Zenは何故強いのか?Zenの強さを考察・分析

0

8月28日、Zenに関する分析がNathan Crawford氏によりXに投稿され、話題になりました。

内容を要約すると以下。

1.ZenはCCでLLポイントを590ポイント稼いでいる。Part the Mistvailがリリースしてから3か月でこの稼ぎ方であり、PTでの優勝といった一気にLLポイントを稼ぐ機会もなくこれだけのポイントを稼いでいる。

2.黄、青の《Bodns of Ancestry》が禁止されて以降のTier3以上の大会で使用された割合(=当該大会内でのメタゲームブレイクダウンにおいてZenが占めた割合)とTop8入賞率を比較したところ、Zenは使用された割合に対して2倍のTop8入賞率を誇っていた。つまり、100人参加の大会にZenが2割=20名分いたとしたら、Top8にZenが占める割合は4割=3名分となっていることになる。

3.この使用率に対する2倍のTop8入賞率という数値は果たして高いと言えるのか?それを調べるために、Zen同様に一時代を築いたヒーローであるKayoおよびLexiに対しても同様のデータをとってみた。

4.使用率対Top8入賞率の割合がZenの場合は103.13%という数値であった。Kayoの場合は34.92%となり、Lexiの場合は66.53%となった。つまり、ZenはKayoやLexiよりも高いTop8入賞率を持っている。

5.LSS(FaBの開発・運営企業)はZenの強さを認めており、解決策に取り組んでいる。その変化がどのように訪れるかを待ちきれません。

この投稿をきっかけに、世界各地のFaBプレイヤーがZenに対してどのような施策がとられるか、追加のカードの禁止案、ヒーローのナーフ案などが投稿されました。

このように、LLポイントを見ても、統計を見ても圧倒的な戦績を残しているZen。その活躍はCCにとどまらず、BlitzやLLフォーマットでも大活躍中です。今回は何故Zenが強いのかを考察する記事となります。

1.ビッグターンの出力の高さ

ビッグターンとは準備をした上で作りあげられる、合計打点がとても大きいターンのことです。まずはこれでしょう。Zenといえば1ターンで出せる圧倒的な合計打点。ビッグターンの例を見てみましょう。

①アーセナルに《Art of War》を置いてターンエンドして以下のような手札をドロー

②相手ターンに相手の攻撃に対して足装備《報復の闊歩》を出して、手札に《臥虎》を作成。

③返しに《Art of War》をプレイして「このターンの攻撃アクション℗+1」「手札から攻撃アクションを1枚追放し2枚ドロー」を選ぶ。《臥虎》を追放。

④2枚ドローで《Spinning Wheel Kick》と《Tiger Swipe》をドロー

⑤青《Descendent Gustwave》プレイ、《先祖への敬意》をプレイして超越し、Zen能力起動、《Bonds of Ancestry》サーチしてプレイ、《Bonds of Ancestry》プレイから墓地の《虎の相:体》をプレイまで

⑤以下省略

2点、5点、4点、2点、5点、5点、4点、5点で合計33点出たターンになります。

このように頭装備《宇宙の横断》及び足装備《報復の闊歩》で手札が増えること、それにより1ターンの出力が掛け算のように上がることがZen最大の強みにして、ここまでの勝率に結びついている理由となります。

2.ビッグターンの再現性の高さ

ビッグターンだけで言えばZenほどの出力は出ないものの、Leviaの《Broodrush Bellow》ターンや、KatsuやFaiの《Art of War》ターン、Boltynの《Lumina Ascension》連打ターンなども1ターンに30点以上出せるようなターンはMST環境前からありました。

ですが、Zenがそれらより明確に秀でているのは再現性の面でしょう。Zenは、一度超越さえしてしまえば頭装備《宇宙の横断》での防御が《内なる気》をサーチでき、その《内なる気》がZenの能力により好きなコンボと《臥虎》に変換できます。上述したLeviaやKatsu、Boltynで30点ほどのダメージを出すのに必要な動きと比較することで分かりやすくなります。

Katsuでのビッグターンは

A:コンボの起点となる《Surging Strike》

B:そこから続くコンボである《Whelming Gustwave》《Descendent Gustwave》のどちらか

C:Katsuの能力で捨てて《Bonds of Ancestry》をサーチするのに使う0コストのカード

D:ピッチ用の青

の4種類のカードを揃えて充分強力なターンに繋がるものでした。更にAに当てはまるSurging Strikeは赤黄の2種類を最大枚数入れて6枚しかデッキにないカードになります。要求値としては6枚のカード+そこからつながるコンボ+Katsuの能力で捨てるカード+ピッチ用の青や黄色と別の要素がそれぞれ必要です。

Leviaでは3枚の《Broodrush Bellow》、Boltynでは3枚の《Lumina Ascension》+それをサーチできる3枚の《Beacon of Victory》の6枚と十分なソウルが絡まないとなかなかビッグターンにはなりません。また、Leviaの《Broodrush Bellow》やKatsuで使用する《Art of War》などは2枚ドローの内容などにも大きく左右されます。
対して、Zenは

