今回はBlitzに慣れてきたからCCを始めてみようかな、というプレイヤーや、CCから始めてみたい!というプレイヤーへの大きな障壁となる「サイドボード」についてのざっくりした解説をします。
自分もCCを始めた時に困ったことの一つが「サイドボードの組み方やインアウトがイマイチよくわからない」でした。あとサイドとメインが分けられてないタイプのデッキリストはマジで見方が分からなくて頭を抱えました。
以下、よくサイドボードに取られがちなカードを取り上げて、主にこういった目的で採用されています!という説明をしていくスタイルで書いていきます。
※今回は去年個人noteにて公開した記事を現在の環境に合わせて追記・修正したリメイク版になります。
目次
①:0コスト4点の防御リアクション
採用されるカードの例:《Sink Below》、《Fate Foreseen》、《Flic Flak》
多くのデッキに採用される《Sink Below》及び《Fate Foreseen》ですが、複数の目的を持ってサイドボードに採用されていることが多いです。なので、それぞれサイドインする目的ごとに分けて詳しく解説します。
目的A:4点でヒット時の効果を持つ攻撃アクションが多いヒーロー相手に、4点の攻撃をぴったし防ぐためサイドインする
《Snatch》などの4点でヒット時に強力な能力を持つカードは、
●装備品と手札のカードで守る
●装備品を使わない場合、手札2枚で守る
●諦めてヒット時能力を受け入れる
といった損な選択を迫ることができるため、強力なカード群です。これらのカード群の最大の強みは「手札1枚で相手の手札2枚を防御に使用させることができる点」です。
ですが、1枚でⒹ4点を持つ《Sink Below》などをサイドインすることでこれらのカードの強みを無くせます。
具体例としては《Fai》の《Snatch》、《Katsu》のコンボ時の《Whelming Gustwave》、Assassinの《Leave No Witnesses》
Rangerクラスの《Endless Arrow》、《Dash I/O》の《Out Pace》などの4点Mechnologist攻撃アクション+《Boom Granade》など。
目的B:”dominate”を得意とするヒーロー相手にサイドインする
“domiante”を持つ攻撃は手札から1枚でしか防御できないため、厄介なHit時能力を持つ攻撃に”dominate”が付いている場合、「手札から1枚で防いで貫通する分はダメージを貰う」「手札1枚+装備品を大量に防御に使い守る」といった不自由な選択を迫られます。そんな強力な能力である”dominate”ですが、弱点はあります。”dominate”は「手札からの防御」を制限する能力なので、アーセナルから防御リアクションをプレイすることでの防御は特に制限していません。なので、例えば7点”dominate”を持つ攻撃を、手札からのⒹ3点とアーセナルに置いておいた《Sink below》のⒹ4点で綺麗に防ぐことが可能です。
具体例としては《Bravo》のヒーロー能力により”dominate”が付いたCrushを持つ攻撃アクション、《Azalea》のヒーロー能力により”dominate”が付いた矢、
《Uzuri》の《Isolate》、《Prism, Awakener of Sol》の《Herald of Erudition》、Bruteクラスの《Pulping》など。
目的C:《Dorinthea》を筆頭としたWarriorクラスの”Reprise”達成を防ぐためにサイドインする
“Reprise”は攻撃が手札から防御をされていることを条件に、性能が向上する能力です。アーセナルから防御リアクションをプレイして攻撃を防ぐことで、”Reprise”の誘発をさせずに攻撃を防げるためサイドインされます。Warriorクラスは攻撃リアクションを得意とするため、仮に”Reprise”カードがあまり採用されていなくても攻撃リアクションに後出しする目的で有効です。
目的D:攻撃リアクションを多用する《ヌゥ》などにサイドインする
《ヌゥ》はヒット時能力を持つカードを、相手の防御を見てから攻撃リアクションによりバフして通すことを得意としています。それに対抗するため、相手の攻撃リアクションを見てから後出しできる防御リアクションをサイドインします。
②Phantasm対策になるカード達(ポッパー)
