【FaBデッキリスト分析録】#7 ProTour London Top8《エニグマ》、《アウローラ》、《Prism, Awakener of Sol》

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概要

このシリーズは大会で結果を出したリストを取り上げて、各カードの採用理由や、ヒーローの勝因を推理・考察するシリーズです!このシリーズを読んでいるだけで、「基礎的なカードの使い方」から「環境に合わせて採用すべきカード」や「ヒーローの選び方」が培われていくはず!という企画になります。
今回は「混転の餌食」シーズン 2025年2月-6月のリストになります。

本文

GoAgainMedia攻略記事担当のdokuiroことTansei Hiroyukiです。
今回取り上げるデッキは2025年4月11日~13日にかけて開催されたProTour LondonでTop8に輝いた《エニグマ》、《アウローラ》、《Prism, Awakener of Sol》の3種のヒーロー!

今回はダイジェスト的にtop8リストのそれぞれ特徴的なカードや戦略を分析していきます。
ProTour Londonの詳細・結果のまとめについてはこちら。世界選手権と並ぶ、FaB競技シーンの頂点に位置する競技イベントです。メタゲームは以下のようになりました。《アウローラ》、《エニグマ》を2トップとする環境ですね。

top8は《エニグマ》2人、《プリズム》3人、《アウローラ》3人と3種のヒーローで構成されました。

3ヒーローの環境での立ち位置、相性なども踏まえながら、リストの中でユニークな点や戦略を解説していきたいと思います。

《祖先の記録者、エニグマ》について

Protour Londonにて、《エニグマ》は今回1位と2位となり、見事ワンツーフィニッシュとなりました。まずは優勝したPablo選手と、準優勝となったMaxx選手のリストを比較してみましょう。

Pablo選手:Fabraryリンク

Max選手:Fabraryリンク

両者のリスト比較ページ:Fabraryリンク

両者とも基本的な設計は共通しており、どちらも《一万年の再結集》と《熟練魔導士のブーツ》を採用しており、《一万年の再結集》に続行を付与して10点で攻撃するコンボを狙うことができます。

腕装備《静穏の仕草》でいつでも《霊気の盾》トークンが出せるようになったため、格段にプレイしやすくなった《星霊の食刻》は《霊気の盾》を強化しても良し、《ミラガイの顕現》に+1カウンターを3つのせることで「結界」を実質6上げるも良し、置いた+1カウンターを取り除いて《一万年の再結集》を出しても良し、色々なコンボに繋がるカードです。これらも両者採用。

「結界」オーラを守るのにも、《アウローラ》の攻撃やヒット時効果を防ぐのにも役立つ0コスト4点の防御リアクション、《群青へ沈む》《予見された宿命》《嵐からの避難》は両者3×3で9枚採用。

それに加えて《それで終わりか?》を両者3枚採用しているのはこの環境を物語っています。《アウローラ》や《ゼン》の武器への対策として有力な対策カードをしっかり採用ということですね。PT放送においてもよく《アウローラ》の《スターフォール》に対して《それで終わりか?》がプレイされ、2点を防ぎながら1ドローし、リードを得る展開が発生しました。

ではここからは個別にリストの特徴的な点をピックアップしていきます。

【Pablo Pintor選手の《エニグマ》について】

Pablo選手のリストで特筆すべきは最近減少傾向にあった《満ちる悪霊》が3枚採用されている点。

《アウローラ》などのアグロには防御値がなく、相手のヒット時効果からプレイしても返しに破壊されやすく、維持できないため4点攻撃→3点軽減で2枚で7点のバリューになるだけ、といった理由で減少傾向にありましたが、《エニグマ》ミラーや《フローリアン》には「結界」オーラがあるほど有利になりやすいので、それらのマッチを警戒しての採用でしょう。

他、青いカードのチョイスは《一時停戦》は1枚と控えめの採用。代わりに《気の教義の二:風》を2枚採用しています。《ヌゥ》に弱いカードなので、サイドアウトするなどの工夫が求められますが、《気の教義の二:風》で5点の攻撃をし、超越→《エニグマ》の能力で+1カウンターが乗った《霊気の盾》を作成して《霊気の盾》で2点攻撃、と動くことで合計7点のダメージを出しながら超越することができます。《一時停戦》よりは《気の教義の二:風》の方が《エニグマ》ミラーにおいて強いため、《満ちる悪霊》も込みで《エニグマ》ミラーを意識していそうですね。

