目次
概要
このシリーズは「このヒーローを始めてみたい!」という時に抑えておきたい知識、カード、購入の優先順位、サンプルリストを案内する記事です。既にFaBを始めているが、このヒーローのことは良く知らないという方や、初めてFlesh&BloodやCCフォーマットを始める方に向けた記事になります。
ヒーロー紹介
今回のヒーローは《緋色の復讐者、アイラ》!
殆どのヒーローとバランス良く戦える安定した忍者クラスのミッドレンジヒーローです。
同能力の若者バージョンである《真紅の霞、アイラ》は初心者用の「ティーチングデッキ」で使用するヒーローであり、初めて使ったヒーローは《アイラ》であるFaBプレイヤーも多いのではないでしょうか。
ヒーロー能力は初心者でも理解しやすい「2回目の攻撃を+1点する」というシンプルな能力。ですが、達成するのが簡単な条件で毎ターン1点得する、という性質は分かりやすく強力です。《アイラ》は実際にその強力さから、BlitzフォーマットではLL(=殿堂入り)し使用禁止に、CCフォーマットでも競技イベントでよくTop8入りする存在感を発揮しています。若者バージョンは昔から居ましたが、大人版は2024年11月から使用可能になったヒーローなので、CCにおけるLLポイントはまだまだ溜まっておらず、末永く使うことができるのも嬉しい。
忍者クラスについて
《アイラ》のクラスは「忍者」であり、数あるクラスの中でも最も「続行」を持ったカードによる連続攻撃を得意としています。また、「コンボ」というキーワード能力を持つ攻撃アクションも多数あり、「直前に特定の攻撃をしていること」を条件に、強化される攻撃アクションになります。
例えば《重旋風の継承者》は基本性能は1コスト3点続行ですが、《疾風斬》をプレイした次にプレイすることで「コンボ」を満たし、0コスト5点続行と性能が向上します。
「続行」を持つ攻撃アクションは基本的に防御値2に設定されており、標準の防御値である3より1低いです。その為、忍者は基本的に「連続攻撃は得意だが相手の攻撃を防ぐのは苦手」という攻撃的、前のめりな性質を持ちます。
《アイラ》の基本的な戦い方について
さて、忍者は攻撃的なクラス、と説明しましたが、《アイラ》は攻守のバランスが良いヒーローです。攻撃的な戦略も防御的な戦略も可能で、相手によって切り替えることが可能な点が強みです。
《アイラ》は能力の性質上、ターンごとに1点得していきます。なので、基本的にターンが長く続くほど有利になりやすく、中~長期戦、具体的には10ターン以上かかるゲームを得意としています。
続いて、《アイラ》の具体的な戦略を語る上で避けれない装備品について説明していきます。
まずは武器《調和の小太刀》。
「0コストのカードが自分のピッチゾーンにあること」という非常に緩い条件で続行が付く優秀な武器です。片手武器なので、《アイラ》は基本的に《調和の小太刀》を2本装備して戦います。青い0コストのカードをピッチして《調和の小太刀》1点→《調和の小太刀》アイラの能力で強化されて2点→1コスト5点の攻撃アクション、というプレイをすれば、手札2枚で8点のダメージが出せるため《アイラ》の優秀さが活かせます。
次に頭装備《機運の仮面》。
少し複雑なテキストですが、要は攻撃アクションのヒット時に以下3つの条件を満たしていれば、1ドローできる、という効果です。
①3回以上連続でヒットしている
②3つ目以上のチェインリンクである
③このターンまだ《機運の仮面》の能力でドローしていない
つまり《調和の小太刀》→《調和の小太刀》と攻撃して、2回ともヒットした後に攻撃アクションで攻撃すれば、その攻撃アクションに「ヒットしたら1枚ドローする」という追加の効果が付きます。
これにより、相手は3回目の攻撃アクションか、途中の《調和の小太刀》などのこまごまとした攻撃を防がなければ損をするようになる、というのがこの頭装備の強みです。3回目の攻撃を防がれたとしても、また3回以上攻撃をヒットさせれば《機運の仮面》による1ドローが狙えるので、6連続の攻撃などチェインリンクを非常に伸ばす連続攻撃にも大きな意味が生まれてきます。
《アイラ》の実戦的なテクニック
上記の装備品を踏まえて、《アイラ》の能力は漠然と使うのではなく、2種の強い使い方があります。
テクニック1.《アイラ》の能力を《機運の仮面》を活かすために使う
《獰猛な獣脚》などの効果で作成した《臥虎》トークンを《アイラ》の能力で強化し、1点の攻撃アクションにすることでヒット数を稼ぐのは分かりやすい例ですね。他、《後ろ回し蹴り》のような4点続行を5点続行にすることで《群青へ沈む》等の4点防御リアクション1枚ではヒットを防げなくする、といった使い方も実戦的です。
