はじめに
Pro TourはFlesh and Bloodにおいて最高峰のティアに位置する大会で年に2、3回開催されます。
フォーマットはドラフトとCCの混合フォーマットで、
DAY1 CC4ラウンド Draft3ラウンド
DAY2 Draft3ラウンド CC4ラウンド
DAY3 TOP8によるSE(CC)
優勝するには全17回戦を戦い抜く必要のある大きな大会です。
優勝者にはトロフィー、50,000$、使用したヒーローの箔押しフォイルカード(価値約2,000万円)が贈呈されます。
今回の地はオランダはアムステルダム!!時差は日本から7時間程度です。
初めての海外旅行、わくわくしていました。
使用するヒーローは、もちろん《Uzuri, Switchblade》。
水筒と電源変換機と着替えとデッキを持ってオランダに向かいます。
アムステルダム
関空→上海(2時間半)→アムステルダム(11時間)往復で13万ちょっとの旅費でした。
アムステルダムは夏にもかかわらず過ごしやすい気温(25度前後)で、日照時間がとても長いです。21時になっても日は落ちず、子供が公園で遊ぶ姿や、家の前のベンチに腰掛けて会話する夫婦も見えました。
街中にある芝に牛や馬が放牧されており、スーパーに買い物に行くたびに見ることができました。
働いている人たちは気さくな人が多く、会話前に必ず「ハロー」や「ハーイ」と挨拶する習慣がとても好きでした。
街中もキレイで、景色が良く犬をよく見かけました。電車の中でもふつうに乗っているので、移動中は窓から景色を見るか乗車している犬を見ていました。
物価は高く(というかユーロが高く円が安い)、お茶は700円するし、ただのパンケーキは3200円しました。
総合してアムステルダムという町はとても気に入りました!初めての海外がアムステルダムで良かったです。日本に帰ってきて数日、すでにアムステルダムが恋しいです。
天然なのかいわゆる時差ボケはまったく感じず、とても良いコンディションで本戦に向かえました。
DAY1
CC1
vs 目的を手懐ける者、ゼン/Zen, Tamer of Purpose ✖
お互いライフが1、相手の場にはZen Stateがある状況で、手札の《Isolate》、《Enlightened Strike》のペアで必ず1点通って勝ちと判断した結果、3点ブロックと1点ゲインの超越を打たれてリーサルを逃し椅子から転げ落ちて敗北しました。とても良い勝負でした!!
vs 目的を手懐ける者、ゼン/Zen, Tamer of Purpose 〇
立ち上がりから終盤までうまくゲームをコントロールできました。お相手が《Art of War》を引いたターンには《最も脆い所》をヒットさせたりとクリティカルな場面もあり勝利できました。
vs 武装した獣性、ケイヨ/Kayo, Armed and Dangerous 〇
ライフ5 vs 21の状況から大逆転しました!どんなにライフ差が開いても諦めずタフなプレイをすることが大切であることを再認識しました。
vs Azalea, Ace in the Hole 〇
サイドアウトしきれないたった1枚の《Spreading Plague》を先行に引けてラッキーでした。浮きリソース①で打った《Command and Conquer》に対し、お相手は手札から3枚でブロック。Poxを3枚出すことに成功しアドバンテージを得て、そのままライフレースを勝利しました。
3-1でDraftへ。
Draft1
ナショナルズではかなりオープンピック思考だったものを、東京勢の思考を聞いて、クラスの一番強いカードを積極的に取る思考に変更し挑戦しました。
1-1は運よく《ほんの切り傷/Just a Nick(Foil)》をピック。1-2は《継がれる伝統/Uphold Tradition》をピックして、NuuかEnigmaの両方受け入れる体制にしました。
Enigma進行の場合は、《ほんの切り傷/Just a Nick(Foil)》は忘れることにします。進めていると、1-4あたりで《肉体の欲望/Desires of Flesh(赤)》を見つけてNuuとなりました。最終的に、装備は寂しいものの、デッキ自体は期待以上のものとなりました。その卓は、Nuu 2、Zen 3、Enigma 3となりました。
vs Zen 〇
このくらいのデッキ強度なら、かなり安心できるマッチアップです。
後攻を選択しうまくゲームをコントロールしました。
vs Zen 〇
後攻を選択できましたが、後手1のプレッシャーが弱く先手後手がひっくり返りました。
タイトなライフレースとなりましたが、アーセナルに温存していた《ほんの切り傷/Just a Nick》が《欲望の技:心/Art of Desire: Mind》と組み合わさり、℗6点 + ゲイン2 + 2ドローのバリューを発揮し勝利しました。
vs Nuu 〇
相手に後手を選択されて先手スタートとなりました。Nuuミラーにおいて、先手時の打点はあまりプレッシャーにならないと思い、《風の使者/Emissary of Wind》などの打点にしかならないカードをサイドアウトし、《親密さの誘引/Intimate Inducement》やオンヒットのあるカードをすべてサイドインしました。(これが正しいのかはわかりませんが笑)
結果的に、《親密さの誘引/Intimate Inducement》によるトップ操作が功を制し、相手の手札が「D3点、超越、超越、気」のタイミングを作ることができてリーサルすることができました。とても難しい試合でした!