Illusionistクラスには、Phantasmというデメリットを持つ代償として、強力な攻撃アクションが複数種あります。例として、Phantasmを持つ《Wartune Herald》を見てみましょう。1コスト℗7点かつ、HitするとSoulに入るというメリット能力を持っています。Genericの1コスト攻撃アクションである《Critical Strike》と比較すると、℗2点分+メリット能力分強いです。破格ですね。
ただし、Phantasmというデメリットを持っています。Phantasmは「℗6以上のIllsonistクラスでない攻撃アクションに防御されると、この攻撃が破壊され、攻撃が不成立になる」というデメリットです。なので、《Wartune Herald》で℗7点の攻撃をしても、℗6点を持つ攻撃アクションで防御されると、Phantasmによって相手の手札1枚で℗7点の攻撃を防がれてしまい与えるダメージはゼロに。
しかも、攻撃が破壊されると戦闘チェインが閉じられてしまう関係で”続行”を持っていた場合でもアクションポイントを得ることができないという悲惨な結果になります。
このことから、℗6点かつIllusionistクラスではない攻撃アクションはPhantasm攻撃をPoP(破裂)させることからPopper(=ポッパー)と呼ばれており、Illusionistの攻撃から身を守る対策カードとして重用されています。
《Command and Conquer》が高い採用率を誇るのはポッパーであり、攻撃に使っても強いからというのが大きいです。他、「攻撃力6以上なら色んな理由で採用候補に挙がる」のがこの枠です。ヒーローによっても色々差があるので、パワー6以上のあまり見かけないカードがデッキに入っていたら「これはポッパー枠+何かしらの理由があっての採用なんだなぁ」と思いましょう。
採用されるカードの例:《Command and Conquer》、《最も脆い所》、《Down and Dirty》など多数
《最も脆いところ》は《ゼン》、《Enigma》、《Kayo》、《Levia》、《Dash I/O》、《Prism, Awakener of Sol》などの防御値の無いカードを多く採用するヒーローにプレイして強いポッパーです。
《Down and Dirty》はアーセナルから防御に使用できる特性から、Ponderトークンでドローしてアーセナルに置きやすく、Rangerクラスなどで愛用されます。
《Erase Face》は《Fai》や《Dash》といった「タレントやクラスを参照することが多いヒーロー」に対してプレイして強いポッパーです。
《Humble》は《Kayo》や《Levia》、《ゼン》などヒーロー能力が重要な相手に有効なポッパーです。
《Ammnesia》は《Katsu》や《ゼン》などコンボにより名前を参照する忍者に有効です。
また、《Prism, Awakener of Sol》は防御している攻撃の℗を1下げる手段を持つため、より頼れるポッパーとして℗7以上のカードを採用するケースもあります。
それぞれ環境や自分のヒーローの相性に合わせて、最適なポッパーが採用されます。
③”dominate”対策になるカード達
採用されるカードの例:《Reinforce the Line》、《Unmovable》、《Oasis Respite》、防御値の高い装備品など
“dominate”を対策するカード達です。「①:0コスト4点の防御リアクション」で対策方法として記載したように、アーセナルに防御リアクションを置くことで”dominate”は防御しやすくなりますが、他に《Reinforce the Line》で防御している攻撃アクションの防御値を増加させたり、《Unmovable》などの1枚で防御値の高いⒹを持つ防御リアクション1枚で防いだり、《Oasis Respite》などの軽減効果を持つインスタントで防ぐ方法があります。
これらはアーセナルを経由する必要が無い点や、《Sink Below》などを使う場合より℗が大きい”dominate”を防ぐことも可能なので、”dominate”を苦手とするヒーローを使っている場合や、”dominate”を得意とするヒーローが環境に多い時は、これらのカードが採用されます。
また、防御値の高い装備品に装備を切り替えることも対策になります。例えばRangerクラスのヒーローを使用している際に、普段は《Snapdragon Scarlers》で攻撃的に動き、《Bravo》や《Azalea》相手には《Perch Grapplers》を装備して防御値を増やすことで、”dominate”を持つ攻撃を防ぎやすくするといった装備の付け替えをすることがあります。