テクニック2.《アイラ》の能力でヒット時効果を持つ攻撃を7点にして防ぎづらくする
こちらはシンプルな《アイラ》の運用方法で、《アイラ》の強みとして有名です。2コストで6点のヒット時に効果を持つ攻撃アクションは《征服の命令》、《顔面消去》、《最も脆い所》など多数あり、それぞれ環境に合わせて多くのヒーローで使用されています。
これら2コスト6点の攻撃は、防御値3のカード2枚で防御可能です。しかし、《アイラ》の場合0コストの青いカードをピッチして《調和の小太刀》1点→《征服の命令》とプレイすることで7点の《征服の命令》を作ることができ、「防御値3のカード2枚では防げない攻撃」にできます。これにより相手の装備品の防御値を削ったり、諦めて受けざるを得ない状況を作りやすいのが《アイラ》の強みの一つです。この1/4/7点の止めづらい攻撃を俗に「ブレイクポイント」と呼びます。(詳細はこちら)《アイラ》はブレイクポイントの申し子です。
《アイラ》のリストは「汎用」クラスのカードが多く採用される傾向にありますが、それは《アイラ》の強化能力により誰よりも上手く「汎用」クラスのカードを強く使えるからなんですね。
続いて、サンプルリストを挙げて具体的にカードの役割や採用意図を説明していきます。それぞれ値段別に3種サンプルを紹介するので、初心者の方は1つ目のリストから強化していくのをおススメします。
リスト紹介1.安価構築リスト
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L装備や高額Mレアを非採用としたリストです。ですが、《アイラ》の基礎的な強みは出る構築なので、Armoryなら十分3-0が狙えるリストになっていると思います。《アイラ》、ヒーローが強いんですよ。
主要なカードを何枚か解説します。
装備品について
足装備《獰猛な獣脚》は競技的なイベントでも使用される優秀な足装備で、《臥虎》トークンを作成できます。腕装備・胴装備もそれぞれ《臥虎》トークンに関連している戦傷1を持つ装備で、腕装備《Tearing Shuko》は次の《臥虎》トークンを+2点し、胴装備《Blood Scent》は《臥虎》で攻撃しているターンにのみ、この装備を破壊して1リソース出すことができます。《臥虎》トークンを強く使う方法はいくつかあるので、後程ご紹介します。
頭装備、《Mask of the Pouncing Lynx》は、自分の攻撃アクションがヒットした時、この装備を破壊することで、デッキから基礎攻撃値が2以下の攻撃アクションをサーチして追放し、このターンその追放したカードをプレイ可能にします。攻撃値2以下だけど、条件を満たすと強化される攻撃アクションと相性が良く、このリストでは《傷口に塩》が該当します。攻撃が複数回ヒットしているターンにこの頭装備を破壊して、《傷口に塩》をサーチして最後のプレイする動きが強力です。
1コスト5点の攻撃アクション
青ピッチして、《調和の小太刀》1点→《調和の小太刀》2点→1コスト5点の続行を持たない攻撃、で綺麗にリソースを使い切りながら、手札2枚で合計8点の攻撃ができるため、《アイラ》と1コスト5点の攻撃は相性が良いです。このリストでは以下の3種を採用しています。
《速度の奔流》はヒット時に続行を得るため、手札がダブついている時にも攻撃的に使えたり、ヒットすればそのまま0コストの攻撃アクションを続ける、防がれたら格納庫に置いてエンドというプレイができます。《Take the Tempo》は疑似的な《機運の仮面》のような効果で、ヒット時に、戦闘チェインで3回以上攻撃がヒットしていれば、自分のデッキトップを追放して、そのカードが攻撃アクションなら次のターン終了時までプレイ可能にする疑似的な1ドローをしてくれます。《叩き壊し》はヒット時に相手の格納庫の攻撃アクションカードを追放できます。攻撃アクションカードをあまり採用していないヒーロー相手にはサイドアウトしましょう。
《争い探し》
基本スペックは1コスト4点と貧弱ですが、墓地の攻撃値1のカードを追放することで、1コスト5点続行になるカードです。手札を複数枚使って攻撃していく際に強力です。このカードのコストにするため、青いカードは「攻撃値1」のカードを採用しているので、青いカードを防御に使用して墓地に落としておきましょう。
《飛び蹴り》