【Maxx Dieckmann選手の《エニグマ》について】

Maxx選手のリストで特筆すべきは《祖先の核心:体》による《アウローラ》意識でしょう。

《アウローラ》はデッキ内の内40枚近くが赤いカードで占められており、赤い0コスト4点を連打するデッキです。そんな相手には《祖先の核心:体》をプレイしておくと、結界2により2点軽減、その後次の4点を全て軽減することができるため、シンプルに1枚で6点分のバリューを稼ぎます。更に、《燃焼/ショック》や《稲妻峡谷の導き》など、ヒット時にアクティブになる効果があるターンの攻撃を全てシャットアウトするのが格段に楽になります。

一般的に、《エニグマ》は《アウローラ》のようなアグロデッキに不利とされてきましたが、上記《それで終わりか?》や《祖先の核心:体》のような対策に加えて、「混転の餌食」の新戦力《屈性回避》により、アグロの猛攻を凌いで殴り勝つ試合展開が増えました。今回の優勝の一因ですね。

《流星のアウローラ》について

《アウローラ》はProtour:London最多使用ヒーローで、まさに環境を代表するアグロデッキです。top8にも3名残留。最多ヒーローの貫禄を見せつけました。それではその3名のリストに目を通してみましょう。

Paul 選手:Fabraryリンク

Shawn 選手: Fabraryリンク

Michael 選手:Fabraryリンク

Michael選手とShawn選手は一緒に調整したのでしょう、80枚同じリストを使用しています。

よって、2種のリスト比較はこちら

3名に共通して言えることは頭装備《煉獄の相貌》を採用している点。《アウローラ》では元々非攻撃アクションが少ないため基本的に採用されてきませんでしたが、「アーモリーデッキ:アウローラ」の発売により《天空のセレナーデ》《星詠み》と2種の構築級の「稲妻」非攻撃アクションが増えて、採用可能になりました。

この先は個別にリストを見ていきます。

【Michael選手&Shawn選手の《アウローラ》】

こちらは、サイドボードに《揺らめく燐火》や《支配の王冠》、《エーテルの鉄織物》のコンボ用装備品2種を採用しており、サイドにコンボパッケージを備えたタイプのアウローラです。

また、《煉獄の相貌》の防御時効果を満たせる非攻撃アクションである点を重視して、《爆ぜり》を採用しているのも特筆すべき点です。無条件で続行を持つ「稲妻」であり、強化効果は武器《スターフォール》にも乗る為、安定して「稲妻」をプレイしながら、《スターフォール》を強化することで《それで終わりか?》も回避することが可能です。

また、面白い点は《電磁回転》が2枚に抑えられている点です。

攻撃に使えば4点続行を回収し、守りに使えば実質1枚で5-6点防御が可能と、多くの状況で1枚5点以上になる強力なインスタントで、《アウローラ》に3枚採用され続けてきたカードです。
が、反面、非攻撃アクションとインスタントばかり引いてしまうと強く使えないリスクのあるカードでした。このリストは《爆ぜり》や《星詠み》、《揺らめく燐火》など「非攻撃アクション」が多いリストなので、《電磁回転》が3枚だと事故率が高いという判断でしょう。

【Paul 選手の《アウローラ》】

Paul選手の《アウローラ》はまさかの《金魚草の登攀者》不採用のリスト。つまり足装備はどの相手にも《稲妻の脛当て》で行くということですね。

従来の《アウローラ》では足装備は以下のような使い分けをしていました。
《金魚草の登攀者》:防御的な相手、秘術防壁が不要な相手に装備。事故防止にもなるため、多くの対面で装備する
《稲妻の脛当て》:秘術防壁1が欲しい時、《光速移動》のコンボを狙いたい時、《アザレア》などヒット時能力が強力な相手に装備する

多くの対面では《金魚草の登攀者》を装備することが多かったですが、こちらのリストは《癒しの印》3枚採用などから分かるように、《光速移動》コンボを重視していることが分かります。どんな相手にも《稲妻の脛当て》起動から《光速移動》+インスタントによるコンボをするぜ!という意志が伝わってくるリストですね。