④Arcane Damage/Wizard対策となるカード達
採用されるカードの例:Aracane Barrier系装備、Spellvoid系装備、《Oasis Respite》など
Arcane Damage(=秘術ダメージ)は通常の攻撃のように防御することができず、「Arcane Barrier」や「Spellvoid」、軽減効果を持つカードの効果などでしか対策できないダメージです。Nullruneシリーズなどの”Arcane Barrier”を持つ装備品はWizardクラスやRunebladeクラスなどのArcane Damageを対策する為に多くの場合1〜3枚採用されます。
《Kano》だけを対策するなら《Oasis Respite》のような軽減系インスタントや”Spellvoid”を持った装備品が有効なので、採用候補となってくるでしょう。
⑤防御を強要するカードを増やすことでアグロを対策できるカード達
採用されるカードの例:《Command and Conquer》、《最も脆い所》、《Ammensia》等
アグロデッキは基本的に手札の数が多い程1ターンに出せる合計の攻撃力が上がります。《ゼン》、《Katsu》、《Fai》、《Levia》などが筆頭ですね。
それらのアグロヒーローは、「相手の1ターンの攻撃12点を全てライフで受けて、返しに手札を4枚使い16点を出す」といった動きが理想なのですが、ここで12点の攻撃に「防がなければいけない攻撃」があることで相手は手札を防御に回すことになり、手札4枚を使っての攻撃=16点を出せなくなります。アグロの動きを鈍化させることができるわけですね。
極端な話、毎ターン2枚以上防御に使用することを求められるとアグロは勝てません。
具体例としては《Fai》が《Art of War》をアーセナルに置いてる状況で《Command and Conquer》をプレイする、防御値の無いカードを手札に持っている《Levia》に《最も脆い所》をプレイする、《ゼン》や《Katsu》がコンボを揃えているターンに《Ammnesia》をプレイする、などです。
⑥相手の打点を大きく減らすカード達
採用されるカードの例:《Balance of Justice》、《This Round’s on Me》、《Hold the Line》など
これらは条件を満たす場合、相手からのダメージを大きく軽減し、ライフレースを優位に進めてくれるカードです。《Balance of Justice》と《Hold the Line》は相手が2枚以上ドローしていることを条件に、いずれもカード1枚で2点の防御をしながら、《Balance of Justice》は1ドローにより3点分 、《Hold the Line》は3点軽減効果により合計5点分の仕事をしてくれます。
《This Round’ on Me》はお互い1ドローし、次の相手のターンの攻撃全てに℗-1点を与える能力を持ち、1ターンに6回以上の連続攻撃を繰り出すことがよくあるNinjaクラスへの対策カードとして知られています。
⑦相手の戦略を大きく阻害するカード達
採用されるカードの例:《Warmonger`s Diplomacy》、《Snag》、《Argh…Smash!》など
《Warmonger`s Diplomacy》はNon-Attack ActionとAttack Actionを織り交ぜて高い出力を出す《Azalea》やRuneBladeクラスへの対策カードとして有効で、上手く行くと相手の1ターンをほぼスキップさせることができます。
《Snag》は《ヌゥ》の攻撃リアクションを多用する戦略に有効で、時には1枚で相手の攻撃リアクションを2-3枚無力化できます。
《Argh…Smash!》はControl Dashのような勝ち筋をItemに依存しているデッキの勝ち筋を破壊できます。
これらのように1ターンの価値を大きく変える、時にはゲームを左右する極端なメタカードもしばしば採用されます。
⑧Fatigue対策
採用されるカードの例:《Remembrance》、《Dig Up Dinner》、《Quiver of Abyssal Depths》など
Fatigue(=ファティーグ)とは、防御的にプレイしたり、デッキを破壊するカードを使用することで相手のデッキから強力な攻撃アクションを消耗させていき、最終的に相手の動きが弱くなることで勝利を収める戦法です。(詳しくはこちら)その対策方法は大きく以下4つあります。