※最終相手と撮った写真、NuuのM何枚出てるねん笑
6-1でDAY1終了
DAY2
Draft2
序盤のパックが弱く、自分の番でぎりぎりピックできるカードがある形でした。下家のMichael Feng氏も悩んでいたと思います笑
1-5あたりで《肉体の欲望/Desires of Flesh(赤)》が流れてきて今回もNuuとなりました。
赤のレアカードである、《魅了の束縛/Bonds of Attraction》、《問題の拡大/Double Trouble》、《欲望の技:体/Art of Desire: Body》が流れてきて位置選択は正解でした。
最終的にフル装備のリアクションが複数ある形となり、2-1以上は望める出来となりました。
ただし、2ndピックの時に上家に《尻尾追い/Chase the Tail》と《歯と爪/Tooth and Claw》を流しているのが気がかりでした。
最終的に卓は、4 Enigma、2 Zen、2 Nuuとなりました。
vs Nuu 〇
対戦相手は強豪「Yuki Lee Bender」氏です。後手を選択されて先行スタート、初日のミラー戦と同じように《親密さの誘引/Intimate Inducement》をすべて投入しコントロール対決に持ち込みました。誘因で相手の強いオンヒットカードを追放することに成功し勝利できました。
vs Zen ×
対戦相手は世界2位の強豪中の強豪、「ポーラ」の愛称で親しまれているポーラ氏です。自分の上家だったため、先程流した《尻尾追い/Chase the Tail》や、《歯と爪/Tooth and Claw》を搭載していることは知っていました。
対戦前に、「君の強いカード知ってるよ!」というと、「僕も君のを知ってる!笑」と返されました。先ほど挙げた赤いレアカードはすべて上家から流れてきたものです笑
後手を選択できましたがプレッシャーが弱くタイトなライフレースとなりました。
《尻尾追い/Chase the Tail》を《親密さの誘引/Intimate Inducement》で追放することに成功しますが、《歯と爪/Tooth and Claw》(5点goagain)と《解き放たれた氣/Qi Unleashed》のビッグターンによりかなりダメージを負いました。
道中、ブロックの判断を間違えてアーセナルにカードを残せず、迎えた手札を弱く使うことになったのもあり負けてしまいました。反省です。
vs Enigma 〇
卓4Enigmaだったのもあり、強いポイントが少ないのはわかっていました。《親密さの誘引/Intimate Inducement》でそういったカードを追放しデッキ強度を下げてコントロールしました。最後は《徹底的な細断/Pick to Pieces》にリアクションを重ねて勝利しました。
CC2
vs 武装した獣性、ケイヨ/Kayo, Armed and Dangerous 〇(フィーチャー)
この試合はとても興味深い内容になっているので是非フィーチャーの内容を見て下さい。
《Savage Sash》
《骨の鋳造/Cast Bones》(フルヒット)の返しに、《Looking for a scrap》→(ダガー)→《Infect》→(脚起動)→《Command and Conquer》の流れをしていますが、もし《Infect》のタイミングでAA(2点)とApexでブロックされていた場合敗北していたでしょう。(私目線の話ですが)
どのような動きになるかわかりずらいのもUzuriの強みです。
vs 《Dash I/O》〇
お相手の先手《Spark of Genius》からゲームが始まりDash I/Oにとってはかなり理想的な始まり方でした。後手の手札が弱くてブロックしたかったのですがそれもかなわず、《Isolate》→(Uzuri起動)→《苦悶の束縛》→(《Flick Knives》起動)→(《Blacktek Whisperers》起動)の一連のプレイを行い無理やり《苦悶の束縛》をヒットさせてなんとか妨害。《Twin Drive》をデッキから無くすことには成功するが装備品を2個消費することに。その結果、返しのターンに《T-Bone》を連発され、後手2ターン目にして装備を全て失う展開に。しかし、ここからはUzuriの本領。少ないリソースでプレッシャーをかけ続け勝利することが出来ました。
vs 《誘惑の欲望、ヌゥ/Nuu, Alluring Desire》✖(フィーチャー)
中盤まで良いテンポで進んでいましたが、浮きリソース①と残りハンド1枚で《Surgical Extraction》を打たれたターンのブロックが難しかった。
