『表現価値』について

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今回はFaBにおける考え方の一つである、「表現価値」について書きます。

この概念を知っているか否かで、プレイやカードの評価が大きく変わってくる概念になるため、中級者以上の会話や攻略記事でも頻出します。

表現価値とは

表現価値とはFaBの世界大会において二度優勝した偉大なプレイヤーMichael Hamilton(マイケル・ハミルトン)選手が提唱した理論です。ざっくりと言うと「そのカードを攻撃に使った際何点分の価値になったか、防御に使用した際何点分の価値になったか」という数値が表現価値です。具体例を何個か挙げてみましょう。

例1.アタックの表現価値

あなたの手札:《Head Jab》《Head Jab》《head Jab》《Wounding Blow》


あなたのターンで、このような手札を左から順にプレイするとします。
3点、3点、3点、4点でアタックをしかけて、合計13点のダメージ、つまり13点分の表現価値を出せる手札ということになります。悪くないターンです。

表現価値の基本的な考え方として、手札4枚を使い切った際の基本の表現価値は12点となります。12点が基準となる理由は2つ。

①手札が3点のカード4枚の時に、全て防御に使用すれば12点の表現価値になるため

②カードデザインの観点から、AP(アクションポイント)を消費しないコスト0のカードは3点、APを消費するコスト0のカードは4点を基準としてデザインされているため

12-13点より低い表現価値となればあまり強くないターンですし、15点で表現価値的に得しているターン、18点出せればとても強いターンになります。ざっくりと考える場合手札1枚=3点の表現価値を出せていれば平均点という考えになります。

例1ではアタックの際の表現価値の例を見たので、次はブロックを交えての例を見てみましょう。

例2.防御を交えての表現価値

自分ターンの終了時に例1.と同じ4枚をドローし、相手ターンとなりました。こちらのライフは残り3点と少ない状況としましょう。相手が手札3枚から3点、3点、3点と攻撃してきて、ライフを守る為に《Head Jab》でブロックして1点ダメージ→《Head Jab》でブロックして1点ダメージ→《Wounding Blow》でブロックしてノーダメージで相手ターンが終了となりました。

返しの自分ターンに残った《Head Jab》3点のアタックして終了となり、ターンの往復で使った4枚の表現価値を考えると相手ターンのブロックで2点,2点,3点。自分ターンの攻撃で3点となり合計10点分の表現価値となります。例1よりも低い表現価値になってしまいました。《Head Jab》のようなカードはアタックに使えば3点となりますが、防御に使ってしまうと2点なので表現価値1点分損するということになりますね。構築でよく使われる《殴打 / Pummel》、《スナッチ / Snatch》、《飽くなき無秩序 / Ravenous Rabble》などのカードも同じ性質を持ち、2点のカードはなるべく防御に使いたくないカードになります。

少し脱線しますが、暴力の饗宴(Heavy Hitters)で登場した《カッサイ》,《ケイヨ》,《ヴィクター》の新ヒーロー3名はBlitzやCCで目覚ましく活躍していますね。この3ヒーローが何故強いのか、何故活躍しているのかは、表現価値の観点から考えることで解明できます。以下、アタックとブロックの例を見ながら上記3ヒーローの表現価値的な強さを解説していきたいと思います。

例3.カッサイの表現価値

あなたの手札:《Sink Below》《Hit and Run》《Precision Press》《Blade Runner》

相手ターン、相手が《牙鳴り / Bare Fangs》による8点の攻撃をしてきました。あなたは装備品《勇敢な先駆者 / Valiant Dynamo》1点と《Precision Press》3点で防御。ディフェンスリアクションのタイミングで《群青へ沈む / Sink Below》4点をプレイし、合計8点により、受けるダメージを0に抑えます。

返しのターンに青をピッチして《シンタリのサーベル / Cintari Saber》による2点の攻撃をして、アタックリアクションのタイミングで《Brade Runner》をプレイし続行を与えながら次の武器による攻撃を+3点。もう片方の《シンタリのサーベル / Cintari Saber》で5点の攻撃をします。ターン終了時に条件を満たした《勇敢な先駆者 / Valiant Dynamo》の防御値が回復します。これにより、相手ターンに防御で8点の表現価値を出しながら、攻撃で7点のダメージを出し、更に《勇敢な先駆者 / Valiant Dynamo》の1点の防御値の回復を計算に入れると8+7+1=16点の表現価値となります。手札2枚から6-7点と標準的な価値を出しながら、《勇敢な先駆者 / Valiant Dynamo》によりゲームが長引くほど相手との差をつけることができるのがカッサイの表現価値的な面から見る強みです。

例4.ケイヨの表現価値

あなたの手札:《骨の鋳造 / Cast Bones》《脅迫と暴行 / Assault and Battery》《牙鳴り / Bare Fangs》《群れの狩り / Pack Hunt》

相手のターン、相手が《感染の射撃 / Infecting Shot》による5点の攻撃をして、こちらは脅迫と暴行 / Assault and Battery》3点、群れの狩り / Pack Hunt》3点で防御。自分のターンとなります。自分は骨の鋳造 / Cast Bones》をプレイ。デッキの上から6枚を公開し、6枚の6以上のカードを公開したため、《剛力 / Might》トークン6つと《敏捷 / Agilty》トークンを場に出して、ターンを終了。アーセナルに牙鳴り / Bare Fangs》を置きます。