A:《Art of War》もしくは《Ancestral Harmony》のどちらか

B:《Descendent Gustwave》か《Bonds of Ancestry》の強力なコンボカードの片割れ

C:青ピッチ

があれば頭防具《宇宙の横断》から足りない方のコンボをサーチして十分強力なターンができます。また、Aは6枚採用ですが、Bは合わせて8-9枚採用されています。

また、サブプランとしては《尻尾追い》or《虎の相:体》のどちらかがある時でも十分強力なターンを作ることができ、上述したヒーロー達より非常に再現性が高いことが分かります。つまりZenのビッグターンは要求値が低く再現性が高い、ということですね。

3.装備品が硬い

ビッグターンを作ることはライフレースで優位に立ったり、Fatigue戦略に強かったりといった利点がありますが、弱点もあります。それは、ビッグターンを作ることができる手札が来た上で、相手から《Command and Conquer》などの妨害効果を持つ攻撃アクションをプレイされてしまうと、装備だけで防ぐことができる状況でなければ手札のカードを防御に回さざるを得なく、ビッグターンに繋がらないことです。

KatsuやFaiなどは装備品の防御値が低いため、これらの弱点が顕著でした。

Katsuの装備パターン
Faiの装備パターン
Zenの装備パターン

KatsuやFaiがよく装備していた頭装備《Mask of the Pounding Lynx》は攻撃アクションヒット時に破壊することでサーチができる頭装備なので、なるべく防御には使用したくありません。

なのでKatsuが実質防御に使える装備は2点、Faiは4点でした。同じ忍者クラスのヒーロー達に比較してZenは装備品で7点まで防御可能で、更に頭装備と足装備は防御時に恩恵を与えてくれる能力を持っています。

これにより、《Command and Conquer》や《最も脆い所》《Amnesia》など本来対策になるカードが対策になりづらいという強みに繋がっています。これらに攻撃リアクションを併用できるNuuやUzuri、VictorなどがZenへの対策カードとして強力に運用できる状況となっています。

他、Zenの強みとしてはセットアップしたターン以外でも悪くない打点が出る点や、超越によるリソース獲得能力とそれによる出力の高さなどが挙げられますが、今回は上記3ポイントに絞って分析しました。

上記を踏まえて、Zenはどうすれば弱くなるのかを個人的に考察してみたいと思います。

4.Zenの調整を考える

LSSのこれまでの「強すぎるカードやヒーローへの対応」としては大きく3種あります。

1.使えるカードを規制することで対策する
(※9/4現在禁止改定通知が発表されました。この執筆はその以前のものになります。)

2.ヒーローの能力をエラッタする

3.LLするまで静観する

主に取られてきたのは1.の対策です。この規制の場合LegendaryやMajesticは余り規制対象にならず、コモンやレアが規制対象となることが多いです。前回行われた改定でも《Bodns of Ancestry》の黄と青が規制され、CCフォーマットで使用不可となりました。

少数ながら、2.の前例もあります。Brairはかつてヒーロー能力のエラッタを受けています。(リンクはこちら)

個人的には「2.ヒーローの能力をエラッタする」で予想しています。理由としては前回1.の施策を取っている点と、CCのみならずBlitz、LLフォーマットでもZenが猛威を振るっている点です。

1.の場合、足装備の《報復の闊歩》は規制すべきと考えています。手札に《臥虎》を作成する能力を好きなタイミングで防御に使用できるのは、《Art of War》とのシナジーが強すぎるため規制がマストです。ただ、この規制だけではZenは依然、ある程度の強さは維持するでしょう。追加で《虎の相:体》なども規制しても良いかもしれません。

2.の場合、Zenの能力を手札に《臥虎》を作成せず追放領域に《臥虎》を作成するようにして《Art of War》とのシナジーを無くす必要があります。更にサーチできるコンボを《臥虎》とテキスト内で指定しているコンボに限定するなど弱体化すべきでしょう。

Zenに対してどのような施策があるのか、ないのか、ロゼッタ以降のメタゲームはZenやNuuを玉座から降ろすことができるのか、今後も楽しみです。

以上です。お読み頂きありがとうございました。


Hiroyuki Tansei/どくいろ @fab_dokuiro
お気に入りヒーロー:《Lexi》,《Fai》,《Kayo》
お気に入りカード:《Art of War》
ホームショップ:TableGameCafe’Shuffle、TCG Shop Go Again
史上初の日本選手権で優勝。CallingTokyoTop8。日本屈指の強豪プレイヤー。手数、打点を読む洞察力が強み。アグロデッキが得意。

みんなのコメント

コメントはまだありません

コメントを残す

このサイトは reCAPTCHA と Google によって保護されていますプライバシーポリシー利用規約 申し込み。

The reCAPTCHA verification period has expired. Please reload the page.

「コメントを送信」ボタンを押すとガイドラインに完全に同意したものと見做されます。
規約に違反する書き込みは削除・編集が行われる可能性がございますので何卒ご了承ください。