前回は表現価値、言い換えると「ターン単位での最適なプレイ」について書きました。今回は表現価値を踏まえて、ある程度FaBに慣れてきたプレイヤーの「毎ターン表現価値的に悪くないブロック/アタックはできているはずなのに負けてしまう」「相性差を感じるヒーローとの対戦で勝つことができない」といった悩みを解消するために、ゲームプランという考え方について解説する記事になります。
1.ゲームプランって何?
ゲームプランとは読んで字のごとく、「どのようにプレイするかのプラン」ですが、FaBにおいては「特定のヒーロー相手にどうやって勝つかのプラン」と言うのが一番適切な表現になります。分かりやすい例を見てみましょう。例えば、Dash VS Bravoの対戦において、DashがBoostアタックアクションを果敢にプレイして勝とうとする場合、Bravoは「ひたすらブロックにカードを使用してライフを守り、相手のデッキがBoostにより無くなるのを待つ」というプレイ=「Fatigueプラン」を取るのが勝率が高く、正解となります。
こういった試合の場合、Dashは「Boostアグロプランを取った」と言え、Bravoは「Fatigueプランを取った」と言い換えることができます。そして、CCフォーマットの多くのデッキは「サイドインアウトによるゲームプラン」と「プレイによるゲームプラン」という2種の大きな軸のゲームプランを持っています。
2.サイドインアウトによるゲームプランの例
CCフォーマットでのDashの代表的な構築に、「Hybrid Dash」と呼ばれる構築があります。サンプルリストはこちら。「Hybrid Dash」は、戦術として2つのゲームプランを併せ持ち、相手によって切り替えるデッキであることからその名で呼ばれています。1つ目はBlitzのアグロDashのような、Boost アタックアクションを連打して短期決戦を狙う「Boostアグロプラン」。
2つ目は武器である《Teklo Plasma Pistol》を《Induction Chamber》や《Plasma Purifier》などのItemで強化して長期戦に強くする「ピストルプラン」です。
「Boostアグロプラン」は、相手が攻撃的なヒーローであるLeviaやFaiの時に有効で、正面から殴り合うことができますが、相手にFatigueを狙われてしまうとデッキが切れて負けやすい弱点を持ちます。なので、Gardianなど防御が得意なヒーローと対戦する際には長期戦で勝てるように「ピストルプラン」で戦うワケですね。逆に「ピストルプラン」は数ターンでゲームが終わる早い対戦ではItemを設置する暇がない上に、Itemを置けてもItemが何度も効果を使う猶予が無いため「Boostアグロプラン」で殴り合うことが多いです。
3.プレイによるゲームプランの例
このようなサイドボードを活用したプランのほかに、プレイによるゲームプランもあります。例えばFai vs UzuriではFaiは特別サイドインにより大きくゲームプランを変えたりしませんが、「アーセナルにカードを置かない」といったプレイのプランを持つことがあります。その理由はUzuriがアーセナルを追放/破壊するカードである《Leave No Witnesses》と《Coomand and Conquer》を3枚ずつ採用していることが多く、Fai側がアーセナルにキーカードを置いてしまうとUzuriの攻撃をブロックするか、アーセナルに置いたカードを破壊されて損するかの不利な2択を迫られてしまう可能性が高いからです。
FaiはⒹ2のカードを多く採用しているブロックが苦手なヒーローなので、ブロックせざるを得ない状況に回るなら、そんな状況を生まないようにするため「アーセナルにカードを置かない」というプランを取ることに繋がるわけですね。
4.よく見かけるゲームプランの例を紹介
Dromaiはポッパー(パワー6以上のアタックアクション)を多く採用しているGardianやBrute等のヒーロー相手には各種ドラゴンを設置しながらドラゴンでは殴らないようにしつつ、《Passing Mirage》、《Miragai》、《Dust from the Chrome Caverns》などで《Cromai》のFantasmを消して安全にAPを獲得。その後、横のドラゴンで一斉攻撃をしかけることで相手のポッパーによるブロックを乗り越えて押し切るプランを取ることが多いです。
《Kassai of the Golden Sand》は相手がGardianやUzuriなど、Go againの手段が乏しいヒーローの時には《Raise an Army》で勝ちを狙うプランを取ることが多いです。
《Raise an Army》で3体以上の《Cintari Sellsword》トークンを出すことができ、相手が《Cintari Sellsword》を1体ずつしか倒せない場合はそのまま押し切れることが多いからです。そのプランを成功させる為に、Kassaiの能力によるgold トークン生成効果が付いたWeapon Attackを通す目的で、アタックリアクションを追加でサイドインしたり、金トークンを消費してしまう《Cash In》をサイドアウトしたりします。
Boltynは武器の使い分けによりゲームプランを切り替えます。《Raydn,Duskbane》を装備して毎ターンのバリューを高める「ミッドレンジプラン」と、《Cintari Saber》2本を持ち、《Lumina Ascension》を複数枚使用して1ターンの爆発力を高める「コンボ特化プラン」を持ちます。
Bravoは順当にアタックアクションをプレイして勝つ「ライフレースプラン」と、防御的に動いてデッキが1周してから攻撃する側に回る「Fatigueプラン」の2つのゲームプランを持っています。なので、Gardianと対戦する場合はどちらにも対応できるように「デッキを分厚くして、Fatigue耐性を上げつつ、ライフレースもできるように適性にデッキが回るバランスでサイドインアウトをする」といった相手の両方のプランに対応したサイドインや、「相手が露骨にFatigueを狙って手札をブロックに回してくるプレイをしてきた場合、ピッチスタッキングをしたり、アーセナルにキーカードを置いてブロックを上回りダメージを通すことができるターンを作る」等、対戦中に相手のゲームプランに応じてこちらのゲームプランを切り替えることも上級者同士の対戦では発生します。
5.ゲームプランを持つことの大切さ
最近、競技レベルの大会に参加していて思うことですが、安定した勝率を持つプレイヤーはメタ上のヒーロー相手に、自分が取るべきゲームプランを正確に把握しています。
適切なゲームプランを把握する為の方法は色々あります。
・Talisharでひたすら対戦経験を積みどのゲームプランを取るのが良いのか確認する
・プレイヤーが発信しているNote記事やYoutube等の情報を探す
・競技シーンの配信を見て学ぶ
・対戦相手との感想戦でどういったゲームプランが有効か話す
等々。
「自分が使っているヒーローであのヒーローに全然勝てないんだけど、上手い人は勝っている…」みたいな悩みがあれば、ゲームプランについて研究すれば解決するかもしれません!
そのプランが正しいかどうかよりも、「明確にプランを持って実践する」ことが何よりも大事だと思います。トライアンドエラーでブラッシュアップしていきましょう!
以上です。ご拝読ありがとうございました。
どくいろ @dokuiro_mtg
お気に入りヒーロー:《Lexi》,《Fai》
お気に入りカード:《Art of War》
ホームショップ:TableGameCafe’Shuffle、TCG Shop Go Again
史上初の日本選手権で優勝。日本屈指の強豪プレイヤー。手数、打点を読む洞察力が強み。アグロデッキが得意。
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