手札は以下で、アーセナルには《Death Touch》。《Surgical Extraction》を追放されたくない思いから、《Surgical Extraction》を含むカードでブロックしたい。最終的に《Surgical Extraction》と《Codex of Frailty》でブロックし《刺激的な招き》によるバフをケアした上で、超越されても《infect》を追放するつもりが《擦れ音》を打たれて貫通。もちろん《Codex of Frailty》を抜かれて、もともと1枚追放されていた都合デッキから《Codex of Frailty》が無くなりバリュー差で負けてしまいました。思い返すと、ここはスルーして相手に選んでもらった方が良いと思いました。状況的には押し気味でリスクを取り過ぎました。
vs 目的を手懐ける者、ゼン/Zen, Tamer of Purpose 〇(フィーチャー)
トップ8を掛けた魂のバブルマッチ。お相手は「Brodie Spurlock」氏。現在PTI(高tierイベントに出場する権利)を27個所有する強豪中の強豪です。
試合前にデッキチェックがあり、その時間中にSpurlock氏から「ミニゲームしない?」と言われミニゲームをしていました。ゲームは「クー」。アクションを選んで勝利へと向かうゲームです。海外の大会に出る人はクーを学んでから行こう!!!笑 Amazonはこちら
そうこうしてる間にデッキチェックが終わり魂の1戦へ。ダイスには勝利し後手を選択。
開幕からプレッシャーを与えることに成功し、じりじりとライフは有利な状況へ。《惹きつける予後》→(Uzuri起動)→《Shake Down》→《Shred》のターンがクリティカルとなり大きなイニシアチブを得ました。そのまま最後は手札を最大限に使用して勝利しトップ8へと進みました。栄光のプロツアーサンデー!
TOP8
トップ8の模様は全戦1戦ずつ配信されます。配信はこちら
OF GAME 3 vs Shing Tsang, Hong Kong
スイスラウンドのドラフトで負けているポーラ氏です。前日にトップ8全員のリストが配布されるためポーラ氏のリストには目を通して、ライフゲイン、ディフェンスリアクションの枚数はチェックしていました。ポーラ氏からは「君のリストはとても素晴らしい。」と言われました。
1手1手に緊張感があり、1ミスが致命的になる難しいシーソーゲームでした。特に後悔するところはない良いプレイが出来たと思います。一つ、このシーンではミスをしています。《徹底的な細断》をプレイされたときに、オンヒットが無いことに安心しブロックが疎かになってしまい無駄にライフを減らしてしまいました。
Nuuは終盤”気”を引くのでブロックが難しくなります。《Death Touch》と《Shred》で無理やりライフを押し込んで、最後はアーセナルに温めておいた《Just a Nick》が《徹底的な細断》と引っ付いてリーサルとなりました。
この試合を体験し、また見返すことでFlesh and Bloodがより一層上手くなったと思います。ポーラ氏とはまた是非大きな舞台で戦いたいです。
補足
「《魅了の束縛/Bonds of Attraction》と《ほんの切り傷/Just a Nick》を被弾したターン負けたと思いました。」とコメント頂いたのでこのターンを解説したいと思います。
後半に、《魅了の束縛/Bonds of Attraction》と《ほんの切り傷/Just a Nick》を被弾しましたが、ここは勝つための必要経費でした。《魅了の束縛/Bonds of Attraction》をプレイされたときの手札はこちら、お相手の手札は1、アーセナルは空いています。
《Inertia Trap》をプレイするのはマストですが、《Shred》をブロックに出すかどうかです。《ほんの切り傷/Just a Nick》をケアするために《Shred》をブロックに出すのが正しいように見えますが、このブロックには大きなリスクがあります。
もし《ほんの切り傷/Just a Nick》でなかった場合、相手はアーセナルにカードをセットしてこちらの《Inertia Trap》を使う機会がなくなります。使ってもいいですが、《Shred》を無駄にブロックした結果となります。さらにまだ相手には《Command and Conquer》が1枚残っており、今後強く使える保証はありません。
もし《ほんの切り傷/Just a Nick》であった場合は、最高ゲイン2されることになります。しかし返しに《Shred》を使うことが出来れば、打点+3されるので、差し引き1点ダメージを与えることができます。結果的にこの1点が活きて最終ターンにリーサルすることが出来ました。