チェインリンク3以上でプレイされていた場合、2コスト7点とコスパが良くなる攻撃アクションです。このカード自体もカウントするので、攻撃→攻撃→《飛び蹴り》で7点になります。青ピッチして《調和の小太刀》→0コスト続行の攻撃アクション→《飛び蹴り》などが理想的ですね。0コスト続行の攻撃アクションがない時は、足装備《獰猛な獣脚》から作成する《臥虎》トークンを使用してチェインリンクを伸ばすのも選択肢になります。
サイドカード
メインデッキを54枚で組み、サイドの《宙返り》と《群青へ沈む》の防御リアクション6枚と、攻撃的なカード《刀閃の反射》2枚、《傷には傷を》3枚、《Leg Tap》1枚を入れ替える構築にしています。
基本的には《宙返り》と《群青へ沈む》を入れた防御的な構築で良いですが、相手が《ケイノ》など全て秘術ダメージで構築されたようなデッキや、《ヴィセライ》のような攻撃してこないターンがある可能性があるヒーロー、《エニグマ》のような結界オーラを破壊しに行く必要があるヒーロー相手には攻撃的な3種のカードに入れ替えましょう。また、《宙返り》は防御値4点の防御リアクションかつ、次に防御に使用する「コンボ」のカードの防御値を+2点する非常に強力な防御リアクションです。バリューをフルに発揮できた時は1枚で6点分の仕事をしていることになります。このリストは《宙返り》を活かす為に青いカードを全て「コンボ」のカードにしています。
《軽風の針》
《軽風の針》は1コスト2点続行と非常にコスパの良い片手武器ですが、デメリットとして攻撃値より大きい防御値で防御されていた場合、破壊されてしまう能力を持ちます。通常の2点で攻撃した場合、防御値3のカードに防御されると破壊されてしまいます。なので、本来は少し使いづらい武器ですが、《アイラ》なら2回目の攻撃で《軽風の針》を使用するようにすれば相手が防御値4以上のカードで防御しない限り破壊されません。よって、防御リアクションを採用しないようなヒーロー相手に装備し、3点で攻撃していくためにサイドカードとして採用されています。
青いカードについて
《調和の小太刀》が0コストであることを要求し、《宙返り》がコンボであることを要求し、《争い探し》が攻撃値1であることを要求するため、青いカードはその3つの条件を満たすカードを採用しています。コンボは殆ど成立しないのでほぼテキストの無いカードという認識で大丈夫です。《飛びかかる氣》は《臥虎》と、《Rising Knee Thrust》は《Leg Tap》とコンボする、ということは覚えておくと得することがあります。
リスト紹介2.ちょっと強化リスト
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1のリストをベースに頭装備《機運の仮面》、《Double Strike》、《勇猛怒濤の氣》などの安めのMを買い足したリストになります。1から始めてちょっと強化したい!という方はこの辺から買い足すのがオススメ、くらいに思ってください。
《機運の仮面》を装備することで3回目の攻撃をめぐる駆け引きが相手と発生するようになります。
《Double Strike》
《Double Strike》はプレイの解決時に追放され、もう一回プレイできる攻撃アクションです。カード単体で見ると1点が2回で1枚が2点だけの弱いカードですが、このカードの強みは1枚で2回分のヒット数を稼げることです。《調和の小太刀》→《調和の小太刀》→《Double Strike》1回目で一度目の《機運の仮面》を狙え、その後《Double Strike》2回目と攻撃アクション2枚の使用で更に《機運の仮面》のドローのプレッシャーをかけることができます。
《勇猛怒濤の氣》
1コスト5点のチェインクローザー(戦闘チェインの最後にプレイする目的のカード)で、コンボ能力はあまり狙うことはありません。このカードの強みはコンボなので《宙返り》に対応している点です。《宙返り》に対応しているカードが増えることで、防御して強い状況が増えます。《アイラ》は同じ役割のカードを好みや環境に合わせて入れ替えることが可能で、こういった1コスト5点のカードを「コンボ」にすると防御力が上がります。
リスト紹介3.競技的なリスト
最終的なリストとして、競技イベントで実績のあるリストを紹介します。
Calling: Kuala LumpurにてGo Againオーナーの山村翔馬選手が使用し、top4に輝いた《アイラ》のリストがこちらになります。
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L装備である《フィエンダルの春のチュニック》、《虎模様の手甲》を装備。