相手は手札が4枚万全に使えるため、こちらに14点の攻撃をしてきました。こちらは手札3枚で9点の防御をして、5点ダメージを受け、青いカードを手札に残します。返しのターンに青をピッチして3出して、牙鳴り / Bare Fangs》をアーセナルからプレイ。《剛力 / Might》トークン6つによる+6と自身の効果でパワー6以上のカードを捨てて、+2点で14点 続行で攻撃をしながら《剛力 / Might》トークンを1つ生成しました。

今回の例は2ターン分なので、基準である表現価値はカード8枚分の24点となりますが、ブロックにカードを計5枚使用して15点を出しながら14点で合計29点(《剛力 / Might》も計算に入れると30点)の価値を出すことができました。このようなターンをまたいで強力なターンを作ることをセットアップと呼びますが、セットアップは相手による妨害を受けてしまうリスクや、ライフが少ない時には失敗しやすいリスクを背負いますが、代わりに大きな表現価値になりやすいです。《骨の鋳造 / Cast Bones》や《牙鳴り / Bare Fangs》などリスクはあるがプレイできれば爆発力があるカードを持つ点と、ヒーロー能力により出る《剛力 / Might》トークンで表現価値1点を手軽に獲得できることが、ケイヨの表現価値の面から見る強みです。

例5.ヴィクターの表現価値

あなたの手札:《強さの試練 / Test of Strength》《ズシン / Thunk》《Debilitate》《脊椎の粉砕 / Spinal Crush》

相手が《啓示の一撃 / Enlightened Strike》をプレイし、+2点のモードを選択して7点のアタックとなりました。あなたは強さの試練 / Test of Strength》4点とズシン / Thunk》3点でブロックを行います。強さの試練 / Test of Strength》の効果で「激突」を行い、あなたは青い《Deblitate》を公開し、対戦相手は啓示の一撃 / Enlightened Strike》を公開。あなたは「激突」に勝利して金貨トークンを生成。ヴィクターのヒーロー能力により1ドローします。引いたのは先ほど公開した《Deblitate》です。

返しのターン、あなたは先ほどドローした《Deblitate》と元から手札にあった《Deblitate》をピッチして6から脊椎の粉砕 / Spincal Crush》をプレイして9点のアタック。このターンを表現価値から見ると、7点と9点で16点の表現価値ができている計算になります。

お分かりですね、強さの試練 / Test of Strength1枚で4点のと1枚ドローによる+3点で7点の表現価値が発生しています。強さの試練 / Test of Strength》《猛打 / Trounce》といった激突に勝つことでgoldトークンを生成するブロック1枚で、7-8点の表現価値が簡単に出ることがヴィクターの表現価値の面から見る強みです。

おまけ.採用率の高いカードを表現価値から分析

《啓示の一撃 / Enlightened Strike》は手札が全部赤い事故気味の手札でも安定して5点 続行か 7点になり、手札2枚を適正に使用した際の表現価値をいつでも発揮してくれる為、多くのデッキで採用されます。また、《群青へ沈む / Sink Below》など4を持つⒸ0のディフェンスリアクションはブロックに使用するだけで一般的なカード1枚=3点の基準を上回ることが、表現価値の考えを用いるとよく分かります。

また、一般的に黄色のカードが採用されづらいのはアタックに使ってもピッチに使っても表現価値の考えからすると劣るからです。例として赤い《Head Jab》はアタックに使えば3点、青い《Head Jab》はリソースとしてピッチすれば3となり1枚分の表現価値です。黄色い《Head Jab》はどちらに使っても2点分の表現価値になり、カード1枚=3点の基準を満たせません。

まとめ

・「手札1枚は使用することでライフに3点の影響を与える」というのが表現価値による基本の考え方

・手札4枚を適正に使用した際の表現価値は12点

2のカードをブロックに使用する、青いが低いカードをアタックに使用する、手札を余らせてターンを終了してしまうなどは表現価値の観点から悪いプレイとなる

・表現価値の考え方を使うことで、どんなアタック/ブロックが強いのかを分析できる

以上です。表現価値の考え方はどうアタック/ブロックすべきかといったゲーム中の選択から、デッキ構築をどうすべきか、リミテッドでどのカードをデッキに入れるべきか、カードプレビューのタイミングでどのヒーローやカードが強いかの分析といった様々な状況で役立ちます。勿論これは考え方の一つであり、ヒット効果が絡んだ際や、ファティーグが絡んだ際などは表現価値に囚われないプレイが最適解となることも多々あります。ですが、引き出しの一つとして常に「表現価値的に良いプレイかどうか」という判断ができると、プレイヤーとして成長すること間違いなしです!

ご拝読ありがとうございました。


どくいろ @dokuiro_mtg
お気に入りヒーロー:《Lexi》,《Fai》
お気に入りカード:《Art of War》
ホームショップ:TableGameCafe’Shuffle、TCG Shop Go Again
史上初の日本選手権で優勝。日本屈指の強豪プレイヤー。手数、打点を読む洞察力が強み。アグロデッキが得意。

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