A.《Remembrance》等、墓地からカードを回収するカードを採用する
B.対戦開始時の山札の枚数を60よりも増やす
C.ピッチスタッキングによるビッグターンを作る
D.ハイブリッドDashのピストルプラン等、攻撃アクションの枚数に依存しないダメージ源を用意する
重要なテクニックとなるのはB.です。FaBはサイドインアウト後にデッキを60枚ぴったしにする意味がそこまでありません。Fatigue戦では60枚ぴったしにして特定のカードが引ける確率を上げるよりも、サイドインして戦力になるカードをなるべく入れて70枚のデッキにした方が恩恵があることが多いです。試合は長引くからキーカードは引けます。「サイドインアウト後60枚丁度にしとかないと」という固定観念は他のカードゲームから参入するとありがちです(自分もそうでした)が、FaBではそうとは限りません。
ただ、枚数を増やすと言っても防御リアクションなどの攻撃の役に立たないカードを増やしてもあまり良い結果にはならないので、《Command and Conquer》等、メタカードを目的として採用している攻撃アクションを入れてかさましするのがオススメです。「デッキ何枚ですか?」と対戦開始時に聞いてくるFatigueデッキ使いに元気良く「72枚です!!!」と答えると嫌な顔をしてくれます。
番外編 抜くカードが分からないケース
これまでの解説を読んで「どんなヒーローに何を入れたら良いかはざっくり分かりました!でも何をサイドアウトして60枚にすれば良いか分かりません!!」といった方もいるかと思います。
そんな時におすすめなのが「何もサイドアウトしない方法」です。
FaBは基本的に毎ターン、カードを4枚引くゲームなので、64枚くらいあっても割と誤差です。(68枚とかにしてしまうとさすがに赤青ピッチのバランス等のデッキバランスが崩れがちなのでオススメしづらいです)
なので、4枚くらいサイドインして、そのまま対戦して、対戦中に微妙に感じたカードや役に立たなかったカードがあれば、次回以降サイドアウトしましょう。
効率よく学ぶ方法の1つです。
対面で対戦されているなら対戦相手の人と感想戦でサイドの意見交換するのも非常にオススメです。
これプレイされてどうでした?
これ弱いと思ってるんですけど弱いですよね?
といった質問から感想戦のきっかけにするのも良いですね!
以上、ざっくりよく採用されるサイドカード達の採用理由を分けて分析してみました!他のサイドがあるカードゲーム同様、FaBのサイドカードも、基本的な考え方は「弱いカードを減らして強いカードに差し替える」です。
なので、幅広い役割を持つカード達、dominate対策にもなるしNinjaなどのアグロ対策としても採用できる《Sink Below》、Illusionistへの対策となるポッパーでありながらアグロの妨害やFatigue戦術を取る相手へのかさましにも有用な《Command and Conquer》などは「多くの相手に役割を持てるため」高い採用率を持ちます。
また、同じ《Sink Below》でも、《Bravo》を相手にしたときに、《Bravo》がガンガン”dominate”を付与して攻撃してくるタイプなら身を守るために有効ですが、Fatigueを狙うような防御的な構築だった場合、腐ってしまう可能性があります。自分のヒーローの特性と相手ヒーローの戦略によっても入れるべきかどうかは変わってきます。
ハイブリッドDashのピストルプランなどデッキの勝ち筋が大きく変わるタイプのサイド戦略や、メタを読み切って特定のヒーローへのガードを上げるサイドカードの採用、ヒーロー毎のサイド戦略等、まだまだ語り切れていないCCのサイドボーディングテクニックはあります。が、基本的な話はできたかと思います。専門的な部分は実際にプレイしたり、ショップにいる有識者に聞いてみましょう!
以上です。お読み頂きありがとうございました。
Hiroyuki Tansei/どくいろ @fab_dokuiro
お気に入りヒーロー:《Lexi》,《Fai》,《Kayo》
お気に入りカード:《Art of War》
ホームショップ:TableGameCafe’Shuffle、TCG Shop Go Again
史上初の日本選手権で優勝。CallingTokyoTop8。日本屈指の強豪プレイヤー。手数、打点を読む洞察力が強み。アグロデッキが得意。
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