胴装備《フィエンダルの春のチュニック》は手札3枚で防御した後に《フィエンダルの春のチュニック》から1リソースだして1コスト5点をプレイしたり、手札が全て赤い事故ターンの時の保険として活躍してくれます。
腕装備《虎模様の手甲》は能力は《Double Strike》をプレイする際や、《臥虎》と青いカードが絡んだりしたときくらいしか発揮しないので、1ゲームで能力を発揮するのは3-4回ほどです。防御値2の装備である点が大きいので、厄介なヒット効果持ち攻撃などが飛んできた際などは防御に使用しちゃいましょう。
2コストヒット時能力持ちカード
《征服の命令》《最も脆い所》《記憶喪失》《顔面消去》はそれぞれ2コスト6点で、《調和の小太刀》→これらで7点のヒット時能力を持った攻撃をする役割を持ちます。
《征服の命令》は全対面で有効です。
《最も脆い所》は《ゼン》《ヌゥ》《エニグマ》などの「超越」カードが入る神秘ヒーローや《アウローラ》といったインスタントが複数種入るヒーロー、《ダッシュ I/O》のようなアイテムが複数種入るヒーローなどに有効で、防御値3あるので有効ではない相手にも安定感があります。
《記憶喪失》は主に《ゼン》への対策カードで、サイドカードになります。
《顔面消去》は《ヴィセライ》や《ダッシュ I/O》、《アウローラ》など、タレントやクラスを参照することが多いヒーローに有効なカードですが、防御値2なのでサイドカードとして扱われ、有効な相手にだけサイドインします。
《啓示の一撃》
多くのヒーローに採用される、安定感をもたらしてくれるカードです。《アイラ》と格別相性が良い訳ではありませんが、主に以下の理由で採用されます。
①《アイラ》にありがちな4枚赤で強くない手札を、2枚で防御して7点で殴り返す動きを可能にしてくれる
②相手が攻撃してこず、手札が余った状況で、手札の防御リアクションや不要な青いカードなどを戻しながら続行モードにより攻撃札に変換してくれる
《Censor》
《Censor》はヒット時にカード名を一つ指定し、その名前のカードのプレイを次のターン禁じる効果を持ちます。相手視点では「一番言われたら嫌なカード」がよぎるので、防ぎたくなる攻撃で、防御を強要することで相手の反撃を弱めやすいです。ヒットした際は《虚弱症の魔本》、《Bloodrush Bellow》のような強力なカードや、《Bolt’n’ Shot》のような赤黄青と採用されたりするカードを指定するのがオススメです。
《戦争屋の外交術》
青の防御値3で0コストなので《調和の小太刀》と相性が良く、かつ複数のヒーローへの対策になるカードです。《ヴィセライ》《アザレア》《ダッシュ I/O》など非攻撃アクションと攻撃アクションを組み合わせることで強いターンを作るヒーローへの対策になります。
《汚染された井戸》
こちらも青の0コストなので《調和の小太刀》の邪魔をせず、CYBこと《祝福への感謝》への対策になります。
おまけ-主観による高額カードの購入優先順位-
個人の主観による購入優先順位です。
L装備は《機運の仮面》>《フィエンダルの春のチュニック》>《虎模様の手甲》。
Mレアは《征服の命令》>《啓示の一撃》>《最も脆い所》>《Consor》>《戦争屋の外交術》。
最終系の《アイラ》なかなかお値段するな…と思われるかもしれませんが、《フィエンダルの春のチュニック》、《征服の命令》、《啓示の一撃》、《最も脆い所》、《戦争屋の外交術》辺りは持っていると他のヒーローのデッキを組む際にとても役に立つカード達なので、FaBを楽しみ尽くすなら最終的には安く付きます。逆に、これらの汎用カードを持っている方なら《アイラ》はお手頃価格で組めますね。
まとめ
・《アイラ》は攻防バランスが良いミッドレンジヒーロー
・2回目の攻撃強化で7点ヒット時能力を強化する動きが強力
・《機運の仮面》とは相性ばっちり!相手に防御を強要しよう
・汎用クラスのカード多数と相性が良いため、拡張性が非常に高いヒーロー
以上です。お読み頂きありがとうございます。
Hiroyuki Tansei/どくいろ @fab_dokuiro
お気に入りヒーロー:《Lexi》,《Fai》,《Kayo》
お気に入りカード:《Art of War》
ホームショップ:TableGameCafe’Shuffle、TCG Shop Go Again
史上初の日本選手権で優勝。CallingTokyoTop8。日本屈指の強豪プレイヤー。手数、打点を読む洞察力が強み。アグロデッキが得意。
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