義」が3にならなければ、《黒曜の炎脈》での攻撃にリソースが必要となり、《ファング》の強力なターンが減りますからね。 

以上です。

長くなりましたが、お読み頂きありがとうございます。


Hiroyuki Tansei/どくいろ @fab_dokuiro
お気に入りヒーロー:《Lexi》,《Fai》,《Kayo》
お気に入りカード:《Art of War》
ホームショップ:TableGameCafe’Shuffle、TCG Shop Go Again
史上初の日本選手権で優勝。CallingTokyoTop8。CallingKobeTop4。日本屈指の強豪プレイヤー。手数、打点を読む洞察力が強み。アグロデッキが得意。

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