あのターンにリーサルすることが出来なければ、ピッチしていた《Sink Below》2枚をそのターンに引いて(確認はしていないが感覚的にあのターンだと思う。)、相手のダガーダガーcodexコンカーの動きに対応できずに負けていたでしょう。この《Sink Below》2枚を迎えることなくゲームを畳みたい意図もありました。
まとめると、相手の手が
・《ほんの切り傷/Just a Nick》で被弾&ゲインされるリスク
・《Shred》を無駄にブロックするリスク
を天秤にかけて後者の方が続くゲーム展開を考えても合理的であると判断したノーブロックでした。
SF vs Gabe Sher, Netherlands (originally Canada)
会場に行く駅のところでばったり会って、「お互い頑張ろう」と話した仲でした。氏のリストを見ると、Fatigue戦略を意図したリストに見えました。なので、《Surgical Extraction》を全て抜いただけの全68枚体制で臨みました。予想通りFatigue戦略なので氏は先手を選択。デッキは十分にあるので焦ることなくリラックスして戦えました。
道中、《苦悶の束縛》がヒットした際に、《Enlightened Strike》が手札に2枚あるアクシデントが発生(自分にとってはラッキーでした)。イニシアチブを手にして押し切ることができました。
Final vs Bartosz Ziemba, Poland
後で知ったことですが、なんとZiemba氏は、プロツアー決勝の舞台が2回目ということでした。
序盤に《Isolate》→(Uzuri起動)→《Surgical Extraction》→《Shred》の流れで、ディフェンスリアクション《That All You Got》を乗り越えてヒットさせることに成功し、トップの超越カードと手札の超越カードをバニッシュすることができました。Zen相手は超越を遅らせるほど勝率が上がります。
このアクションで、先手後手がひっくり返りこちらが攻める側になりました。《Shred》をバックアップに攻め続けますが、Ziemba氏は《Shred》をケアしてテイクを選ぶため、数ターン手札に残り続けました。
相手のアーセナルに《Bonds of Ancestry》がある状態で《Amnesia》がヒットしたときは大きなリターンを得ることが出来ました。さらに、その《Bonds of Ancestry》は次のターン《Leave No Witnesses》により追放しています。
《宇宙の横断》を利用したバーストターンを作らせることなく進行が進み、最終的には《Looking for a Scrap》→(《Flick Knives》起動)→《Spider’s Bite》投擲→《Codex of Frailty》→《Command and Conquer》でリーサルすることができました。
Special Thanks
人生初海外ということもあり、旅仲間に本当にいろいろなことでお世話になりました。彼らのサポートが無ければ優勝はなかったと思います。
@okayusama
@Haru_tcg_
@watta_sabage
娘が用意してくれたライフメモ。
世界中の応援してくれた皆様!!ありがとうございました!!
おわりに
LSSが掲げる「Play The Game,See The World」を感じることのできるとても素晴らしい旅でした。これからも「Play The Game,See The World」していきたいと思います。
次のLEGEND STORYを作るのは君だ!!!(と言いながら次の優勝も狙っています笑)
ご拝読ありがとうございました。
ギロチンカッター @guillotine_mito
お気に入りヒーロー:《Uzuri》,《Ira》
お気に入りカード:《Codex of Frailty》、《Spreading Plague》
ホームショップ:TCG Shop Go Again
犬が好き。Pro Tour: Amsterdam Champion
みんなのコメント
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すごく印象的な試合とステキな内容の記事でした!
ひとつ質問があります。
「Fatigue戦略を意図したリストに見えました。なので、《Surgical Extraction》を全て抜いただけの全68枚体制で臨みました。」
のところなんですが、相手のFatigue戦略と《Surgical Extraction》のボードアウトはどんな関係があるのでしょうか?
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