他、《Dawn and Dirty》3枚が目を引きます。こちらは《エニグマ》と《Prism》相手へのポッパー(パワー6以上の攻撃アクション=幻影/Phantasm対策)としての採用です。
《Dawn and Dirty》は他のポッパーと異なり、格納庫から防御に出せるため、《スナッチ》や《啓示の一撃》の1ドローで引いても、格納庫に置けるのが取り回しヨシ。特に《エニグマ》が使用する《Phantasmaclasm》は手札のポッパーをボトムに送ることが可能なため、サイドインしたポッパーを回避されてしまいがちなのですが、《Dawn and Dirty》は格納庫から防御に出せるため、対抗策として有効です。

《Prism》について

《Prism》は使用者14名にもかかわらずtop8に3名と大活躍の結果を残しました。《アウローラ》はポッパーが基本的になく、装備品での防御を使い切った後は「Herald」系攻撃アクションが通りやすいため、好相性です。反面、《エニグマ》や《フローリアン》など防御的なヒーローにはなかなか「Herald」系攻撃アクションが通らず、苦戦を強いられやすくなっています。

Andrew選手:Fabraryリンク

Kevin選手:Fabraryリンク

Léo選手:Fabraryリンク

リスト比較はこちら

《Prism》は「Herald」系攻撃アクションと、Figmentを採用せざるを得ない関係上、大きく構築が変わることはありません。基本的な構造は変わりませんが、オーラの採用枚数や装備品に細かな差異はあります。《それで終わりか?》は黄色いため、《Luminaris,Angel’s Glow》の黄色ピッチ要求の効果を満たしつつ、《アウローラ》の《スターフォール》に刺さるため、3名とも採用していますね。

【Andrew選手の《Prism》】

この環境の《Prsim》は《アウローラ》に勝つために、オーラの採用枚数を絞り、「Herald」系攻撃アクションと、それをバフする《Angelic Wrath》などを主軸にしています。

《Soul Shield》は2枚で6点の防御リアクションになりつつ、ソウルも貯めることができる超優秀な防御リアクションなので、基本的に3枚採用されてきましたが、この環境では《アウローラ》にあまり強くないため、2枚に抑えられています。

Andrew選手のリストは既存の《Prsim》のオーソドックスな部分を残しつつ、この環境に合わせて調整した意図を感じます。

【Kevin選手の《Prism》】

Kevin選手のリストはAndrew選手に近い構造をしており、微調整バージョンといった形。《Herald of Ravages》を1枚取っているのは面白い点です。

最大枚数採用している《Herald of Protection》、《Herald of Triumph》、《Wartune Herald》に加えて、赤い7点の「Herald」がもう1枚欲しい、となり採用した形なのでしょう。

【Léo選手の《Prism》】

Léo選手のリストは3名の《Prism》の中で最も異彩を放っています。《嵐からの避難》と《祖先の核心:体》の2種を3枚ずつ採用して、《アウローラ》をがっちり意識。

その結果、《Genesis》不採用、《Parable of Humility》不採用、《過ぎ去る蜃気楼》不採用などオーラを減らしています。これらは《アウローラ》相手にはあまりプレイする余裕がなく、かつ防御値がない/低いため、《スナッチ》などが通りやすくなってしまう等のデメリットがある為、思い切ってカットしたのでしょう。

ただ、《フローリアン》や守護者クラス等の、防御的でなかなか「Herald」攻撃アクションが通らない相手には《Genesis》など、攻撃に関係なくソウルを貯める手段や、《過ぎ去る蜃気楼》のような幻影を外す手段が欲しくなるので、メタを大胆に読み切った構築です。

まとめ

・《エニグマ》、《Prism》両者ともに強く《アウローラ》を意識している点が感じられるリスト

・《アウローラ》は《煉獄の相貌》を採用し、《揺らめく燐火》か《光速移動》どちらかのコンボに寄せたリストが成果を出した

・《アウローラ》LLまではこれらのように《アウローラ》を意識したリストが結果を出しそう

以上です!お読み頂きありがとうございます。

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